サウスゲイト監督には攻撃戦術のグレードアップが必要。(カタールW杯)
カタールW杯準々決勝。イングランド vs フランスの一戦を講評する。
イングランド vs フランス
<Referee Topics>
またもVARに救われた
サンパイオ主審。
Referee:
Wilton Sampaio (Brazil)
Assistant referees:
Bruno Boschilia (Brazil)
Bruno Pires (Brazil)
Video Assistant:
Nicolás Gallo (Colombia)
イングランドの2点目のシーンでは、OFR(オン・フィールド・レビュー)の結果、PK。サンパイオ主審としては、当初はショルダーチャージという判断だったのだろうが、VARとしては「接触部位は肩じゃないよ」ということで介入したのだろう。
ボールは空中にあったのでDOGSOの要件は満たさず。警告で妥当だ。接触部位の見極めは比較的容易なパターンに見えたので、サンパイオ主審としてはVARなしで見極めたかったところ。割当試合数自体が多かったのもあるが、OFRの回数は多く、主審としてのパフォーマンスは「煮え切らない」印象が否めない。
試合の講評
攻めあぐねたイングランド。
攻撃の選手起用に疑問あり。
「浮いていた」ヘンダーソンは攻撃を打開できず。より攻撃的なマウントを先発起用していれば…。
前半時点で目立ったのはヘンダーソンが比較的フリーでボールを持つシーンだ。エムバペが自陣までプレスバックしないため、イングランドの右サイドで高めの位置をとるヘンダーソンのマークは浮きがちになる。エムバペはウォーカーがうまく対応していたので、序盤のポイントはヘンダーソンが攻撃面で違いを作れるか…であった。
しかし、フリーでボールを持ったとしても、ブロックで守備を固めたフランスに穴は少なく、なかなか有効なパスは出せなかった。ヘンダーソンは縦パスやクロスなどのキック精度は持っているものの、クリエイティブなタイプではなく、守備に穴を空けるような意外性のあるプレーは少ない。
例えば、ここにマウントを起用していれば、また違った展開があっただろう。ヘンダーソンのプレッシングは確かに特筆すべきクオリティ・強度であったが、マウントも守備貢献のレベルは高い。ヘンダーソンは途中出場でダイナミズムを注入する役割も担えたはずで、ベンチに置いていたほうが効果的だったようには思う。
フル稼働のサカよりは心身充実のラシュフォード?
また、大会を通じて右サイドのレギュラーとして活躍してきたサカだが、疲労の色が濃くこの試合ではプレー精度・キレを欠いていた印象だ。グループステージ3試合目は休養だったとはいえ、右サイドの攻撃メカニズムは彼のキープ力や仕掛けを前提として成り立っており、求められるプレー強度は非常に大きかったのだろう。
ここは限られた出場機会で存在感を見せていたラシュフォードの積極起用もありえたのではないか。対峙していたテオはドリブルでの仕掛けへの守備対応を苦手としており、より直線的にゴールに迫ることができるラシュフォードの起用は十分に有効だったはずだ。
フランスの生命線だったラビオの運動量。
フランスとしてはラビオの運動量が肝であった。サカとテオの1対1の状況に対して、きっちりスライドしてフォローしているのがフランス守備の生命線。エムバペの守備負担を「肩代わり」している状況で、彼が中央から守備の蓋をしていたことが、サカが得意とするカットインからのチャンスメイクを封じていた。
フランスのPK献上のシーンはテオの帰陣がやや遅れたところをラビオが埋めたが数的優位は作れず…という状況であった。エムバペが自陣まで下がらないので、左サイドをテオorラビオが「お留守」にしたところを突くのはイングランドの最も有効な攻撃手段になっていた。
また、フル稼働を続けてきたジルーのコンディションも明らかに重く、中盤に下がってのボールの引き出しも裏への抜け出しもなかなかできず。結果として、特に前半の攻撃は速攻とロングボールくらいしか有効打がなかった。
イングランドは攻撃のメカニズム・選手起用に課題あり。サウスゲイト監督の成長に期待。
とはいえ、フランスには電光石火のカウンターという武器があり、時間が経過するにつれてフランスに流れがいくことは明白であった。イングランドとしては、後半の序盤に攻勢の時間帯があった中で、攻撃的なカードを切る前に失点したのが痛恨であった。
前述のヘンダーソンなどの起用も含め、結果論ではあるがサウスゲイト監督の選手起用に課題があったことは否めない。攻撃のメカニズムは元々「タレント頼み」という感はあったが、その課題はなかなか改善されず。欧州予選のレベルではタレントの個の力だけで十分だが、ワールドカップやEUROではそこに采配がプラスされないと厳しい。
続投が決まったサウスゲイト監督としては、最先端の戦術が目白押しのプレミアリーグで見識を深め、豊富な攻撃陣を活かす最適解(そしてプランB)に辿り着きたいところだ。
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