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エンケティアにジェズスの代役は厳しい。問われるアルテタの戦術調整力。(プレミアリーグ第17節)

イングランドプレミアリーグ第17節。好調アーセナルといまひとつ調子が上がらないウェストハムの一戦を講評する。

アーセナルvsウェストハム

<Referee Topics>

PK取り消しはVARに救われた。

その他は問題なし。

Referee:

マイケル・オリヴァー

Assistant referees:

スチュアート・バート

サイモン・ベネット

Video Assistant:

ダレン・イングランド

初のワールドカップでも堂々たるジャッジを見せたオリヴァー主審率いる審判団。W杯明け初戦でも、好チーム同士の注目の一戦を任された。

前半1分、ライスのチャージを受けてマルティネッリが倒れるもノーファウル。足裏を見せる形でのプレーにはなったが、しっかりとボールにいっておりノーファウルという判断でも十分に受け入れられる。

前半5分、サカがゴールネットを揺らすもエンケティアのオフサイドを採って取り消し。最初のパスが出た時点ではエンケティアはオンサイドだったが、サカがフリック気味に触った時点ではオフサイドポジションであった。バート副審の見事な見極めであった。

8分、マルティネッリのドリブルを阻止したボーウェンに対して警告を提示。ファウルかどうか際どいところだったが、ボールではなくマルティネッリの足に対する接触が大きく、ファウル判定は頷ける。そして、ファウルであればSPA(チャンス阻止)に該当すると考えるのが妥当で、警告提示も異論はない。

24分、エリア内に侵入したボーウェンがサリバのスライディングを受けて転倒。ボーウェンがバランスを崩しながらもプレーを続けようとしたため、スライディングからやや時間を置いての転倒にはなったが、サリバがボールに触れることができずにボーウェンの前進を妨害したのは間違いない。

ファウルだとするとSPAかDOGSO(決定機阻止)かという議論も発生するが、ベン・ホワイトが並行の位置でカバーに来ており、DOGSOの要件は満たさないと判断するのが妥当だろう。そうなると、エリア内でのボールに対するプレーなので懲戒罰は一段階下がってノーカードとなる。

44分、ツォウファルに警告。ボールに対するプレーではあったが、かなりの勢いでマルティネッリの足に足裏が入る形となっており、ラフプレーでの警告はやむを得ない。ツォウファルは納得がいかないだろうが、致し方ないイエローカードだ。

前半アディショナルタイムには、ウーデゴーのシュートをブロックしたクレスウェルのハンドを採ってPKのジャッジが下るも、VARが介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)の結果、PKは取り消しとなった。クレスウェルの腕が上がっていたので紛らわしかったが、映像で見れば頭にダイレクトで当たっていることは明確だ。PK取り消しは妥当で、オリヴァー主審としては「VARにより救われた」形だ。

49分、競り合いの中でボーウェンの肘がティアニーの顔に接触しファウル。ベンチ前だったこともありアルテタ監督はカードを要求していたが、肘を大きく振ったわけではないのでノーカードというジャッジでよかろう。

試合の講評

アーセナルに必要なのは、

「二の矢」と「強引さ」だ。

ジェズス離脱でアーセナルは正念場。

前半戦はメンバーを固定して好調を維持したアーセナル。攻撃陣を牽引してきたジェズスがワールドカップで負傷し離脱となり、今節ではエンケティアがスタメンとなった。ジェズスはフィニッシュよりも組み立てや崩しの局面での貢献度が高かったため、より直線的にゴールに迫るプレーを得意とするエンケティアに代役が務まるか…は注目の一戦となった。

一方のウェストハムは内容的には悪くないものの結果が付いてこない試合が続き、勝ち点をなかなか伸ばせない前半戦であった。今節ではスカマッカが負傷欠場となりアントニオが先発。個人的には、スカマッカの個の打開力は捨てがたい一方で、チーム戦術にハマりやすいのは利他性も備えたアントニオであるとも考えていたので、比較的理想に近いスタメンとなった。

プレスがハマらずウェストハムは潔く「撤退」した。

序盤からアーセナルがポゼッションを握り、ウェストハムが自陣で守るという予想通りの構図に。ウェストハムは立ち上がりには2トップ気味でのプレッシングを垣間見せたが、アーセナルが3バック気味で数的優位を作るとみるや、潔く自陣に撤退し4-2-3-1でブロックを敷くことに専念した。

これによりカウンターの脅威は低くなったが、アーセナル側としても縦パスが入らずに攻撃が停滞。サカやマルティネッリの個の仕掛けは崩しの一手になっていたものの、幅広く動いてボールを引き出すことができるジェズスの不在の影響はやはり大きかった印象だ。

前線常駐のエンケティアは、ポストプレーや裏抜けはまずまずのクオリティ。

エンケティアは前線に陣取って勝負するタイプであり、ジェズスのように中盤まで下がってボールを引き取ったり、サイドに流れてチャンスメイクをしたり…などは彼の得意とするところではない。

その一方で、シンプルなポストプレーや裏への抜け出しであれば一定以上のクオリティを持っている。また、ゴールシーンで見せたように、エリア内でフィニッシュに持ち込むセンスは光るものがある。

中途半端にジェズスの代役を担わせるよりは、彼の特長を活かしてプレーさせたほうがよい。裏への抜け出しで「深さ」を作ったり、ポストプレーでアタッカーを前向きに活かしたり…など、戦術やプレー選択を微調整するべきであろう。

エンケティアをシンプルに活かすのも一手。チームとしての共通意識が重要。

アーセナルが学ぶべきはむしろウェストハムが見せたサッカーかもしれない。アントニオにシンプルに当てて、ボーウェンやパケタが前向きでサポートする攻撃はシンプルだが機能性が高かった。アーセナルは丁寧にビルドアップしようという意識が高いが、出しどころがなくリズムが悪くなるくらいなら、エンケティアをシンプルに活かすプレーを混ぜ込むのも一手だろう。

この試合でも何度かガブリエウやベン・ホワイトが中距離のパスを通そうとするシーンは見られたが、サカやウーデゴーは相手を背負ってボールを受けようとしており、もしエンケティアにボールが入ってもサポートできる状況ではなかった。このあたりはチームとして狙いと共通意識をもってプレーする必要がある。

「いつもどおり」がうまくいかないときにどうするか。アルテタ監督の真価が問われる。

本ブログで何度も述べていることで、もはや耳タコかもしれないが、アルテタ監督の課題は主力が不在orコンディションを落としたときの戦術調整能力にある。90分間の中での選手交代や戦術調整も然り、長いシーズンの中での選手起用や戦術調整も然りだ。

メンバーを固定し戦術の熟成を図ったことで、「いつもどおり」であれば勢いをもって相手を圧倒できるようになってきた。アルテタ監督の次なる課題は、うまくいかないときの二の矢を打てるかどうか。攻撃戦術の肝であったジェズスの離脱期間は、アルテタ監督の真価が問われることになる。

丁寧なアーセナルには「強引さ」が必要かもしれない。

また、アーセナルには一種の「強引さ」が必要かもしれない。今節のサカの同点弾はウーデゴーの個の仕掛けと半ば強引なミドルシュートから生まれたし、逆転弾もサカの泥臭いボールキープをきっかけにマルティネッリが角度のないところからシュートをねじ込んでいた。

前半はシュートを打てそうな場面でパスを選択して不発に終わるシーンが目立ったため、シンプルかつ直線的にゴールに迫った後半のほうがあるべき姿といえよう。ジャカやトーマスなどミドルシュートのクオリティを持った選手も多いので、エリア外からのシュートももっと狙ってもよいのではないか。



本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。

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