自動画像

2つのレッドカードはいずれも妥当性あり。随所で光った西村雄一主審のマネジメント術。(J1第2節)

J1リーグ第2節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

複雑なPK蹴り直し判定は

競技規則の要約表をご参照。

湘南 vs 横浜FC

(主審:清水勇人 A2:堀越雅弘 VAR:山本雄大)

85分、エリア内でボールをキープした町野に対する中村匠海のファウルを採ってPK判定が下るも、VARのOR(オンリー・レビュー)によりオフサイドが確認され、PKは取り消しとなった。

結果的に最終ジャッジとなったオフサイドは映像で確認すれば明白だが、GKが前に出ていたり、湘南の波状攻撃に対してシュートブロックが相次ぐなど、堀越副審としては見極めは非常に難しい場面であった。堀越副審として悔やまれるのは、ラインキープが若干ズレてしまいオフサイドの見極めに失敗した先制点の場面だろう。

また、VARチェックにはかなり時間がかかったが、チェック対象の事項・事象があまりも多くやむを得ない所要時間だろう。最初は「PKに値するかどうか」という点をチェックし、その後はコーナーキックの開始に戻ったのち順にファウル(例えば守備側のハンドなど)やオフサイドの有無を見ていく必要がある。3分ほどでチェックが終わったのはむしろ速いほうにも思えるほどだ。

なお、もしオフサイドがなかったとした場合は、PK判定への介入はなかったと思われる。DAZN実況の桑原アナウンサーが指摘したように「接触はあったので”明白な間違い”とは言いがたい」事象だ。町野がやや「足を晒した」感じはあるものの、町野の鋭い切り返しに逆をとられた時点で勝負あり…という印象だ。

鹿島 vs 川崎F

(主審:西村雄一 VAR:上田益也)

79分、仲間の突破を阻んだ山村のプレーに対し、当初はノーカードの判断だったがVARが介入。西村主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行い、山村にはレッドカードが提示された。

DOGSOの要件に照らすと論点になりそうなのは「守備側競技者の位置と数」くらいだが、ファウルが起こった瞬間で映像を止めてみると、カバーが間に合う位置関係ではない。VARが介入したこと、映像を見た西村主審がレッドカードを提示したことは妥当だろう。

当初のノーカードという判定については、少なくとも警告は提示すべきだったと考える。西村主審のポジションだとファウルの瞬間のゴールとの距離は図りにくいが、仮にカバーが間に合っていたとしても最低でもSPA(チャンス阻止)には該当するようには見えた。

その後、後半アディショナルタイムにはシュートをブロックした荒木のプレーがハンドと判定され、荒木は一発退場に。与えられたPKを早川がいったんセーブするも、守備側競技者がキック前にエリア内に侵入していたことが確認され、VARのORにより蹴り直しとなった。

まずPKの蹴り直し判定については、JFAのサッカー競技規則のページに掲載されている以下の要約表が非常にわかりやすいのでご参照いただきたい。

https://www.jfa.jp/laws/soccer/2022_23/img/article_014_01.png

今回は「守備側競技者および攻撃側競技者による侵入」に該当するので、ゴール/ノーゴールにかかわらず蹴り直しとなるべき場面だ。VARが導入されている試合においては、キック前にエリア内に侵入したかどうかは明白に判断ができるので、早く入って利益を得たとしてもそれが実ることはない。キック前のエリア侵入は百害あって一利なしである。

また、荒木がハンドかどうかについては非常に微妙なところだ。腕をやや広げる動作は見られるが、ボールが当たったのは肩付近にも見える。個人的には、腕を広げたことにより接触面が広がったことがブロックに作用しているように見えたので、ハンド判定を支持したい。この事象に関しては西村主審が非常によい角度で見ていたこともオリジナルジャッジを後押しできる一因だ。ハンドであれば決定的な得点の阻止なので、自ずとレッドカードになる。

鹿島アントラーズにとっては、際どい判定でPKを採られた挙句、せっかく阻止したのに蹴り直し…ということで不満が残るジャッジにはなったが、どれも一定の妥当性はある。経験豊富な西村主審は、両チームの選手およびベンチと丁寧にコミュニケーションをとりながら進めたので、不満はあれども過度にヒートアップすることはなく試合を終わらせることができた。

柏 vs FC東京

(主審:山本雄大 VAR:池内明彦)

後半終了間際に中村帆高が2枚目の警告を受けて退場に。ファウル自体は柏側が「誘った」印象もあるが、結果的にボールに触れずに相手の足を払う形となっており、ファウルのみでも「無謀」と判断されてもおかしくない。また、ホイッスルが鳴った後に不満を投影する形でボールを蹴り飛ばしており、こちらも反スポーツ的行為に該当する。この試合は柏側のファウルが多く不満も溜まったとは思うが、このシーンに関しては退場処分は妥当でしかない。

札幌 vs 神戸

(主審:小屋幸栄 VAR:大坪博和)

94分、エリア内で仕掛けた金子を扇原が倒してPK。がっつり手がかかったわけではないが、ドリブルに付いていけずにホールディング気味になっているのは確実で、ファウルを採られるのは当然だ。スピードとアジリティに不安がある扇原はこの類のファウルが目立つ印象だが、すぐに手が出る悪癖は早急に改めねばならない。

各試合の講評

レッズは守備戦術の深化が必要。

横浜FM vs 浦和

最大のライバルのフロンターレを下したマリノスに対し、レッズは内容も結果も伴わずに敗戦。対照的な開幕戦を経た両者の対戦だが、スタメンは開幕戦と同じとなった。

マリノスはウィングが幅をとりつつ、両サイドバックがインサイドに入り込んで中盤や1トップのアンデルソン・ロペスをサポート。中央にレッズ守備陣を寄せたうえでサイドに展開する攻撃パターンで、特に前半は一方的に攻め立てた。追加点が取れず嫌なムードも漂った後半は、運動量が落ちた中盤より前を入れ替えるとハイプレスが蘇り、待望の追加点をゲット。シンプルながら効果的な戦術・采配で、見事な2-0の勝利を飾った。

一方のレッズはマリノスの柔軟なポジショニングの前にマークを捕まえきれず苦戦した印象だ。個々の守備意識は高くプレス強度自体はあるが、マークの受け渡しやコースの限定の仕方などに甘さが見られ、パスワークでプレス回避されるシーンが目立った。攻撃面はカウンターなどを中心に連動性と躍動感が出てきただけに、守備戦術の深化が目下の最優先課題になりそうだ。



本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。

Jリーグマニアを始めよう!
未登録でも記事投稿できます

アカウントがなくても、思いついた内容を すぐに記事として投稿できます。

いま話題になっている記事や、参考になりやすい内容をまとめてチェックしてみる