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W杯デビューのアルジャシム主審。過度に「神経質」にも思えたが要所は締めた。(カタールW杯)

カタールW杯グループステージ第1節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

アメリカ vs ウェールズ

<Referee Topics>

よく言えば「細やか」だが

悪く言えば「必要以上に神経質」

アメリカ vs ウェールズ

(Referee: Abdulrahman Al-Jassim VAR: Abdulla Al Marri)

試合の基準を決めたのは前半10分過ぎの2枚の警告だろう。ネコ・ウィリアムズに対して、遅れてスライディングが入ったデスト、後方から足を挟み込むような形になったマッケニーに警告を提示。個人的にはクリティカルヒットではないもののそれなりの危険性があり、イエローカードは妥当な判定であると感じた。33分のプリシッチに対するメファムのチャージもアフターではあったが、負傷リスクという点では一段階下がる。

アメリカの2つのファウルについては、試合序盤ということもあり口頭での注意のみで留める選択肢もありえたが、アルジャシム主審は躊躇なく警告を提示。ラフ気味のプレーに対してはカードを提示せずとも必ず注意を与えるなど、かなり細やかに(悪く言えば神経質に)対応していた印象だ。カードの基準を含め、試合が荒れないように…という点への意識はやや過剰に思えるほどに強かった。

40分のベイルへの警告はABEMA解説の戸田和幸氏が疑問を呈したように、やや厳しい判定にも感じた。ファウル判定自体は妥当だが、ラフプレーと言えるほどではなく、ウェールズ側が数的優位を作っていたことをふまえるとSPA(チャンス阻止)と判断するのも厳しい気がする。ここは上記の「荒れないようにという配慮」の負の側面が出たか。

後半終盤にウェールズに与えたPKについてはファウルであることに疑問を呈す人はごく少数だろう。ジマーマンはボールのみを突こうとしたものの、ボールに触れる前にベイルの足に接触しており、ファウルとするのが妥当だろう。即座にシュートは打てない状況であり、やや「焦って」しまい軽率にタックルをしてしまった印象だ。

終盤で審判としてもきつい時間帯ではあったが、よい距離&よい角度で事象を見極め、重要なジャッジを適切に下した。正しいポジショニングが取れていれば、主審自身も自信をもって判定できるし、判定の説得力も自ずと高まる。

試合前のコイントスでVARについて手厚く注意していたのが印象的だったアルジャシム主審。35歳ということで世代的にはマイケル・オリヴァーと同世代。アジアレベルでは既に重要な試合を多く担当してがW杯はデビュー戦であり、アルジャシム主審自身が必要以上に「バタバタ」していた印象もある。ここから経験を重ねて、ラフシャン・イルマトフや西村雄一のような世界で評価される審判に成長してほしいところだ。

各試合の講評

<試合の講評>

現代的なアメリカと古典的なウェールズ。

お互いに持ち味を出して痛み分け。

アメリカはポジションバランスが改善し、組み立てがスムーズに。

アメリカがボールを保持しウェールズが5バック気味に守りを固める予想通りの展開。アメリカは単にボールを回すだけでなく、相手を前におびき出した上で裏抜けを狙うなど、シンプルながら効果的に前進するシーンが目立った。

日本との強化試合では組み立てに苦戦したアメリカだったが、ウィングを含めた中盤5枚のポジションバランスが改善された印象だ。中盤セントラルのムサやマッケニーが前線まで顔を出したり、ウィングのウェアが引いてボールを受けたりと、最終ライン&アダムズからボールを引き出す工夫が見られ、試合の主導権を握ることに成功した。

後半はウェールズがフィジカル勝負を挑んできた中で、ボールを保持してウェールズの勢いを削ぐような振る舞いも必要だったが、縦に急いでしまいウェールズにボールをプレゼントしてしまう場面も見られた。攻勢だった前半に1点止まりになった点も含め、ゲームマネジメントという点は若いチームの最大の課題だろう。

ウェールズはムーア投入で巻き返し。古典的なロングボール戦術に活路が。

ウェールズとしては、後半に投入されたムーアが「脱出口」となった。前半は押し込まれる展開になる中でクリアボールをことごとくアメリカに拾われていたが、後半はムーアが大まかなクリアやロングフィードの受け手となり、強靭なフィジカルを活かしてボールをキープするシーンが見られた。

ダン・ジェームズやハリー・ウィルソンのスピードは特にカウンターの場面で魅力的だが、現時点ではムーアのキープ力を活かしながらのロングボール戦術のほうがコスパがよいのは間違いない。古典的でシンプルな戦術ゆえに相手に対策をされると限界を露呈しそうだが、現行のチームのパフォーマンスを最大化できる戦術であるのは間違いない。

なお、ベイルもキープ力は高いが、彼はあくまでも前を向いてプレーすることで持ち味を発揮するタイプ。ポストプレーヤーとして使うのはもったいない。ムーアを先発におき、相手にも疲労が見える終盤に推進力とドリブルでの仕掛けがあるダン・ジェームズを投入…というのが最も効果的か。



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