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攻撃の可能性と守備の脆さ。ポヤトス監督はヴォルティスでの経験を糧にできるか。(J1第3節)

J1リーグ第3節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

怪我のリスクをふまえると

永戸の退場判定は妥当性あり。

横浜FM vs 広島

(主審:中村太 VAR:山本雄大)

75分、大迫のロングフィードに対して中野と永戸が交錯。いったんはノーファウルでプレーが続くも、30秒ほど試合が止まり、その後にVARが介入。中村主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行った結果、永戸は一発退場となった。

映像で見ると、勢いをもって競り合った永戸が振り上げた肘が中野の顔面あたりにヒットしているように見える。ジャンプの動作として不自然とまでは言えず悪意もそれほど感じないが、強度と接触部位をふまえると顔面骨折や首を捻るなどの可能性もある。個人の間隔としては、「イエローカードはやむなし、レッドカードでも許容できる」という範疇に思えるので、中村主審の判断はサポートできる。

この接触が明確に見えていたならばノーファウルという判断はありえないので、おそらくは中村主審は事象をはっきりと確認できなかったと思われる。接触を確認できていれば「程度」の問題なのでVAR介入対象外になる可能性もあったが、接触自体を確認できていなかったなら「重大な事象の見逃し」として十分に介入に値する。試合を止めた時点で中村主審は耳に手を当てる仕草を見せていたため、その時点で「レッドカードの可能性あり」としてVARチェックが進んでいたことが推察される。

なお、終了間際にヤン・マテウスがエリア内で倒れたシーンは、後方からではあるがボールを突いた後にマテウスに接触しており、中村主審の見極め通りでノーファウルでよかろう。前述の退場劇もあってマリノスサポーターの大ブーイングも理解できるが。

京都 vs FC東京

(主審:福島孝一郎 A1:淺田武士)

5分、バングーナガンデからボールを奪った京都が速攻でゴールネットを揺らすもVARが介入。OFRの末に京都のファウルを採ってゴール取り消しとなった。白井はボールに触ることができておらず、ファウルであるのは映像を見れば明らかだ。福島主審としてはやや中央寄りのポジションに「滞留」したため、事実関係を正しく見極めきれなかったか。第4審からは比較的明瞭に見えたようには思えるが、助言には至らずVARに救われる結果となった。

89分にはエリア付近での競り合いから、こぼれ球に入り込んだ白井が東に倒されてPK判定。白井に先にボールを突かれて遅れて出した足が白井にヒットしており、ファウルであることは火を見るよりも明らかだ。

なお、この試合のハーフタイムにはA1を務めていた淺田武士副審が負傷。第4審を務めていた西村幹也副審が後半からアシスタントレフェリーを務めた。なお、この場合は淺田副審が第4審を務めるパターンもあるが、負傷の状況を考慮してか第4審での職務継続も難しいという判断になったようで、第4審にはAVARの日比野真副審がスライド。VARはナシでも試合が成立するが、第4審を含めた4人は試合成立に必要不可欠であり、それをふまえての配置となった。なお、淺田副審はJリーグ選手名鑑によるとAVARの資格を保持していないので、後半はAVAR不在の状況で試合が進んだと考えられる。

浦和 vs C大阪

(主審:清水勇人 VAR:吉田哲郎)

59分、裏に抜け出した興梠を鳥海が引き倒してPK。そこまで強い力が加わったわけではないかもしれないが、肩に腕が明らかにかかっており、ファウルであることは明白だ。清水主審としては縦に速い展開にしっかりと付いていけたので、Easy Decisionだっただろう。

論点になりうるのは懲戒罰だろう。まず、状況判断としてDOGSO(決定機阻止)なのかSPA(チャンス阻止)なのかという点では、ラストタッチが外に流れたことをふまえるとややSPA寄りに思える。次に、ファウルの種類としては、腕もかかっているものの転倒の主因になったのは足の接触に見える。とはいえ、ボールに向かって足を伸ばしたわけではなく追走する中で巻き込んだ形なので、ボールに対するプレーと捉えるのは難しいようにも思える。

よって、個人的な見解は「SPAかつボールに対するプレーではないファウル」となるので、PK+イエローカードが妥当だったように思う。清水主審はカードを提示しなかったので、「SPAかつボールに対するプレーのファウル」という判断と思われるが、その見解も許容の範疇ではある。なお、ボールに対するプレーかどうかは今回は主観の領域なので、VARは介入しえない。

横浜FC vs 鹿島

(主審:飯田淳平 VAR:中村太)

22分、エリア内に侵入した山根を安西が倒してPK。出遅れた安西としては後方からの苦しい対応となった結果、山根に絡んでしまう形となった。映像で見ると足は絡んでいないようにも見えるが、手がかかっており印象はよくない。山根側が「倒れにいった」感はあるが、手がかかっているのは確かであり、ファウルという判定は妥当であろう。

各試合の講評

守備崩壊のガンバに必要なのは

メンタル面での改革か?

横浜FM vs 広島

開幕2連勝のマリノスは継続路線を敷きつつ、新加入の井上と一森を先発で起用。怪我人などの事情もあるとはいえ、一定のローテーションによる選手層の底上げには相変わらず抜かりがない。一方のサンフレッチェは開幕2戦は苦戦したこともあってか基本布陣を変更。助っ人外国人を2トップで起用するとともに、ボランチを1枚削った3-1-4-2を採用し、前に重心をかけたプレッシングスタイルで王者に挑んだ。

前半早々の先制点はサンフレッチェの狙いが見事にハマった形だ。敵陣中央で強めのプレスをかけてボールを奪うと、ショートカウンターに対して両ウィングバックが推進力を発揮して仕留めた。対マリノス対策としてお手本のような形。リスクを冒してでも勇気をもって前掛かりにプレスをかけきったのが奏功した。

その後、マリノスもこれまたお手本のようなサイド攻撃で1点を返すも、主導権を握っていた後半途中に永戸が一発退場。その後はサンフレッチェのペースになるも、ソティリウが2度の決定機を決め切れずにドロー決着となった。お互いが強みを発揮し合い、大迫と一森の両ゴールキーパーがファインセーブ連発で試合を引き締めた。好ゲームだった。

神戸 vs G大阪

関西ダービーは終わってみればヴィッセルが圧勝。イニエスタやサンペールは不在も、能力の高い個を活かした戦術が確立されつつあり、「個人の調子が良ければ手が付けられない」状態になっている。大迫をはじめとするベテランも多いだけに、山場はコンディションが落ちそうな中盤戦になりそうで、序盤はこのまま好調を維持しそうな勢いだ。

一方のガンバは開幕3戦で未勝利。ポゼッションスタイルは徐々に浸透してきており、宇佐美をはじめとする中盤が前への推進力を発揮する攻撃には光るものがあるが、守備陣が粘れずに4失点。シュートに対して寄せきれなかったり、セットプレーで簡単にマークを外されたりと基本的なところでの甘さが目立ち、自陣守備の拙さは昨季からほぼ改善されていない。個々の問題というよりはここ数年のチームの弛緩した雰囲気ゆえにも思えるので、問われるのはポヤトス監督のモチベーターとしての一面なのかもしれない。

若干気になるのは現状のガンバの戦いが一昨季の徳島ヴォルティスに重なって見えることだ。あのときのヴォルティスも攻撃面で可能性を感じる一方で守備崩壊が攻撃の上積みを上回り、守備を厚くすると点が取れず…という悪循環に陥っていた。必要なのは重心を下げることではなく、個人の意識向上と守備時の基本原則の徹底に他ならない。ポヤトス監督としては、過去から学び、問題の本質を見極めて対処をする必要があるだろう。



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