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吉田監督が疑問を呈したカード基準だが、岡部主審の判定は一定の妥当性あり。(J1第16節)

J1リーグ第16節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

審判Topics

トレヴィザンはノーカード。

酒井高徳はイエローカード。

両者の「状況」には差があった。

FC東京 vs 神戸

(主審: 岡部拓人 VAR: 山本雄大)

90+5分、仲川と山川が競り合い、こぼれ球をマルセロ・ヒアンが押し込むも、仲川のハンドでゴール取り消し。競り合いの中ではあるが、仲川の左腕にボールが当たっているのは確実。仲川は得点者ではないので「当たっていれば即ハンド」ではないが、左手でボールを押し返すような動き・力の加え方も見られるので、ハンドを採るのが妥当だろう。

90+8分、カウンターからGK前川をかわし、仲川が放ったシュートを本多がブロック。いわゆる「支え手」に近い腕の動きではあるが、だからといってノーハンドとはならない。腕は広がっており、ブロックの面積(バリア)を広げる行為は認められないので、かわいそうだがハンドを採らざるを得ない。体を投げ出してのブロックはリスクを抱えているのである。

なお、試合後にヴィッセルの吉田孝行監督が疑問を呈したイエローカードの基準に関しても振り返っておこう。

まず、33分、裏へのボールに対し抜け出したエリキをエンリケ・トレヴィザンが倒したシーン。接触としては追走する中でアクシデント的に足が絡んだ形だが、SPA(チャンス阻止)の判断で重要なのは「状況」であり、ファウルの質は関係ない。

ボールは大きく弾んでおり、かつゴール方向でもないのでDOGSO(決定機阻止)はありえない。SPAかどうかは際どいところだが、ボールがやや長くなった、大きく弾んでいたことをふまえると、ゴールライン際でなんとかコントロールするのが限界で、「大きなチャンス」に即つながったかは疑問符がつく。

イエローが出れば2枚目で退場ということもあり、ヴィッセル側のリアクションの気持ちはわかる。ただ、アクシデンタルな接触だったこともふまえると、ここのノーカードは妥当だったと思う。岡部主審としては、第4審と連携しつつ、結局はヴィッセルベンチまで出向いてコミュニケーション。リスタートまで時間は要したが、ここで自制を促したのはゲームマネジメントという点でも的確だったと考える。

つづいて37分、今度は酒井高徳が佐藤を止めたプレーにはイエローカード。ヴィッセルとしては「さっきは出なかったのに!」という気持ちになるのは当然だ。

両プレーを比較してみると、酒井のほうが「ファウルでも止めようという意図」は強く感じる。佐藤は既にボールをコントロールしており、スピードをもって前進していたのも、さきほどのエリキと比べると「大きなチャンス」になるポテンシャルは高かったと感じる。

したがって、トレヴィザンにはノーカード、酒井にイエローカードという「差」がついたジャッジにも一定の妥当性はあると感じる。繰り返しになるが、ヴィッセル側の気持ちはわかるし、個人的には酒井もノーカードで留めて「バランス」をとる選択肢もあったとは思う。ただ、岡部主審のジャッジも十分に妥当性はあるし、受け入れられる判定だったと思う。

G大阪 vs 広島

(主審: 福島孝一郎 副審: 日比野真、植田文平 VAR: 先立圭吾)

18分、自陣ゴール前でのパスミスから、パスカットしたジャーメインと慌てて戻った鈴木徳真が接触。当初はノーファウル判定だったが、VARが介入しOFRとなり、結果的にDOGSO(決定機阻止)で鈴木が一発退場となった。

リプレイ映像で見ると、ジャーメインに前に入られた鈴木が肩に手をかけているのは印象が良くない。下半身の僅かな接触であればノーファウルもありえたが、手をかける行為は正当性が見いだせず、ファウルを採らざるを得ない。状況としてはだれがどう見ても決定機であり、DOGSO間違いなしだ。

ガンバとしては強いプレスを受けたわけでもない状況だったので、福島主審としても予想外のボールロストだったはず。ガンバの前進に備えた位置取りだったので、完全に逆をつかれ、センターサークル付近での見極めを余儀なくされた。A2の副審からは見えた可能性があるが、副審としても予想外のボールロストだったはずで、ゴール方向にスプリントをかけるのが精いっぱいだったか。

横浜FC vs 福岡

(主審: 上村篤史 副審: 渡辺康太、大川直也 VAR: 小屋幸栄)

59分、村田のクロスに櫻川と上島が競り合い、こぼれ球を室井が押し込んでゴール。当初はA1の渡辺副審の旗が上がったが、VARのOR(オンリー・レビュー)によりオフサイドなしとなりゴールが認められた。

まず、室井は櫻川と上島が競り合った時点でオフサイドポジションだが、リプレイ映像で見ると、ボールに触れたのは上島のみ。そうなると、この時点でのオフサイドは成立しない。

ただし、上島は競り合って体勢を崩しながらヘディングしているので、「意図的なプレー」とは言えない部分もある。そうなると、その前の村田のクロスの時点でのオフサイドの可能性もあるが、ここでは室井はオンサイド。したがって、主観的な判断の余地なく「ファクト」のみの判断になるので、OFR(オン・フィールド・レビュー)なしでのジャッジ変更となった。

室井がオフサイドポジションであることを確認したのは副審で、ラストタッチが上島なのか櫻川なのかを判断したのはおそらく上村主審だ。リプレイ映像で見ると、上島が触れたのは明らかに見えるが、上村主審からすると「櫻川にも当たった」ように見えたかもしれない。

柏 vs 岡山

(主審: 飯田惇平 副審: 梅田智起、安藤康平 第4審: 野堀桂佑 VAR: 清水修平)

8分、レイソルの小泉のシュートを小屋松が押し込んでゴールネットを揺らすも、A2の安藤副審の旗が上がってオフサイド。最後の小屋松はオンサイドだったが、その前に仲間にボールが出たところがオフサイドで、オフサイドディレイをしていた形だ。⑲のオフサイドは僅かであり、しかも副審と逆サイドで、動きとしても戻り際。際どい判定だったが、見事な見極めだった。

90+3分、カウンターで渡井が鮮やかなゴールを決めるも、飯田主審の笛が鳴ってゴール取り消し。カウンターのところでレイソルのジエゴがファジアーノの立田に「追突」しており、これがファウルという判定になった。

単に走路が被っただけの接触であればノーファウルもありえたが、後ろから明らかに当たりにいっており、腕から肩にかけてを若干振るような動作が見えるのも印象が悪い。

飯田主審はボールのほうを追っており視野の端っこのほうで見えた程度だったように思う。もしかすると第4審あたりからの助言があったかもしれない。いずれにせよ、審判団として終了間際のカウンターをしっかり追走し、ファウルを見逃さずに判定を完遂したのは見事だった。

C大阪 vs 横浜FM

(主審: 岡部拓人 VAR: 川俣秀)

67分、左サイドを突破したマリノスが攻め込み、最後は宮市がヘディングでゴール。しかし、VARが介入してOFR。左サイドからの攻撃時に遠野がセレッソの上門の足を踏んでおり、ファウルでゴール取り消しとなった。リプレイ映像で見れば明白なファウルだが、リアルタイムだと偶発的な足の接触に見えがち。接触の位置も含め、笠原主審としては見極め難度が高かった。

清水 vs 町田

(主審: 山下良美 VAR: 今村義朗)

63分、こぼれ球に走り込んだ乾をドレシェヴィッチが倒してPK。先に乾がボールに触り、ドレシェヴィッチが遅れてしまった以上はファウルを採られてもやむを得ない場面だ。乾が「誘った」感はあるが、ボールを先に触ったのが乾である以上、ドレシェヴィッチが出した足に正当性はない。



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