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ホセ・カンテ退場は妥当。ただし、荒木主審が集団的対立を未然に防ぐ余地はあった。(J1第28節)

J1リーグ第28節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

ファウル後すぐに

ホセ・カンテを遠ざければ

対立の拡大を防げたかも。

G大阪 vs 浦和

(主審:荒木友輔 VAR:松尾一)

49分、ホセ・カンテの露骨なホールディングを発端に両チームが入り乱れての小競り合いに。詰め寄ってきた宇佐美に対して頭を当てたホセ・カンテが、VARレコメンドによるOFR(オン・フィールド・レビュー)の末に退場処分となった。

まず、当該行為自体について。強く頭を振ったわけではないが、頭同士が当たっているのは確かで、乱暴な行為でのレッドカードはやむなしだろう。(最初のホールディングがイエローカード相当で、その後の対立でも最低イエローカードなので、どのみち退場ではあるが、後者の行為は一発レッドが適当だと考える)

当該行為が退場に値することは確かだが、事象を振り返るうえでは、前後の文脈(流れ)も考察しておく必要があるだろう。まずはゴールキックに対してガンバDFがホールディング気味にホセ・カンテにチャージしたが、ノーファウル。その後、五分五分の競り合いが2連続してガンバにボールが出て、その直後に黒川がホセ・カンテにホールディングで倒された…というのが一連の流れだ。

上記の流れでガンバ側のファウルを採らない判断は十分に許容できるものであり、荒木主審の判断は間違っていない。ただ、ホセ・カンテとしてはフラストレーションが溜まる事象が重なったことで、結果的に「カッとなって」頭突きを見舞ってしまった…という気持ちは理解できる。(行為を許容することは決してできないが)

荒木主審としては、露骨なファウルにガンバ側が詰め寄る展開は容易に想像できたので、ホセ・カンテに素早く駆け寄って他の選手から引き剥がすのが賢明だったように思う。笛を吹いたのち、ジェスチャーと笛で自制は促しているが、結果的には集団的な対立を外から眺めざるを得ない形になってしまった。せっかくホセ・カンテを他選手から遠ざけうる位置にいたことを考えると、もったいない対応だったように思う。

また、争いの渦中に巻き込まれないように距離をとる判断は悪くはないが、集団的対立に発展したことで、他の選手に視野を遮られ、ホセ・カンテと宇佐美の接触を見逃がす結果となってしまったのも痛かった。VARに助けられた形にはなったが、「事象を未然に防止する」という点と「事象を正確に見極める」という両面でよりよい対応があったようには思う。

なお、結果的にはホセ・カンテに激しく詰め寄った宇佐美、ホセ・カンテに詰め寄ったうえで小泉を突き飛ばした黒川にも警告が提示されている。OFR後のカード提示になったので、当初判定はノーカードということになる(バタバタして出し忘れただけかもしれないが)。発端となったファウルの悪質さを考えると、激高する気持ちはわかるとはいえ、あれだけ詰め寄れば警告は必要だ。これをVARなしで判定しきれなかった点も含め、初期消火に失敗してジャッジの難度を自分で上げてしまった印象だ。

なお、事象発生からOFRまでには約6分の時間を擁した。選手が入り乱れ、各所で対立が起こってしまったため、VARチェックも対象となる事象が非常に多く、難しいチェックにはなっただろう。DAZN映像で見る限り、OFRで提示する映像も再生に手間取っている様子が見られ、リプレイオペレーターを含めてVARルームはかなりバタバタだったと思われる。

OFRにも時間がかかり、結局10分あまり試合が止まる結果になったが、起こった事象の多さもふまえると致し方ない部分もあるか。その意味でも、集団的対立になる前に荒木主審が食い止めたかったなぁ…という印象だ。

湘南 vs 川崎F

(主審:木村博之 VAR:谷本涼)

34分、瀬川がシュートモーションに入ったところで、シュートブロックを試みた小野瀬が接触。当初はノーファウルだったが、VARが介入し、OFR(オン・フィールド・レビュー)の末にPK判定となった。

リプレイ映像で見ると、瀬川が振り上げた足に小野瀬が接触し、それによりシュートがうまくミートできていない。ボールは明らかに瀬川のプレーイングディスタンスにあり、そこに割り込んで接触した小野瀬はファウルを採られてもやむを得ないだろう。

当初判定はコーナーキックだったので、木村主審としては「小野瀬がボールに触れた」という判断だったと思われるが、その事実はないので「明白な間違い」としてVARが介入したのだろう。木村主審としては悪くない位置にはいるが、選手自身の体が重なり接触の仔細がわかりにくかったか。

その後のPKの蹴り直しについては、VARの映像を見ればキック前にゴールラインを離れたのは明白。議論の余地はない。

各試合の講評

手堅く効率的なヴィッセルに、

ファン・マタの居場所はあるか。

神戸 vs C大阪

縦に速い攻撃を軸とする今季のヴィッセル神戸。裏へのパス1本で佐々木が抜け出して決めた先制点は、今季のヴィッセルを象徴するゴールだ。守備陣もGK前川を中心に集中力を保ち、手堅く勝ち点3をゲットした。

サンフレッチェに完敗を喫した後にリバウンドメンタリティーを見せたのは見事だが、見えてこないのはファン・マタの起用法だ。フィジカル的な強度やスピードに優れているわけではないマタは、狭い局面での打開やショートパス主体の崩しでこそ活きるタイプ。現状のロングカウンター重視の戦術に適性はほとんどない。

輝きそうなのは、ビハインドを背負った状況で相手を押しこんで戦う場面のみ。引いた相手を崩すアイデアとテクニックは折り紙付きだが、先行逃げ切りが多いヴィッセルにとっては、その状況はあまり起こらない。マタ自身がパートタイマーでよいなら大丈夫だが、無理やり出場機会を増やして戦術の機能性が低下する…という事態だけは避けたいところだ。



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