鈴木優磨の「突き飛ばし」はレッドカード妥当。対立への介入はスピード命。(J1第36節)
J1リーグ第36節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
審判Topics
坊薗・坂本両副審を責めるのは酷。
際どいラインジャッジ。
鹿島 vs 名古屋
(主審: 上田益也 VAR: 山本雄大)
57分、鈴木優磨がドリブルで前進したところ、椎橋がファウル覚悟で阻止。これに激昂した鈴木が椎橋を胸で突き飛ばしてしまい、これが乱暴な行為と判断され、レッドカードとなった。
チャンスにつながるシーンの中で、ボールに触れることは不可能な状況での確信犯的なファウル。怒る気持ちはわかるが、プレーが止まった後に相手を強い力で突き飛ばしており、一発レッドに値する乱暴な行為であったのは明らかだ。アントラーズ側は「ただ押しただけ」と主張する中後監督の声が中継で聞き取れたが、あれは「押す」というよりは「突き飛ばす」であり、乱暴な行為と判断するのが妥当だろう。
上田主審としては、椎橋のファウルを悪質と判断し、強めの笛を吹いてカード提示に急いだものの、その前に衝突が起こってしまい、それ以降は各所で小競り合いが続発。鈴木優磨と他の選手を遠ざけようとしたものの、むしろ集団的対立に巻き込まれる形になり、状況把握がままならなかったことだろう。
当事者間の争いだけであれば物理的に間に入って止める対応も考えられるが、その場合は周りが絡む前に食い止めるスピードが命になる。今回は、そもそも鈴木がかなりヒートアップしていたこと、そして事象発生現場と上田主審との距離の遠さをふまえると、輪の外から状況を観察するほうが妥当だったかもしれない。結果的には、鈴木に迫った稲垣やそれに絡んだ師岡の行為もイエローカードが出てもおかしくなかったが、喧騒に巻き込まれた上田主審は確認できていなかった可能性が高い。
なお、VARとしては鈴木優磨の行為以外は「明らかにレッドカード」という振る舞いや接触はなかったので、チェックはしたと思われるが介入は必要ない。椎橋にはSPA(チャンス阻止)でイエローカードが提示されたが、こちらもイエローカード以外の選択肢はなく、VARの出る幕はない。
京都 vs 川崎F
(主審: 笠原寛貴 副審2: 坂本晋悟 VAR: 川俣秀)
72分、サンガのコーナーキックの場面で、マルコ・トゥーリオのシュートが至近距離にいた橘田の腕に当たるも、当初はノーファウル。しかし、VARが介入し、笠原主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)の末にハンドと判定しPKとなった。
腕に当たったのは意図的ではなく、かつ「かすめる」程度ではあったが、映像で見ると確かに軌道が変わっている。橘田の左手は胴体から離れて広がっており、シュートブロックの場面であることをふまえると「体を大きくした」という捉えるべきであり、ハンド判定はやむを得ないだろう。
なお、このあとマルコ・トゥーリオがいったんPKを失敗したものの、キックの瞬間にチョン・ソンリョンの両足がゴールラインを離れて前に出ていたことがVARで確認され、PKは蹴り直しとなった。
GKがゴールラインに足を残したかどうかは副審の判断になるが、マルコ・トゥーリオがキック直前にフェイントを入れたこともあり、見極めは非常に難しく際どい。今回を副審の見逃しと責めるのは酷であり、VARがあったからこそのジャッジだったと言えるのではないか。
磐田 vs G大阪
(主審: 今村義朗 副審2: 坊薗真琴 VAR: 福島孝一郎)
6分、コーナーキックからファーサイドのダワンが合わせてゴールとなるも、VARが介入。VARチェックには時間がかかったが、ゴールから約3分後にOFRとなり、GKの前にいた倉田のオフサイドとなってゴールは取り消された。
まず、倉田がオフサイドポジションかどうか…がかなり微妙だ。リプレイ映像を一見した印象としてもオンサイドに見えるが、おそらく3Dラインによる検証が行われてオフサイドであることが確認されたと思われる。かなり際どいラインジャッジなので、ここでの見極めを「ミス」と評するのはA2の坊薗副審にとっては酷だろう。
倉田がオフサイドポジションだとすると、倉田はシュートコースに近く、かつGKの川島からの距離も近い。シュートに対して若干よけるような動作をしており、ボールに触れてはいないものの、GKのプレーに影響を与えたと捉えるのが妥当だろう。
続いて13分、ジュビロがエリア内に侵入し混戦となったシーンでVARが本日2度目の介入。今村主審がOFRを行い、半田の腕にボールが当たったシーンを確認するもノーハンドの判定。
リプレイ映像で見ると、磐田の選手のシュートが別の磐田の選手に当たり、そのあと至近距離にいた半田の右腕に当たっている。腕は広がっているので最初のシュートが直接当たっていればハンドだったかもしれないが、直前で予期せぬディフレクトが起こっており、ノーハンドというジャッジで問題ないだろう。
今回は「明白な間違い」ではなく「重大な事象の見逃し」のほうでVARが介入したと考えられる。「腕に当たったがノーハンド」というジャッジであれば介入は必要ないはずで、介入したということは「腕に当たったのが確認できていない」パターンだったのだろう。
59分、今度はエリア内でシュートブロックを試みたリカルド・グラッサのハンドでPK判定。体を投げ出してボールを止めたのち、いわゆる「支え手」となった右腕にボールが触れたかどうかは微妙。しかし、そのあとに左手でボールを明らかに掻き出しており、こちらは完全にハンドだ。(DAZN中継映像のリプレイでは右腕のハンドにフォーカスしており、少ししか映っていないが)
今村主審はエリア内でボールがこぼれた場面でも冷静にポジションをとり、リカルド・グラッサがどのようにボールをブロックしたか、そのあとのボールの行方も見やすい位置で見極めた。ベテランならではの熟練のレフェリングだった。
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