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エクアドルがカタールを凌駕。プレースピードに付いていけず積極性が空回り。(カタールW杯)

カタールW杯グループステージ第1節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee topics

プレースピードに付いていけないが故の

ファウルは抑止が難しい。

カタール vs エクアドル

(Referee: Daniele Orsato VAR: Massimiliano Irrati)

ワールドカップの開幕戦はグループAに入った開催国の試合になる。ホームの大歓声もあり、特に序盤はハイテンションの試合になることが多く、舵取りは非常に難しい。そんな試合を任されたのは、46歳のオルサート主審率いるイタリアの審判団。オルサート主審はCL決勝を担当したこともあり経験豊富であり、VARのイッラーティ氏もイタリア審判界のVARトップランナー。W杯不出場のイタリアのベテラン審判団が大役を担った。

開始早々、フリーキックからエクアドルが先制するも、さっそくVARが介入。VARのOR(オンリー・レビュー)によりオフサイドでゴールが取り消しとなった。非常に際どいが、ヘディングで競り合った瞬間で映像を止めてみると、エクアドルのエストラーダの足が僅かにオフサイドポジションであった。開始早々に、「

半自動オフサイドテクノロジー(semi-automated offside technology)

」の出番となった。

ゴールキーパーが飛び出しており、結果的にはゴールキーパーがオフサイドラインになる状況だった。副審としてはそもそものラインジャッジが難しいうえに、出ていた部分も非常に僅かであり、A2のジャッラティーニ副審を責めるのは酷だろう。

15分、エネル・バレンシアが倒されてPK。倒れた直後にシュートチャンスがあったため笛を吹くのをやや遅らせたうえで、シュートがブロックされたのをふまえてPKの笛を吹いた。ベテランらしく落ち着いた判断であった。状況としてはDOGSO(決定機阻止)だが、ボールに対するプレーとみなされるので懲戒罰は警告。ポジショニングから笛を吹き、カードを提示するまで淀みなく進めた。

カタールの積極性がファウルの連発につながる中で、ファウルを抑止するのには苦労していた印象だ。22分にアリ、29分にカイセドに容赦なく警告を提示するなどカードを使いつつ、セットプレーの場面では選手とコミュニケーションをとりながら落ち着けようとはしていた。

とはいえ、カタールの選手は「勢い余って突っ込む」タイプのファウルが多かった。この類のファウルは相手のプレースピードに付いていけないからこそ生まれるものであり、やめたいと思ってもやめられるものではない。テクニックに優れたエクアドルの選手が「誘い込む」傾向もあったことで、レフェリングとしては非常に難しかった。

後半11分のメンデスのタックルはやや危険だったがイエローカードで留めた。受け入れられる範囲内なので、VARは介入せずOFR(オン・フィールド・レビュー)もナシ。32分のアフィフのファウルも同程度の扱いだろう。

前半終了間際には膝を痛めたエデル・バレンシアを気遣うような素振りも見られた。ベテランらしい振る舞いでなんとか試合の秩序を保った点は評価できる。カードの枚数は嵩んでしまったものの、不当なものはなかった。及第点以上は付けられるだろう。

各試合の講評

プレースピードと強度で

エクアドルがカタールを凌駕。

カタール vs エクアドル

ホームの大観衆にも後押しされてハイテンションで試合に入ったカタールだったが、積極性は無駄なファウルとなり、結果的にエクアドルに主導権を握られる展開に。守護神のアルシーブがハイボールの目測を誤って失点(オフサイドで取り消し)し、プレッシングも場当たり的で連動性が不十分。サンチェス監督は戦術を落とし込んできたはずだが、想像以上のプレースピードを前にして、初の大舞台で意気込みが空回りした印象は否めない。

後半にはポゼッション率を高めるシーンもあったが、それはエクアドルが前線からのプレッシングをやめてチームの重心を下げたからであり、守備ブロックに侵入するパスはほとんど出せなかった。前進できそうな場面でも横パスやバックパスを選択するシーンも目立ったが、ボールを縦に速く展開した前後半それぞれの終了間際のシーンでは、際どいシュートまで持ちこんでおり、ロングボールを織り交ぜながらカウンターに活路を見出すのも一策か。

エクアドルとしては高いテクニックを活かしてカタールを「いなした」印象だ。カタールのプレッシングは勢いこそあったが連動性という点では穴もあり、高いテクニックを持ったエクアドルにとっては与しやすい相手だったかもしれない。エクアドルとしては、むしろ自陣にがっつり引かれて守りを固められたほうが嫌だっただろう。

試合結果自体は申し分ないとはいえ、2ゴールをあげたエネル・バレンシアが膝を痛めたのは心配材料だ。打撲ならよいが捻挫などの場合には第2節以降は欠場の可能性もある。長きにわたり絶対的なストライカーであった彼は精神的支柱でもあり、回復見込みはエクアドルの命運を左右すると言っても過言ではない。

また、中盤セントラルのモイセス・カイセドとメンデスがイエローカードをもらったのは今後を見据えると手痛い。FIFA主催のワールドカップでは累積警告2枚で出場停止となるため、タクティカルファウルでカードをもらうことも多い中盤の選手にとって「累積警告リーチ」という状態は重くのしかかりうる。



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