ジャンプの瞬間のプッシングは体勢を崩しやすい。エスパルスのゴール取り消しは妥当。(J1第15節)
J1リーグ第15節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
審判Topics
小屋松はジャンプの瞬間に
後ろから押されている。
タンキの右手に正当性はない。
柏 vs 清水
(主審: 川俣秀 VAR: 御厨隆文)
86分、エスパルスのコーナーキックからドゥグラス・タンキがヘディングでゴール。しかしVARが介入し、OFR(オン・フィールド・レビュー)の結果、レイソルの小屋松に対するドゥグラス・タンキのプッシングを採ってゴール取り消しとなった。
リプレイ映像で見ると、右手が明らかに出ているので印象はよくない。エスパルス側はおそらく「ほとんど力が加わっていない」と主張するだろうが、小屋松はステップを踏んで跳ぼうとしたところなので、少し押されるだけでも体勢は崩れる。小屋松の転び方はオーバーではない。プッシングは映像で見ると初見よりも「露骨に」見えがちではあるが、今回の判定に関してはプッシングを採った判断は十分に受け入れられる。
川俣主審としては、ボールを追いながらニアサイドの競り合いにフォーカスしており、目をやったころには小屋松は倒れていたのかもしれない。接触を確認したうえでノーファウルという判断であればVARは介入しないはずなので、今回は接触を確認できておらず「重大な事象の見逃し」であったと考えられる。
湘南 vs 広島
(主審: 山本雄大 VAR: 大坪博和)
2分、サンフレッチェの中村草太のドリブルに対し、ベルマーレの鈴木淳之介とキム・ミンテが対応。キム・ミンテが中村の左腕をホールドしており、これがファウルでPKとなった。
このシーンでは当初、鈴木にイエローカードが提示されたが、VARが「人ちがい」として介入しOFRとなり、カードはキム・ミンテに変更となった。山本主審としては、倒れ方からしてホールディングがあったことを認識したはずだが、3選手が重なる中で「どちらの腕が絡んだか」が明瞭に見えなかったか。
VARのチェック対象は4種類あるが、「ゴール」「PK」「一発退場」がほとんどで、「人ちがい」での介入は非常に珍しい。なお今回はたまたまPK絡みのシーンとなったが、エリア外でのファウルでイエローカードが出た場合も、明らかにカード提示の対象者が間違いであればVARは介入できる。
72分、こぼれ球に寄せてマイボールにした佐々木翔に対し、ルイス・フェリッピが後ろから蹴りを入れるような形になり、佐々木が激昂。タイキックのようなプレーであり、ボールにチャレンジする余地がないラフプレーだ。そこまで思いっきり足を振ったわけではないが、個人的にはイエローカードを提示してもよかったように思う。
東京V vs 横浜FC
(主審: 先立圭吾 VAR: 中村太)
76分、裏に抜け出したヴェルディの川崎に対し、横浜FCのンドカ・ボニフェイスが決死のスライディング。ファウルであればDOGSO(決定機阻止)になりそうなシーンだったが、主審はノーファウルと判定し、VARも介入しなかった。
初見の印象としては、川崎が先にボールを触り、ンドカが遅れて突っ込んだように見え、ファウルだと感じた。しかし、リプレイ映像で見ると、ンドカは左足で僅かにボールに触れている。
ボールに触れていない右足の印象が強く残るが、左足のボールタッチがあるので不当なタックルとは言えない。ファウル判定もありえるが、ノーファウルでも一定の妥当性はあるので、VARの介入は難しいだろう。
先立主審としては縦に速い展開に対しフルスプリントで追走。できうる限り近い位置までは寄ったが、正直なところ、あの接触をよい角度で見極めるのはどんな主審でも難しい(本来なら外に回り込みたいが間に合わない)。足の接触は体に被って見えにくかったはずなので、ボールの動きを参考にンドカが触ったと判断したか。
福岡 vs 鹿島
(主審: 上田益也 VAR: 今村義朗)
40分、アントラーズのレオ・セアラがアビスパの田代に倒されてPK。追走する中で偶発的な接触だとは思うが、足が絡んで倒してしまった以上はファウルを採らざるを得ない。
ゴール正面ではなく、そのままシュートに持ち込むには角度も厳しかったので、SPA(チャンス阻止)という解釈が妥当。今シーズンは「ボールへのチャレンジ」を広く(甘めに)捉えるので、懲戒罰は一段階下がってノーカードという判断でよいだろう。
名古屋 vs 岡山
(主審: 上村篤史 副審: 道山悟至、藤澤達也 VAR: 池内明彦)
75分、アビスパのブラウン・ノア・賢信がロングボールに競り合い、ヘディングでつないだところを木村が押し込むもオフサイド。木村はオフサイドポジションであり、判断ポイントはラストタッチがアビスパかグランパスかという点。
リプレイ映像で見ると、ブラウン・ノア・賢信が確実に触っているので、オフサイドだ。上村主審とA1の道山副審の双方の見事な見極めだった。
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