アーセナルのコーナーキックは審判泣かせ。新鋭スミスと重鎮カン、両副審の奮闘。(プレミア第15節)
イングランドプレミアリーグ第15節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee topics
50代半ばでトップレベル。
恐るべしダレン・カン。
フラム vs アーセナル
(Referee: クリス・カヴァナー Assistants: ダレン・カン, サイモン・ロング VAR: ジョン・ブルックス)
52分、コーナーキックからハヴァーツの折り返しをサリバが押し込んで同点ゴール。サリバのポジションはオフサイドぎりぎりだったが、結局オンサイドで、当初判定がフォローされてゴールが認められた。
アーセナルのお家芸となっているデザインされたコーナーキックは、密集していた各選手が様々な動きを見せて広がるため、主審・副審ともに焦点を絞って見極めるのが非常に難しい「審判泣かせ」のセットプレーとなっている。
このシーンでもニアゾーンに多くの選手が走り込む中でファーサイドにボールが届き、そこからの折り返し…という形。フラム側のニアを守っていた選手(いわゆるストーン役)がやや前進してラインが上がる中で、非常に際どいラインジャッジになったが、このオンサイド判定はダレン・カン副審の慧眼としか言いようがない。
一方、直後の89分にはアーセナルの逆転ゴールかと思われたものの、VAR介入でオフサイド。崩しの局面において、ティンバーからマルティネッリへのパスの時点でのオフサイドだった。リプレイ映像で見ると、カン副審は最終ラインが下がることを見越してステップを踏んでいるが、フラム守備陣が若干「粘った」ことで、実際のラインよりもゴールライン寄りのポジションになってしまった。結果として少し斜めの視野でラインジャッジをすることになったのが痛恨だった。
カン副審は審判員としては大ベテランといえる55歳。フィットネスと動体視力が求められる副審としては50代半ばまでの現役はほとんどおらず、まさにレジェンドだ。いまやPGMOLのトップを務めるハワード・ウェブ主審とともにCL決勝とW杯決勝を裁いた経験は伊達ではないが、衰えとの戦いも不可避。とはいえ、50代半ばでトップレベルのパフォーマンスを保っていることは、尊敬に値する。
イプスウィッチ vs ボーンマス
(Referee: マイケル・サリスバリー Assistants: ウェイド・スミス, スコット・レジャー VAR: ポール・ティアニー)
開始直後からてんこ盛りの試合に。キックオフ直後、進路をめぐってモーシーとタヴァーニエが競り合い、タヴァーニエが振り払おうとした腕がモーシーの顔にヒット。レッドカードのレベルではなかったのでVAR介入はなかったが、接触だけを見たら警告でもおかしくはなかった。
26分にはイプスウィッチのバージェスがセットプレーからネットを揺らすも、ゴール取り消し。そもそも競り合い時点でホールディングっぽく見えたが、最終的にはラストタッチが腕に当たっていたことによるハンド判定だと思われる。
その直後には、今度はボーンマス側のチャンス。エリア内でイプスウィッチのオシェイがクリアを試みたところに、クライファートが足を出して接触。サリスバリー主審はアドバンテージシグナルを示し、そのあとのタヴァーニエのシュートはポスト直撃で外れたが、ロールバックはせず…となった。
オシェイの行為がファウルであることはサリスバリー主審もしっかり判断しており、それをアドバンテージシグナルで示している。タヴァーニエのシュートが外れたあとにアドバンテージを取り消してロールバックするか…は難しい判断だが、シュートという決定的な局面に持ち込めているので、アドバンテージ(恩恵)は十分に受けたと捉えるのが妥当ではないかと思う。個人的には主審の判断をフォローしたい。
そして、87分、90+5分のボーンマスのゴールはいずれも際どいラインジャッジに。A1のスミス副審は選手の重なりや入れ替わりを冷静に見極めながら、どちらもオンサイドであると判断。VARチェックでも際どいレベルの見極めだったが、適切なポジショニングのもとで正しいジャッジを導き出した。拍手を贈りたい。
クリスタル・パレス vs マンチェスター・シティ
(Referee: ロバート・ジョーンズ VAR: スチュアート・アットウェル)
70分、84分と2枚のイエローカードを受けたリコ・ルイスが退場処分に。1枚目は異議、2枚目はラフプレーで、いずれも妥当なイエローカードだろう。自分以外のプレーに関する執拗な抗議で受けた1枚目は酌量の余地はなく、2枚目もチャロバーの足がやや浮いたことで直撃はしなかったものの、ボールを奪われた直後、パスを出した後の例とタックルになっており、印象はよくない。
蛇足にはなるが、シティとしては両サイドをこなしながら、偽サイドバックとして攻守に貢献していたルイスの出場停止は手痛い。30代中盤を迎えてコンディションがなかなか上がらない主将ウォーカー、能力の高さを見せる一方で1試合1ミスも恒例となっているグヴァルディオルなど、サイドバック陣はそれぞれの正念場を迎えている。
トッテナム vs チェルシー
(Referee: アンソニー・テイラー Assistants: ギャリー・ベスウィック, アダム・ナン VAR: ジャレット・ジレット)
60分、カイセドの侵入に対しビスマがスライディングで対応。しかし、ボールに届かず、カイセドに先にボールに触られ、ファウルでPK献上となった。ファウルの形としては典型的であり、テイラー主審としてはハーフスペースでの攻防が見えやすい位置にしっかりポジションを採った時点で仕事の80%は終了、あとは冷静に接触を見極めるだけだった。
68分には、裏へのボールにいったんウドジーが向かうも、後方にいたソン・フンミンが怒涛の勢いで追い越してプレーを続行。ウドジーのオフサイドだとセルフジャッジをしてプレーを止めたチェルシー守備陣を尻目にシュートまで持ち込んだ。
ウドジーはオフサイドポジションにいたが、ボールにはまだ触っていないし、スパーズ側の選手との接触などもない。そのまま流してプレーさせる判断をしたテイラー主審およびA1のベスウィック副審のジャッジはまったく問題なく、チェルシー側の抗議は取るに足らない。
82分には、エリア内でボールをキープしたパーマーに対し、サールが後方から接触。パーマーがサールとボールとの間に足を置いて「誘った」印象はあるが、ボールに対するアプローチを焦ってしまったサールが不用意に接触したのは確かで、ファウル判定が妥当だろう。
本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。
いま話題になっている記事や、参考になりやすい内容をまとめてチェックしてみる

