自動画像

アンディ・マドレー主審評:笛をタイミング、アドバンテージ適用。抜群。(J1リーグ第17節)

J1リーグ第17節。イングランドから来日したアンディ・マドレー主審率いる審判団のジャッジを講評する。

G大阪 vs FC東京

主審:

アンディ・マドレー

(Andy Madley)

副審:

浜本祐介

坂本晋悟

第4審:

道山悟至

VAR:

山本雄大

大塚晴弘

来日2試合目。若手副審+ベテランVARが脇を固める。

来日2試合目となったマドレー主審。初担当となったマネジメントの巧さを遺憾なく発揮した。

下位からの巻き返しを図るガンバ大阪と激しいプレーも目立つFC東京という難しい試合をどう裁くか…注目の一戦であった。

審判団の構成としては、前回は国際審判員で脇を固めたが、今回は2022年より国際副審を務めている浜本祐介がA1に入り、A2は国際審判員未登録の坂本晋悟が務める。第4審には今季からJ1リーグで副審を務めている道山悟至。それぞれ34歳、36歳、28歳と若い副審メンバーを「本場」のマドレー主審と組ませるという教育的な狙いが感じられる。

4人の審判団が先行投資の意味合いが強い面々となった一方、VARは現役国際主審の山本雄大、元国際審判員の大塚晴弘が担当。経験豊富な両名が現場の審判団をサポートする体制だ。

前節に続き、「火種を潰す」見事なマネジメント。

5分、ディエゴ・オリヴェイラに対するチャージでダワンをファウルを採る。球際の攻防が何度か続いたがボールに対するプレーとして許容したうえで、ボールにチャレンジできずにディエゴ・オリヴェイラに「衝突」したダワンのプレーは認めず。こうして、秩序を保ちつつも局面でタフな攻防が見られるゲームを演出していく。

10分、ジェバリと森重の接触は結局ジェバリのファウルを採った。とはいえ、頭同士の接触は偶発的であり、ジェバリも配慮なく頭を振ったわけではない。そもそもジェバリがボールに触れていることもふまえると、ノーファウル(&森重の容態確認)でもよかったようには思う。

26分、ディエゴ・オリヴェイラに対するホールディングにはアドバンテージを適用。そのうえで、ディエゴ・オリヴェイラがやや不満を示す素振りをしたのを見逃がさず、「ちゃんと見ているよ」のジェスチャーでガス抜きを図る。このあたりは前節でも見せた「火種を潰す」見事なマネジメントだ。

36分、ファン・アラーノに対するディエゴ・オリヴェイラのファウル。1度はアドバンテージを適用するも、ファン・アラーノの縦パスが失敗したのをみてロールバックした。縦パス失敗によりFC東京は「利益」を得られておらず、ロールバックしてフリーキックを与える判断は妥当なところだろう。落ち着いたレフェリングである。

48分、仲川の前進を阻んだ黒川にこの試合最初の警告。ファウル覚悟で後方からドリブルを止めており、黒川本人含め誰もが納得のイエローカードだ。レッドカードに値するほどではないが、確信犯的なSPA(チャンス阻止)で悪質な面はあったので、黒川をしっかり呼んでカードを提示。このあたりのカード提示のやり方も巧みだ。

遅延行為への抑止的な対応も見事。選手との信頼関係を築けている。

56分、ファウル後にフリーキックの前に立ち塞がったジェバリに注意を与える。ガンバがリードしている展開で、ここからはプレーを遅らせる行為の頻度が高まる可能性が高い状況。この時点で自制を促しておくのは賢明だ。

ジェバリに対してはその後もヘディングの競り合い関連でちょくちょくコミュニケーションをとる場面が見られた。自身がファウルを採られる(ほぼすべてアドバンテージ適用で流されたが)ことへの不満を示していたので、基準を説明しつつガス抜きをしておく。丁寧な配慮でジェバリが不満を溜めこむのを防いだ。見事なマネジメントだ。

58分、少し前に倉田へのレイトチャージを犯していた東に警告を提示。足を折り畳んではいたものの、遅れている&足首あたりを巻き込むように接触していることをふまえると、警告は必要なシーンだ。SPAであればアドバンテージ適用により懲戒はナシになるが、今回はラフプレーなので後出しが可能だ。

60分の半田のゴールシーンでは、ゴール直前に木本と山本が接触しているがノーファウルでゴールを認めた。クリアを試みた木本に対してやや遅れて山本が飛び込んでいるのは確かだが、ボールに飛び込む中でのやむを得ない接触であり、クリアへの影響もほとんどないように見えるのでノーファウルでよかろう。

際立ったリスクマネジメントとコミュニケーション。

終盤にはFC東京にアクシデントが続出。黒川と競り合った際に頭を強打した木本が脳震盪による交代となり、交代人数と回数にはカウントしない特別な交代となった。マドレー主審としては、ジェスチャーで脳震盪による交代であることを示しつつ、第4審の道山氏とも連携して対応した。言葉が通じない選手がいる中では難しい運用になるが、落ち着いて対応した。

最終盤にはジェバリに警告を提示。ジェスチャーを見るに、ファウルの繰り返しによるものと思われる。ファウルの数はかなり増えていたので、ここで抑止的な警告提示はアリだろう。

J1リーグ2試合目にして最後の担当となったが、前半10分のファウル判定を除けばほぼパーフェクトと評してよいだろう。とりわけリスクマネジメントと選手とのコミュニケーションの点は、日本人審判員が大いに学ぶべき部分だ。最後はキリンチャレンジカップで有終の美を飾り、圧巻の3試合のレフェリングを見せつけ、マドレー主審は日本を去っていった。



本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。

Jリーグマニアを始めよう!
未登録でも記事投稿できます

アカウントがなくても、思いついた内容を すぐに記事として投稿できます。

いま話題になっている記事や、参考になりやすい内容をまとめてチェックしてみる