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アディショナルタイムの考え方 ― 表示の際は秒数を切り捨て。ゆえに長さには「幅」がある。

J1第11節。名古屋 vs 神戸の一戦でアディショナルタイムを巡る議論が巻き起こっている。

酒井高徳を含む神戸陣営が主張しているのは「アディショナルタイムが長すぎる」という点だ。この主張が妥当なのかどうか、そしてそもそもアディショナルタイムはどのように計算・表示されるのか…を確認してみる。

アディショナルタイムは秒以下を切り捨てで表示。

まず、事実を確認しよう。名古屋の劇的な同点弾が決まったのは、DAZN中継の時計で97:15あたりで、その後すぐに試合が終わったので、アディショナルタイムは約7分程度であったと思われる。

ここで最初に確認しておくべきは、アディショナルタイムの表示方法だ。2011年のJFAからの通達には、以下のように記載がある。

表示する時間は分単位とし、秒は切り捨てる。例えばアディショナルタイムが2分0秒~2分59秒の場合は「2」を表示する。

JFA審判委員会からの通達(2011年7月5日)

つまり、今回表示されたアディショナルタイム「5分」は、必ずしも5分ぴったりで試合を終わらせるというわけではなく、最長で5分59秒までの「幅」を持った数値表示なのである。

齊藤未月の退場で約1分強プレーが中断。厳密にカウントすれば、アディショナルタイムは7分以上ある。

次に考えるべきは、アディショナルタイムの目安の表示後に加算される時間だ。JFAからの通達を再び参照してみよう。

アディショナルタイム中にさらに空費された時間を加えるような状況になっても改めてその時間を表示することはない。

JFA審判委員会からの通達(2011年7月5日)

すなわち、アディショナルタイムの表示後に空費された時間があった場合、アディショナルタイムは表示よりも延びる可能性がある。この試合の90分以降の試合映像を基に、プレーが止まった時間をカウントしていくと、以下のようになる。

90:30-名古屋の選手交代。10秒。

92:05-神戸のスローイン。10秒。

93:10-名古屋のスローイン。10秒。

94:30-名古屋のスローイン。武藤がスローワーに絡んで位置修正。10秒。

95:03-96:28:神戸のファウル。リスタートを遅らせた齋藤未月に警告、退場。齋藤がピッチから出たうえでピッチ脇からも去るまで試合を停止。約1分25秒。

上記を単純に足し上げると、約120秒になるので、アディショナルタイムは合計で最大7分59秒。名古屋のゴールが決まったのは、97:15なので十分に許容できる範囲だ。したがって、審判団のアディショナルタイム運用は少なくとも不当なものではない。

「90+5+1」とは限らない。アディショナルタイムの表示には「幅」がある。

なお、上記のスポニチの記事内では、「第4の審判の方が“アディショナルタイムを(5分にプラスして)1分追加します”と言っていた」という吉田監督の話が紹介されている。上記のカウントのうち、スローインの時間を除いたうえで、齊藤未月に関わる時間を少なめに見積もれば約1分の加算というのもありうる。

酒井高徳をはじめとして多くの方は「90分+5分+1分=96分」という計算をしているようだが、前述したように「アディショナルタイム5分」の表示は「5分00秒」を必ずしも指すわけではない。最大で「5分59秒」までが含まれているので、最大値でとるのであれば「90分+5分59秒+1分=96分59秒」となる。

名古屋のゴールが決まったのは97:15ごろだったが、その前から連続攻撃となっており、96:59~97:15の間に試合を終わらせるのは現実的ではなかった。したがって、プレーを続けさせた審判団の判断は妥当だし、97分付近まで試合を続けさせた判断と第4審の「アディショナルタイムを1分追加」という発言はなんら矛盾していない。

実際にはピッタリで終わることも多いが…。競技規則の正しい理解を。

実際の試合では「アディショナルタイム5分」の表示の際に、5分+数秒で試合が終わることは多いので、その感覚に慣れていると今回のアディショナルタイムが「長すぎる」と感じる気持ちはわかる。

しかし、アディショナルタイムは秒以下を切り捨てで表示しており、幅がある数字なので、その範囲内でアディショナルタイムをとることは正当性がある。競技規則を正しく理解いただき、審判団が不当な批判を受けることがなきようにしていただきたい。



本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。

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