脳震盪の主審を救ったヴァーディー。審判アセッサーが第4審として緊急登板。(プレミア第35節)
イングランドプレミアリーグ第35節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee topics
ヴァーディーが吹いた笛に
競技規則上の効力はないが…。
レスター vs サウサンプトン
(Referee: デーヴィッド・ウェブ Assistants: サイモン・ベネット, ダン・ロバサン 4th Official: サム・バーロット VAR: マイケル・オリヴァー)
降格が決まった両チームの対戦ということもあり、Select Group 2のデーヴィッド・ウェブ主審がプレミアリーグデビュー。しかし、21分、背後から走り込んできたアイェウと接触。肩と頭の接触により脳震盪を起こし、ピッチに倒れ込んだ。
この場面ではボールが逆サイドに渡ったこともあり、主審のアクシデントに気づかずプレーが進んでいたが、駆け寄ったヴァーディーが主審の代わりに笛を吹いて異常を周知。競技規則上、試合を止める権限は主審にしかないので、ヴァーディーが吹いた笛に効力はないが、実質的にプレーを止めるきっかけにはなった。
なお、競技規則では主審が負傷した場合について以下の通り規定している。
競技会規定は、審判員がその職務を開始または続行することができない場合、誰が審判員と交代するのか、またこれに伴う交代について明確にしなければならない。特に、主審がその職務を続行できない場合、第4の審判員、上級の副審または上級の追加副審のうち誰が主審を務めるのかを明確にしなければならない。
(サッカー競技規則2024-25、第6条 その他の審判員)
プレミアリーグの場合は、普段は主審を担当している審判員が第4審に入ることが大半なので、主審の負傷時は第4審が代わって入る規定になっているはず。また、副審の負傷時はAVARを削って副審に入れることになるだろう。
今回の場合はウェブ主審が脳震盪の疑いで職務続行不可になったので、第4審のサム・バーロットが主審に。第4審は、今回は元プレミアリーグ副審のフィリップ・シャープ(Philip Sharp)が審判アセッサーを務めていたようで、第4審として緊急登板となった。
なお、もしリザーブがいない場合は、試合成立要件ではないVARの2名から1名を削って第4審に回すことになる。今回であれば、フィリップ・シャープがいなければ、AVARのサイモン・ロングが第4審にスライドしたと考えられる。ウェブ主審はVARを務めるのも難しかっただろうから、代わりにVARに入らず、マイケル・オリヴァーの一人体制でVAR運用になった可能性が高い。
ブライトン vs ニューカッスル
(Referee: クレイグ・ポーソン VAR: アンディ・マドレー)
70分、エリア内に走り込んだウィロックに対し、ファン・ヘッケがスライディング。ポーソン主審はファウルを採ってPK判定を下すも、VARが介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)の結果、ノーファウルかつウィロックはシミュレーションでイエローカードとなった。
ファン・ヘッケは足を伸ばしたものの、間に合わないのを認識して足を引いている。そこに突っ込んできたウィロックは接触する前に「跳んで」いる。ノーファウルかつシミュレーションという最終的な判定は妥当だ。
ポーソン主審としては、外側に回り込んで角度を作りにいったが、接触の瞬間は手前にいたフェルトマンと重なってしまい、事象を明瞭に見ることができず。ポジショニング自体は悪くなかったが、スルーパスが出てから接触までの間によりよい視野を確保する余地はあっただろう。なお、笛まで若干の間が空いたのは、副審にオフサイドの有無を確認していたためだと考えられる。
86分、シェアの直接フリーキックがアヤリの腕に当たってPK。アヤリの腕の位置に正当性はなく、かついまどき珍しい「ボールに向かって腕が動く」パターンだ。シュートブロックの場面であり、体からも離れて大きく広がっている。ハンドにしない選択肢はない。(VARチェックに時間がかかったのはハンド自体の確認ではなく、オフサイドチェックだろう)
クリスタル・パレス vs ノッティンガム・フォレスト
(Referee: アンディ・マドレー VAR: ジェームス・ベル)
57分、浮き球のパスに反応したミッチェルがGKと1対1。ここでニコラス・ドミンゲスの足がかかって転倒。当初はノーファウルだったが、OFRの末にPK判定となった。足がかかっているのは映像を見れば明らかで、ファウルであることは疑いの余地がない。
マドレー主審としては、ハイボールに対するポジション修正が遅れた印象。言葉を選ばずに言えば、距離を詰めるのを「サボって」しまった感があった。ベストのポジションを採ったとしても見極めは難しい位置・角度だったとは思うが、より努力できる余地はあった。
チェルシー vs リヴァプール
(Referee: サイモン・フーパー VAR: ジョン・ブルックス)
90+5分、バックパスが中途半端になったところで、クアンサーがカイセドを倒してPK。ルーズボールにフルスプリントで走り込んできたカイセドに対し、クアンサーはボールに足を伸ばしたが届かず。典型的なトリッピングであり、若干逆をつかれたフーパー主審としても「Easy Decision」だったはずだ。
アストンヴィラ vs フラム
(Referee: ロバート・ジョーンズ VAR: クリス・カヴァナー)
50分、セセニョンのゴールはハンドで取り消し。胸トラップのあと、偶発的ではあるが左手にボールが当たっている。得点者なので、物理的に当たってさえいれば、すべからくハンドだ。
ジョーンズ主審もやや自信なさげだったが、副審や第4審からは見えにくい所であり、主審が判断するほかない。シュートブロックのハンドも起こりうる状況なので、主審の位置としては悪くない。
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