カウンターとロングボール。ウルグアイと韓国はポゼッションに興味なし。(カタールW杯)
カタールW杯グループステージ第1節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
ウルグアイ vs 韓国
<Referee Topics>
タフな試合を飄々と裁く。
カードの基準にはややブレも。
ウルグアイ vs 韓国
(Referee: Clément Turpin VAR: Jerome Brisard)
フランス人のトゥルパン主審は40歳。2021年のEL決勝、2022年のCL決勝を担当するなど、ここ数年のヨーロッパコンペティションでは重要な試合を数々担当してきた。国際主審となったのは28歳で、EUROやW杯でもジャッジ経験があり、世界最高の評価を受ける審判員の一人。両国ともにハードなタックルを持ち味とするだけに、局面での激しい攻防をどのように管理していくか…が腕の見せ所となった。
序盤からいつもどおりの飄々とした立ち振る舞いで冷静に事象を見極めていった。カウンターの場面ではCLではあまり見たことがないロングスプリントも披露。実は走力もそこそこ高い…という点は個人的には驚きだった。
後半8分のシーン、キミ・ジンスをベンタンクールが突き飛ばしたような形にはなったが、ノーファウルでVARも介入せず。厳密に言うとプッシングだろうが、派手に倒れた割にはそこまで強く押されたわけではない。オーバーリアクションがむしろ裏目に出た印象もある。
後半9分のチョン・ウヨンのスライディングは、足首に遅れてタックルしており、接触部位が少しずれていれば大怪我の危険性もあった。レッドカードまではいかないが、イエローカードには十分に値しただろう。後半11分のソン・フンミンに対するカセレスのチャージも確かにラフプレーではあったが、そちらが警告ならチョン・ウヨンにも警告を提示するのが妥当だろう。
韓国としてはファウルを採ってもらえない…という印象は強いだろうが、いずれもファウルとノーファウルの間の「グレー」なところであり、いずれもノーファウルとするのであれば基準としては一貫している。韓国の選手に詰め寄られても落ち着いて対応しつつ、ときに厳しめの言葉で抗議を制した振る舞いは流石であった。
試合全体を通して…という点だと、アディショナルタイムを厳密に加算する方針となっている今大会においては、前半のアディショナルタイムが1分、後半のアディショナルタイムが7分というのはかなり短いほうだ。序盤こそファウルがやや目立ったが、一つ一つのプレーに毅然と&冷静に対応したことで、徐々に試合を落ち着かせることに成功。欧州での経験を最大限に活かし、トゥルパンらしい飄々としたスタイルでタフなゲームを終わらせた。
各試合の講評
<試合の講評>
ボールを持ちたくない両チーム。
低めの立ち位置をとったウルグアイの選択は理に適っている。
カウンターを得意とし、球際での激しさや個々の献身性の高さが持ち味など、共通項が多い両国の対決。両国ともにポゼッションにこだわりがないので、ショートパスよりはロングボール、遅攻よりは速攻が目立つ予想通りの試合展開となった。
前半は韓国がボールを保持してウルグアイが自陣で構える形になっていたが、この展開はウルグアイとしてはむしろ想定内だろう。最終ライン(特にゴディン)がスピードに欠けることをふまえると、ソン・フンミンなどに裏のスペースを与えるのは自殺行為に等しい。低めのライン設定は妥当な選択だ。
また、攻撃陣のタレントを考えても、スペースを与えたほうが活きるダルウィン・ヌニェス、自陣深くからでも推進力を発揮できるフェデ・バルベルデの存在をふまえると、低めの位置でブロックを敷いて速攻を狙う…というのは理に適っている。前半は一見すると韓国攻勢にも思えたが、一概にそうとは言いきれない展開であった。
ボールは握れども中央には侵入できず。韓国は崩しのクオリティに課題が。
一方の韓国としては、ボールは握ったものの、「持たされている」感もあった。サイドの深い位置まではボールを運べるものの、ウルグアイの中央守備をこじ開けるうえでの工夫はなく、攻撃は裏抜けへのロングボール頼みだった印象だ。
34分にファン・ウィジョが決定的なシュートを放ったようにグラウンダーのクロスには可能性があったが、クロスのほとんどは山なりでシンプルなものに終始した。ファン・ウィジョも強さはあると言えども屈強なゴディンとヒメネス相手では分が悪く、崩しの局面でのクオリティは課題が残った。
ウルグアイは意外にも可変システムを採用。戦術整備が進めば若手主体で大化けする可能性も。
やや意外に思えたのは、ウルグアイが守備時に4-3-3、攻撃時に3-4-3という可変システムにトライしていた点だ。右のカセレスが自陣に残り、左のオリヴェラが高い位置をとる形は、ドイツ代表を彷彿とさせる。
タヴァレス前監督のもとではオーソドックスな4-4-2を一貫して採用していただけに、この可変システムはアロンソ監督が持ち込んだものだろう。強力2トップ、テクニックよりはダイナミズムに長けた中盤4枚、守備的な4バックという定番の形は崩れつつあり、W杯初代王者に輝いた南米の古豪にも現代化の兆しが見られる。
レアル・マドリードで主軸に成長し、ダイナミズムに加えて決定力も備えつつあるフェデ・バルベルデは正真正銘のメガクラック候補で、リヴァプール遺跡を果たしたダルウィン・ヌニェスもシュート精度が上がれば世界的なストライカーになるポテンシャルを持っている。有望な若手が台頭してきており、戦術面での整備が進めば大化けの可能性も秘めている。
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