後手に回って手がかかる。立田のホールディング癖は改善の気配なし。(J1第20節)
J1リーグ第20節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee Topics
立田は何度目のホールディングか。
酒井宏樹の件は
大騒ぎするほどではない。
浦和 vs FC東京
(主審:ハミス・アル=マッリ VAR:木村博之)
審判交流プログラムで来日したアル=マッリ主審の3試合目。副審には国際副審の淺田武士、元国際副審の八木あかねが入り、VARは木村博之。日本を代表する審判の面々が脇を固める豪華な陣容となった。
この試合では、酒井宏樹が自身の負傷につながったプレーについて発言したことで一騒動あった。
アル・マッリ主審は当該シーンではアドバンテージを適用しており、エンリケ・トレヴィザンのファウルを採っている。よって「正当なチャージ」とは言えないのだが、通常の競り合いの中でやや遅れて接触した…というだけであり、不用意ではあるものの悪質さはない。ファウルではあるもののリーグとして大きな問題にするようなプレーではなく、酒井宏樹の発言撤回は適切だったと言えよう。
新潟 vs 神戸
(主審:福島孝一郎 VAR:山本雄大)
70分、こぼれ球に反応した秋山と佐々木が接触。当初はノーファウル判定だったが、VARが介入しOFRに。結果的に、福島主審は映像を確認したうえで、秋山にイエローカードを提示した。
リプレイ映像で見ると、秋山が右足でボールに触れたのち、その勢いで足裏が佐々木の左足首に入っていることが確認できる。とはいえ、そこまで強い強度ではなく、かつボールに対するプレーでもあるので、ファウルでイエローカードという判断が妥当だろう。
福島主審としては自らのほうにボールが寄ってきてしまい、その回避行動をとっている最中の出来事だったので、接触点にフォーカスしきれなかったか。個人的には「明らかにレッドカード」という事象には思えなかったので、もし福島主審がファウルを採っていればVAR介入はなかったかもしれない。見極めは決して簡単ではなかったが、トップレフェリーとしては正確に見極めたかったシーンだった。
柏 vs 湘南
(主審:今村義朗 副審2:鈴木規志 VAR:上田益也)
77分、裏に抜け出しかけた大橋が倒れるも、当初はノーファウル。ここでVARが介入し、OFRの末に立田のファウルを採って退場処分とした。
立田の手が大橋に掛かっており、「引っ張っている」とまではいえないが「抱え込んでいる」のは確かで、十分にホールディングの反則であるといえる。ファウルであることはほとんど議論の余地がない。(立田は過去にも攻撃陣の動き出しに遅れをとって手をかけてしまう…というシーンを繰り返しており、残念ながら悪癖が改善される気配がない)
あとは状況がDOGSOに値したか…という点だが、プレー方向やゴールとの距離、守備側競技者の位置と数は明らかに満たすので、論点になるとすれば「ボールをコントロールできる可能性」のところだろう。ただ、ボールは弾んでいたものの、ワントラップで十分にコントロールできる状況だと考えるのが妥当で、結果的にDOGSOでレッドカードという判定は適切だと思われる。
今村主審としては、中央寄りのポジションだと立田のホールディングが立田自身の体で隠れる形になっており、しっかりと確認しきれなかったか。ここは多少遠いとはいえ立田の腕の動きが見えうる位置にいたA2の鈴木副審がサポートしたかったところだが、判断しきれずVARに救われる形となった。
なお、A2の鈴木副審はその後の湘南のフリーキックの場面では、こぼれ球の攻防で湘南側のプッシングを見極め、フラッグアップしてファウルサポートを行った。…のはよいのだが、ファウルを犯した大橋はそもそもオフサイドポジションだったようにも思われるので、一概に「ナイスジャッジ」とは言いきることはできない。今後に向けて糧としていただきたいところだ。
川崎F vs 横浜FC
(主審:松尾一 VAR:中村太)
33分、エリア内で仕掛けた宮代が倒れてPK判定。山根のスライディングをファウルと判断し、VARも介入せずにジャッジ確定となった。
山根は宮代の後方から足を伸ばしてボールには触れているものの、ボールと同時もしくはやや先に宮代の足に接触している。「ボールに触っていればノーファウル」というわけにはいかず、ボールを刈り取る前に相手に接触してればファウルを採られてしまう。際どい判定ではあったが、DAZN解説の福田正博氏が指摘したように「後方からのスライディングはリスクが伴う」という点も含めて、ファウルという判断は間違いとは言えない。
VARとしては、松尾主審が「ボールには触れたがそれよりも先に宮代に接触している」という判断であれば、それが「明白な間違い」とは言えないので、介入するのは難しい。ただ、タイミングはかなり際どいので、仮に松尾主審が「ボールに先に触れているのでノーファウル」と判断したとしても、それを覆す証拠は提示できず、介入なしだったかもしれない。
松尾主審としては、争点への距離の詰め方がやや甘く、かなり遠い位置からの判定にはなったが、なんとか角度を作って見極めた。50歳という年齢もあって走力自体を高く保つのは難しくなってきたが、経験に基づくポジショニングでなんとかカバーしている。
各試合の講評
首位決戦は痛み分け。
互いの良さを遺憾なく発揮。
名古屋 vs 横浜FM
首位と2位の直接対決。堅守速攻のグランパスとアタッキングフットボールを志向するマリノスという、戦術面でも対照的な両者の注目の一戦となった。
試合は中盤でのボール奪取からのショートカウンターで先制したグランパスに対し、マリノスは一森のパントキック1本でラインを突破し、グランパスのお株を奪うカウンターで追いついた。その後は敵陣バイタルエリアでのテンポのよいパス回しから藤田が決めるも、グランパスもカウンター気味の速攻からユンカーが同点弾をゲット。互いに持ち味を発揮しての痛み分けとなった。
後半終了間際にマテウスのゴールがオフサイドで取り消しとなるなど、試合を優位に進めたのはホームのグランパスだったという印象だ。持ち前の速攻に加え、両ウィングバックが幅をとりつつ、2シャドーがワイドに動いて有機的に絡む形で、遅攻の際のパターンも増えつつある。代えが利かないユンカーについても途中出場の酒井がまずまずのプレーを見せて底上げの兆しが見られる。今季のグランパスは、久々の優勝が期待できる底力を感じる。
一方のマリノスは各ポジションの層が厚く、レギュラー安泰のポジションはGKの一森くらいというハイレベルな競争のもとにある。欠場した喜田に代わって起用された藤田がゴールに絡むなど、控えに回っている選手も少ない出場機会でアピールに成功しており、チーム内には健全な競争が生じている。ハイラインを敷く一方で最終ラインにスピードが欠けているため、カウンターへの脆さは気になるが、それを補って余りある攻撃力で、最後までシャーレを争いそうな印象だ。
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