「任せがち」な守備が目立つサイドバック。リヴァプールに甘さあり。(プレミアリーグ第17節)
イングランドプレミアリーグ第17節。エメリ就任で復調気味のアストンヴィラとなかなか波に乗れないリヴァプールの一戦を講評する。
アストンヴィラ vs リヴァプール
<Referee Topics>
選手と対話しつつ粛々と。
及第点以上は確実に付くだろう。
Referee:
ポール・ティアニー
Assistant referees:
コンスタンチン・ハツィダキス
ジェームス・メインウォーニング
Video Assistant:
サイモン・フーパー
19分、ドゥグラス・ルイスがロバートソンにチャージ。悪意はなかったものの足首あたりを踏みつける形になったので、ラフプレーで警告が出てもおかしくなかった。とはいえ、口頭での注意に留める判断も十分に受け入れられる。
26分にはファビーニョのスライディングをハンドと判定。やや遅れての笛となったので、おそらく手前側のメインウォーニング副審からの助言があったと考えられる。ティアニー主審は事象を見極められる位置にはいなかったようには思えた。
前半42分には、接触後に倒れこんでボールを挟み込んだバイリーのファウルを採った。接触はファウルに相当するものではなく、ノーファウルとしてプレーを続けさせたうえで、最終的にバイリーのファウルを採ったティアニー主審の判定は妥当なところだろう。(※静止しているボールを倒れこんで抱えた場合、「危険な方法でプレー」ということで反スポーツ的行為となる。より分かりやすく言えば、ボールを抱え込むことで「相手が危険な方法でプレーせざるを得ない状況を作り出した」ということになる)
後半はアストンヴィラが攻勢をかけたが、リヴァプール側が若干インテンシティを落としたことで落ち着いた試合展開に。とはいえ、簡単に倒れるプレーには厳しく、局面では激しい攻防が見られるタフなゲームを下支えした。
際どいファウルジャッジはいくつかあったが、選手とコミュニケーションを適切にとることで過度にフラストレーションを溜めこむ形にはならず。及第点以上は確実に付けられるだろう。
試合の講評
戦術浸透度と個のクオリティ。
エメリらしさを垣間見えたが。
チェンバレンはヌニェスと相性がよいはず。
ルイス・ディアスの離脱が長引き、フィルミーノも離脱。前線の懐事情が依然として苦しいリヴァプールは、左ウィングにチェンバレンを起用。直線的なプレースタイルはダルウィン・ヌニェスとまずまずの相性であり、相互補完の関係性を築ければチームの新たな武器になりそうだ。
一方のヴィラはエメリが得意とする4-4-2を採用。中盤の両サイドにマッギンとブエンディアというセントラルタイプの選手を起用する点も含め、ビジャレアル時代に対リヴァプールで採用したのと同じようなアプローチだといえよう。
「どっちつかず」だったヴィラ。戦術浸透度はまだまだ。
ヴィラは自陣に引いて守りを固めるのではなく、ある程度は前線からプレスを…という戦いを見せた。コンパクトな陣形を保つために自ずと最終ラインの設定は高くなったが、その裏を突かれるシーンが散見された。高めのライン設定にするのであればパスの出し手を封じる必要があったが、そこまでのプレッシング強度は出せていなかった。
一方の攻撃では、自陣でのビルドアップが手詰まりになるシーンが多くなっていた。フラットな4-4-2を採用しておりポジションチェンジもそこまで盛んでなかったので、リヴァプールのハイプレスの餌食になるのは必然であった。むしろ、逆サイドへの大きな展開や2トップの裏抜けorポストプレーをシンプルに活かす形のほうが、チャンスにつながっていた。
アストンヴィラとしては、やろうとしたことは間違いではないが、攻守両面で「どっちつかず」で中途半端だった印象だ。前線からのプレッシングはもう1段階強度を上げるべきだったし、攻撃では2トップをよりシンプルに活かしたほうがよかった。
ジェラード前監督時代はほぼ存在しなかった「戦術」らしきものは徐々に生まれつつある。しかし、即興性を軸にプレーしてきた期間が長い選手に対し、エメリの緻密な戦術を落とし込むのは時間がかかる。監督交代によるカンフル効果がやや薄まってくる中で、産みの苦しみのフェーズに入ったと言えるかもしれない。
独力で打開できるマティプのありがたみ。
一方のリヴァプールとしては、ヴィラの「どっちつかず」な振る舞いにより、特に攻撃面は思い通りにプレーができていた。ヌニェスやサラーが活きる裏のスペースがポッカリ空いており、次々とラインブレイクに成功。ビルドアップでも、サイドバックが高い位置をとることで両サイドハーフを押し下げつつ、中央ではセンターバックと中盤3枚で数的優位を作っていた。
リヴァプールのビルドアップにとって大きいのはやはりマティプの存在だ。ヴィラの2トップに対して数的同数になる場面もあったが、右サイドに持ち出してドリブルで前進するなど、独力でのプレス回避を見せていた。特に相手が2トップの試合では、数的同数でも優位性を出せるマティプの存在は非常に大きい。
後半に的確な修正。エメリらしさは見せつけたが、個のクオリティが足りず。
後半の立ち上がりは、エメリらしく前半の問題点をきっちり修正。プレッシングの強度を上げるとともに、2トップに対してシンプルにボールを届けるプレーが続いた。また前半はサイドで孤立する場面も多かった両サイドハーフ(マッギン、ブエンディア)が中央に動いてファビーニョの両脇のスペースに顔を出すなど、ボールを引き出す工夫も見られるようになった。
結果として、オフサイドで取り消されたもののワトキンスがゴールネットを揺らすなど、狙い通りの攻勢で「ヴィラの時間」は作り出せていた。そして、59分にクロスから1点を返すことに成功し、その後もボールを保持して攻勢をかけることができていた。しかし、ベイリーをはじめとする攻撃陣のプレークオリティが足りなかった。
クロス対応を「任せがち」なサイドバック。リヴァプール守備陣に必要なのは、意識改革か。
リヴァプールとしてはクロス対応の面で大きな課題を露呈した。失点シーン以外にも、前半からサイドバックとセンターバックの間でマークがフリーになる場面が続出。ヴィラ側のプレー精度が伴っていれば、前半から失点を重ねていてもおかしくなかった。
アレキサンダー・アーノルドとロバートソンは、ポジショニング自体はそれなりに的確なのだが、クロスに対して最後にマークを外す場面も散見される。両センターバックが高さと強さを持っていることもあってか、「できれば他に任せたい」という意識が働いているようには思われる。ここは戦術的に…というよりは、意識改革が必要なのではないか。
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