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川俣主審は大忙し。急病対応は称賛に値も、OFRによる判定変更は疑問が残る。(J1第17節)

J1リーグ第17節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

確信をもって判定変更

できる映像証拠はあったのか。

G大阪 vs FC東京

(主審:アンディ・マドレー

VAR:山本雄大)

マドレー主審の来日2試合目。詳細は別記事で講評する。

C大阪 vs 神戸

(主審:西村雄一 副審1:武部陽介 VAR:笠原寛貴)

61分、コーナーキックから佐々木のヘディングが決まるも武部副審の旗が上がりオフサイドでゴール取り消しとなった。オフサイドポジションにいた齊藤未月が佐々木のヘディングに反応してジャンプしており、GKに明らかに影響を与えたと判断できる。武部副審のフラッグアップと審判団としてのゴール取り消しという判断はいずれも妥当だろう。

なお、この試合は機材故障によりVARが不適用で開始。前半はそのまま試合が進むも、後半は機材が復旧してVARが適用されての試合進行となった。テクノロジーゆえに機材故障はつきものだが、再発防止に期待したい。

名古屋 vs 福岡

(主審:川俣秀 VAR:飯田淳平)

39分、コーナーキックからユンカーがヘディングシュート。前嶋に当たったあと村上が掻き出していったん再度のコーナーキック判定となったが、ここでVARが介入。川俣主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行い、前嶋のハンドを採ってPKを与えた。

リプレイ映像で見ると、前嶋の右腕にユンカーのシュートが当たっていることが確認できる。そこまで不自然な位置・広がりではないものの、シュートブロックを試みた場面であり、胴体からやや離れている以上はハンドを採られてもやむを得ない。

60分に佐藤が藤井と接触して倒れたシーンもノーファウルの当初判定に対してVARが介入し、本日2度目のOFR。結局、藤井のファウルを採って名古屋にPKを与えた。佐藤が先にボールを触ったことは間違いなく、あとは藤井と佐藤の接触があったか&あったとしてどの程度だったかという判断になる。

川俣主審は比較的短時間でOFRを終えており確信をもって判定変更を行ったと思われるが、個人的にリプレイ映像を繰り返し見た限りは「明らかに接触がある」ことを示す証拠は確認できず、何をもって判定変更に至ったのかがわからなかった。

OFRでは最初に「ポイント・オブ・コンタクト」と呼ばれる接触の瞬間の静止画を確認する場合が多い。今回もまずポイント・オブ・コンタクトを確認していたが、私が見る限りは明らかに接触しているようには見えなかったし、その後のスロー再生の映像でも印象は変わらなかった。

OFRにおいては2つのアングルの映像を確認していたが、最初の角度(ゴールキーパー側からの視点)では確かに接触があったようには感じられる倒れ方に見える。しかし、その角度からだと肝心の接触の程度が藤井自身の体と重なって確認できないように思う。最後に逆角度の映像も見ていたが、その映像だと佐藤のほうが「跳んで」いる印象がより強まり、PK判定からはより遠ざかるように思う。

このあたりはVARとの交信内容などがわからないことにはこれ以上の考察は不可能なので、Jリーグジャッジリプレイ(こちらは家本氏の個人的な見解だが)やレフェリーブリーフィングでの審判委員会からの発信などを待って改めて考察することとしたい。

なお、この試合では82分にスタンドで急病人が発生。川俣主審はスタンドを確認して速やかに試合を停止し、名古屋のチームドクターに対応を要請するなど迅速な初期対応を行った。川俣主審は今季J2開幕戦の磐田vs岡山でもスタンドのファンの急病に気づいて対応を行っており、(その他の判定とは切り離して)視野の広さと対応の早さは手放しの称賛に値する。

横浜FM vs 柏

(主審:池内明彦 VAR:御厨隆文)

11分、エウベルが立田に倒されてPKを獲得。エウベルの鋭い切り返しに対応できなかった立田のスライディングの残り足がエウベルに接触している。スライディングを見越したエウベルが意図的に右足を「残した」印象はあるものの、接触は明らかでファウル妥当だろう。池内主審はエウベルにボールが渡った時点で争点に近いポジションをとっており、まさしく「目と鼻の先」の位置で見極め。説得力があった。

87分には、立田に対して続けざまに2枚の警告が提示され退場処分に。宮市の突破をユニフォームを掴んだ阻んだプレーは文句なしのSPA(チャンス阻止)だ。そして、素早いリスタートを狙ったマルコス・ジュニオールがボールを要求する中で、明らかに笛が鳴った後にボールを蹴り出した行為は遅延行為に当たる。二つの行為はいずれもイエローカードに値し、かつ同じタイミングで起こったわけではないので相殺されることもない。

カード提示があまりにもスムーズだったのがむしろわかりにくかった印象はあるが、退場を宣告した池内主審の判断は適切と考えられる。なお、本事象は「一発退場」ではなく「2枚の警告による退場」なので、人間違えでない限りはVARの介入対象外の事象となる。

鹿島 vs 湘南

(主審:上田益也 VAR:柿沼亨)

79分、ピトゥカのミドルシュートがブロックに入った大岩の右手に当たってPK。直前でディフレクトしており軌道変化は予測困難だったが、シュートブロックのシーンであれだけ右手が高く上がる、「バリア」を大きくしたとみなされるのでハンドを採られるのはやむを得ないだろう。

そのPKをソムボムグンが止めるも、VARが介入。リプレイ映像で見ると、湘南の複数の選手の上半身がキック前にエリア内に入っている。「この程度であれば不問とする」という場合もあるが、今回はこぼれ球をクリアした中野もエリア内侵入している選手に含まれ、「早く入ったことで利益を得ている」ので、厳密に判断されても致し方ないだろう。

なお、VARなしの試合であればエリア内侵入の監視を行うのは主審の仕事だが、このシーンでは上田主審はボールを見ておりほとんど監視していない。おそらく「VAR適用試合ではエリア内侵入はVARチェックに委ねる」などの運用の棲み分けが行われていると考えられる。

各試合の講評

アルベルに適した人材が不在。

補強を怠るフロントにも責任が。

G大阪 vs FC東京

ガンバは序盤から攻守にアグレッシブな姿勢が目立った。特に守備面では、自陣からビルドアップを試みたFC東京に対して強度の高いプレッシングを敢行。開幕当初は前線のプレスに中盤より後ろが呼応しない場合も多かったが、今節は佐藤と福岡の両センターバックがしっかりラインを押し上げコンパクトな陣形を保った。

個人に目を向けると、ファン・アラーノと倉田の両翼は豊富な運動量で攻守に貢献。ジェバリに関しては、早い段階での縦パスやクロスが入ってくるようになったので、持ち前のキープ力が活きてきた印象だ。開幕当初はポゼッションに拘り過ぎて自滅した感もあったが、サイドアタックとカウンターを軸に機を見てポゼッションも取り入れる…という現実的な戦術修正が奏功しているといえよう。(連勝に味をしめて再び夢を見なければよいが…)

一方のFC東京は、ガンバの攻勢に押されて後手後手の対応となる場面が目立った。アルベル監督がはぐくんできたはずのポゼッションスタイルはガンバのプレスの前に機能せず、結局はディエゴ・オリヴェイラのキープ力頼みの「いつものパターン」に。

勝ち星に恵まれない中で、今節を最後にアルベル監督は解任された。カウンター一辺倒だったチームにポゼッションという新たな風を吹き込んだものの、成長曲線を描くはずの2年目に結果が出ない状況になると解任はやむを得ない部分もある。

とはいえ、もともとカウンター適性が高い選手が揃う中で、新戦力の獲得でも「アルベル色」は見えず。ポゼッションに適した人材が不足している状態で、クラブアイデンティティともいえるサッカースタイルを変革するのは至難の業だ。これまでと異なるスタイルの監督を招聘しながら、適切な戦力補強をしなかったフロントの責任も重い。

後任は山形の前監督であるクラモフスキー。清水と山形では「内容は悪くないが結果が出ず」というパターンで解任されており、結果が必要な現在のFC東京に適した人材なのかは甚だ疑問だ。志向する戦術はアルベルと共通する部分もあるが、戦術と現陣容が合致していない状況は、クラモフスキーにとっても逆風だろう。前途多難な印象だ。



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