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ムヌエラ劇場。VAR介入3回、OFR2回、PK3本。スペイン審判団の大立ち回り。(CL第1節)

チャンピオンズリーグのMatchday1。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee topics

VARなしで見極めたいレベルの

判定で見逃し多発。

バイエルン・ミュンヘン vs ディナモ・ザグレブ

(Referee: Juan Martínez Munuera Assistant Referee: Diego Barbero Sevilla、Miguel Martínez Munuera VAR: Ricardo de Burgos Bengoetxea)

スペインにおけるVARの第一人者として評価されているフアン・マルティネス・ムヌエラ氏が主審を担当するも、VAR介入が3回、うちOFR(オン・フィールド・レビュー)が2回、PKが合計3本と「てんこ盛り」の展開に。VARのベンゴエチェア氏も大忙しの試合となった。

まずは前半16分、ニャブリがゴールネットを揺らすも、VARが本日1度目の介入。ニャブリのオフサイドでゴールは取り消したうえで、その前にパブロヴィッチに対するガブリエルのファウル(トリッピング)があったことを確認してバイエルンにPKを与えた。

今回の場合、オフサイド判定だけならVARのOR(オンリー・レビュー)のみで判定変更が可能だが、その前にPKの可能性があり、OFRとなった。ファウル判定、オフサイド判定ともに、欧州トップレベルの審判としてはVARなしで見極めたかったレベルには思える。

59分、ニャブリのシュートのこぼれ球をケインが押し込むも、本日2度目のVAR介入で取り消し。ニャブリがオフサイドであり、前半にオフサイドの見極めに失敗したA2のミゲル・マルティネス・ムヌエラ副審に続き、A1のディエゴ・バルベロ・セビージャ副審も見極め失敗となった。こちらもVARなしで見極めたいレベルのラインジャッジには思えた。

69分、バイエルンのコーナーキックの場面で、本日3度目の介入にして、2度目のOFR。ヘディングでのシュートがミシッチの右手に当たっており、ハンドでPKとなった。ミシッチはやや遅れて寄せる形になっており、ヘディングでの競り合いではなくシュートブロックを試みる中で、胴体から離れた腕にボールが当たっている。ハンドでPKという判定はやむを得ない。この判定については、選手が密集していること、主審からだと選手自身の体に隠れて接触ポイントが見えにくいという点で、難しい判定だった。

76分、エリア内に侵入したアルフォンソ・デイヴィスが倒され、バイエルンに本日3度目のPK。ルーズボールに対して、カトリーヌがデイヴィスの足を踏みつける形になっており、ファウル妥当だ。今回は至近距離で事象を確認し、接触の有無を冷静に見極め、VARなしで妥当な判定にたどり着いた。

ASモナコFC vs FCバルセロナ

(Referee: Allard Lindhout VAR: Dennis Higler)

10分、バルセロナの自陣でのビルドアップに対してモナコの南野拓実が食いつき、エリック・ガルシアからボールを奪ったところで引き倒されて転倒。アラルト・リントハウト主審(オランダ)はエリック・ガルシアにイエローカードを提示したが、直後にレッドカードに判定を変更。ビデオシグナルなどはなかったので、おそらく副審と協議のうえで判定を変更したと思われる。

ゴール前中央で、GKテア・シュテーゲンと1対1になる状況であり、DOGSOの4要件として「位置」「方向」を満たすことに異論の余地はない。味方選手のカバーも間に合っておらず、「守備側競技者の位置と数」も要件を満たす。ボールがやや流れたので、「プレーできる可能性」という点は若干微妙で、リントハウト主審としてもその点で当初は警告を提示したと思われる。

ただ、ホールディングがなければテア・シュテーゲンがキャッチする寸前でかわせていた可能性はあり、その位置関係はA2を務めたパトリック・イニア副審からは見やすかったと思われる。結論としてDOGSOで一発退場という判定が妥当だろう。リントハウト主審としては、先に副審との協議をおこなったうえでカードを提示できればよかったが、最終的にしっかりと協議をして妥当性のある判定を下すことができたのはよかった。

アタランタ vs アーセナル

(Referee: Clément Turpin VAR: Jérôme Brisard)

48分、エリア内にエデルソンがドリブルで侵入し、追いすがったトーマスともつれ合うようにして転倒。クレマン・トゥルパン主審(フランス)は、PK判定を下した。

ドリブルで入れ替わられ突破を許した中で、トーマスとしても焦って腕を掴んでしまった形。最終的な転倒の仕方はややわざとらしさがあったものの、腕をしっかり掴んだ以上はホールディングのファウルとなるのはやむを得ない。

トゥルパン主審としては中央寄りの位置にいたことが奏功し、トーマスの腕の動きを見極めやすい角度で事象を確認できた。ポジショニングが最高だったので、自ずと判定は「Easy Decision」になった。

レアル・マドリード vs VfBシュツットガルト

(Referee: Halil Umut Meler VAR: Rob Dieperink)

33分、エリア内でこぼれ球に反応したリュディガーが相手との接触を訴えて倒れ込み、ハリル・ウムト・メラー主審(トルコ)はPKを宣告。ここでVARが介入し、OFRの結果、PKを取り消した。ミッテルシュテットは寸前で足を止めており、接触はあったとしても「掠める」程度だったので、ノーファウル判定が正しいと考える。

映像の角度によって「かすって」いるように見えるものもあるが、あの程度の接触で大げさに痛がるのは「演技」だと捉える人が多いだろう。ファウル判定を「明白な間違い」と捉えて介入したVARの判断は妥当であり、結果的に納得感のある判定に繋がったと考える。

ボローニャ vs シャフタール・ドネツク

(Referee: Rohit Saggi VAR: Jérôme Brisard)

開始早々の2分、エギナウドの裏への抜け出しに対し、追いすがったシュテファン・ポッシュが交錯して転倒。ロヒート・サッジ主審(ノルウェー)は迷いなくPKを宣告し、ポッシュにイエローカードを提示した。

状況としてはDOGSO(決定機阻止)であり、ホールディングなら一発退場の可能性もあった。足のファウルのほうを採用するなら、ボールに対するプレーということで一段階軽減されてイエローカードになる。今回は、肩に手がかかりかけたものの振り払われており、結果的には足の接触が転倒に直結している。PK+イエローカードという判断で妥当だろう。

個人的にサッジ主審のレフェリングを見たのは初めてだったが、開始早々で体力に余裕はあるとはいえ、ロングボールにしっかりと付いていけるスプリント能力の高さは魅力だ。1992年生まれの32歳とまだ若く、強豪国とは現状言い難いノルウェー出身ということで、欧州のビッグマッチの担当にも入りやすい。今後10年で欧州のトップにたどり着く可能性も持っているだろう。

セルティックFC vs スロヴァン・ブラチスラヴァ

(Referee: Danny Makkelie VAR: Rob Dieperink)

55分、エリア内でこぼれ球に反応したところでファウル。ダニー・マッケリー主審(オランダ)はPKを宣告し、VARも判定をconfirmした。

こぼれ球に対して、先に触れたのはセルティックのアリスター・ジョンストンで、そのあとにスロヴァンのイグナトエンコの足が出てきた形。双方ともボールを蹴ろうという意思はあったが、イグナトエンコは結果的にジョンストンの足を蹴る形になっており、ファウル判定は妥当だろう。

マッケリー主審としては、きわめて近い距離で事象を確認し、迅速かつ毅然として判定を下した。説得力があるポジショニング、自信に溢れた振る舞い…という点で、堂々たるレフェリングだった。世界最高と評された同胞のカイペルス主審の引退後、オランダの第一人者として君臨しているマッケリー主審。40代に突入した中で、そろそろCL決勝にたどり着きたいところだが…。今季は勝負のシーズンかもしれない。



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