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4試合で3度の退場劇。井原レイソルには戦術的な秩序が見えてこない。(J1第21節)

J1リーグ第21節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

一森がボールに触るのは困難。

レッドカードもありえた。

横浜FM vs 川崎F

(主審:ハミス・モハメド・アルマッリ VAR:谷本涼)

71分、裏に抜け出した遠野に一森が接触しファウル判定。アルマッリ主審はPKを与えたうえで、一森にイエローカードを提示した。

ファウルに値する接触があったこと、接触がペナルティエリア内で起こったことは明白で、議論の余地はない。論点になりうるのは、一森のプレーが「ボールに対するプレー」と言えるかどうか。状況としてはDOGSOなので、ボールに対するプレーであれば一段階下がってイエローカード、否であればレッドカードが妥当となる。

個人的には、遠野のボールタッチで完全にかわされた後に、ボールに対して遅れをとっていることを自覚しながら遠野に接触したように思えた。よって個人的にはレッドカードが妥当だと感じたが、ボールに対するプレー(の失敗)だと捉えたアルマッリ主審の判断は「明白な間違い」とは言えず、VARが介入に至らなかったのも致し方ないだろう。

G大阪 vs 柏

(主審:松尾一 VAR:清水勇人)

63分、エリア内に侵入したファン・アラーノの肩に手をかけて止めた椎橋のファウルを採ってPK。当初はノーカードだったが、VARレコメンドによるOFRを経て、結果的に椎橋にはレッドカードが提示された。

ファン・アラーノはプレーを続けようとしたが、シュート失敗の原因は椎橋のホールディングにある。決定的な得点機会である以上、アドバンテージを適用するとしたらゴールが決まった場合のみとすべきであり、シュート失敗をふまえてPKを採った松尾主審の判断および判断タイミングは妥当だろう。

疑問だったのは懲戒罰に関する対応だ。結果的にレッドカードという判定には同意だが、VAR介入前の当初判定がノーカードだったのは不可解だ。DOGSOかどうかという観点では、「ボールをコントロールできる可能性」で若干の悩む余地があるものの、最低でもSPAには該当するシーンだと言える。ホールディングの反則なのでエリア内でも懲戒罰は軽減されないので、最低でもイエローカードは当初の時点で出すべきであった。ここの意図は現場の審判団しかわからないものの、事象が起こった時点でイエローカードを出さなかった判断は疑問が残る。

札幌 vs 新潟

(主審:上田益也 VAR:笠原寛貴)

58分、裏に抜け出そうとした金子を新井が倒し、当初はイエローカード。ここでVARが介入し、上田主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行った結果、DOGSO(決定機阻止)で一発退場というジャッジに変更となった。

DOGSOの要件に照らすと、悩ましいのは「守備側競技者の数と位置」になる。初見の印象では守備側競技者(渡辺)のカバーが間に合っていたように感じたが、接触の瞬間で映像を止めて見ると金子のほうがゴールに近い。したがって、VARが介入したこと、映像を見たうえで退場と判断したことはいずれも適切だと思われる。

上田主審としては、札幌が縦方向に一気に加速した際に出遅れてしまい、やや遠い位置での判定を余儀なくされた。外方向に膨らんで角度を作ろうとはしていたが間に合わず…で、VARに救われた形となった。

FC東京 vs 鹿島

(主審:上田益也 VAR:笠原寛貴)

90分、裏に抜け出した熊田に対して安西が後方から接触。池内主審は安西のファウルを採ったうえでレッドカードを提示した。前述の札幌 vs 新潟の新井のファウルとほぼ同じ構図だが、今回は守備側競技者がより遠い位置にいるため、明らかにDOGSOに該当する。終盤ではあったが、池内主審は持ち前のスプリント能力を発揮し、展開にしっかりと付いていき見極めた。

神戸 vs 鳥栖

(主審:中村太 VAR:川俣秀)

50分、エリア内への縦パスに対し、長沼と初瀬が交錯。中村主審は初瀬のファウルを採ってPKを与えた。長沼が本多の動きをふまえて足を「晒した」面はあるものの、ボールに対して不利な位置関係から無理やり足を出した初瀬の「不用意な」プレーであり、ファウルを採ってPKを与えた判定は妥当なところだろう。

なお、初瀬はボールに対してプレーしようとしており、エリア内のファウルなので懲戒罰は一段階下がる。プレーの方向が外向きだったので、状況としてはDOGSOではなくSPA(チャンス阻止)とみなすのが妥当。懲戒罰は本来のイエローカードから一段階下がってノーカードとするのがよいだろう。

終盤の88分には、大迫のゴールシーンにVARが介入。OFRにてシュートを打つ直前にボールが大迫の腕に当たっていることを確認し、ゴールを取り消した。大迫は得点者なのでボールが腕に当たっていれば、意図や程度は関係なくハンドになる。いわゆる「ファクト」に近い判定にはなるが、”念のため”OFRを行っての判定となった。

各試合の講評

現実路線で上り調子のガンバ。

迷走が続くレイソル。

G大阪 vs 柏

シーズン序盤から厳しい戦いが続いていた両者だが、いまや状況は対照的に。ガンバはネタ・ラヴィが孤軍奮闘していた中盤に山本悠樹が入ってから攻守のバランスが大きく改善。ダワンを含め豊富な運動量とダイナミズムを誇る3枚の中盤が組み立てとプレッシングの両面で高い機能性を発揮している。

固執していた後方からのビルドアップも、危ない場面では躊躇なくロングフィードを蹴るようになってから、余計なリスクを背負わずに戦うことができている。ポヤトス監督の「現実路線」の修正は良い方向に転んでいると言えるだろう。

一方のレイソルは井原新体制になってもいまだ勝ちなし。前節の立田に続いて今節は椎橋が退場となり、直近のリーグ戦4試合のうち3試合で退場者を出す異常事態となっている。

もちろん彼らの個人的な判断ミスという面はあるものの、プレッシングをあっさりと回避されカウンターを食らう場面が多く、センターバックやボランチがチーム戦術の拙さの割を食っている印象もある。前からのプレスにいくのか、低めのライン設定でブロックを固めるのかもはっきりしておらず、前線が前に出るものの後方が追従せずに間延び…という場面も多い。

井原監督就任直後はいわゆる「カンフル効果」でチームのインテンシティが上がって期待感もあったが、マテウス・サヴィオの個人技に頼りきりの攻撃を含めて再び閉塞感が漂いつつある。戦術的な秩序をもたらせていない井原監督はこのままだと失格の烙印を押されてもおかしくない状況だ。



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