タフな基準が熱戦を支えたコヴァーチ主審。ただし、細かい見極めに課題。(CLベスト16)
チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の2nd Leg。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee topics
サラー転倒はファウル。
ただしVAR介入は困難。
リヴァプール vs パリ・サンジェルマン
(Referee: István Kovács VAR: Bastian Dankert)
激戦必至の大一番を任されたイシュトヴァーン・コヴァーチ主審(ルーマニア)。全体としてタフな基準(フィジカルコンタクトを許容)を採用し、正直なところファウルに思えるシーンが流されることは多々あったが、その基準がエキサイティングな試合を下支えしたのは間違いない。
ただし、66分のサラーの転倒シーンについては、ヌーノ・メンデスに足を踏まれておりファウルを採るべきだろう。ペナルティエリア外かつ決定機とも言い難いのでVARは介入できない。ヌーノ・メンデスはソリッドな守備でサラーを封じていたが、このシーンに関してはファウル判定が妥当だったと思う。
全体としては大きく荒れることなく濃密な試合が展開されることとなり、結果オーライではある。ただ、厳密に見ていけば細かい見極めが怪しい部分も散見され、ファウルを簡単に採らないスタンスが無法地帯を招いた可能性もある。「激しいコンタクト」と「ファウル」をしっかり見極めることが必要になる。
バルセロナ vs ベンフィカ
(Referee: François Letexier Assistants: Cyril Mugnier、Mehdi Rahmouni VAR: Jérôme Brisard)
42分、カウンターからラフィーニャがゴールネットを揺らすも、A1の副審の旗が上がりオフサイド。ただし、フランソワ・ルテクシエ主審(フランス)はヤマルへのファウルに対しアドバンテージを適用しており、オフサイド判定を下したうえでロールバックし、バルセロナの直接フリーキックでの再開を指示した。
しかし、ここでVARが介入。映像で見るとラフィーニャはオフサイドではなく、VARのOR(オンリー・レビュー)によりゴールを認めることになった。言ってしまえば「ごちゃごちゃ」することになったが、A1の副審としては高速カウンターでのラインキープは難しく、また仮にオフサイドだったとすればロールバックしてファウルを採る判断も妥当。審判団は責められまい。
インテル vs フェイエノールト
(Referee: Ivan Kružliak VAR: Fedayi San)
38分、エリア内へのパスに対し、フェイエノールトのモデルが走り込んだところで、チャルハノールが後方から接触。イヴァン・クルジャリアク主審(スロヴァキア)は当初ノーファウル判定だったが、VARレコメンドによるOFR(オン・フィールド・レビュー)の末、ファウルでPK判定となった。
おそらく偶発的ではあるものの、チャルハノールが後方から接触し、踵を踏むような形になっているのは明白。映像を見れば誰もがファウル判定だろう。主審としてはベストに近いポジションで事象を見ていたので、VARなしでPK判定に辿り着きたかったところ。ホールディングや上半身の接触にフォーカスしてしまい、足元がぼやけてしまったかもしれない。
49分には、フェイエノールトのトーマス・ベーレンにプレスをかけたタレミが倒されてPK。トラップがやや長くなったところで、なんとか足を伸ばしたが、横からボールを突かれてしまい、トリッピングになってしまった。
67分、テュラムがドリブルで侵入し、フェイエノールトのトーマス・ベーレンのスライディングを受けて倒れてPK。しかし本日2度目のVAR介入となり、OFRの末にノーファウルでPK取り消しとなった。リプレイ映像で見ると、スライディングをふまえてテュラムが自ら爪先を揃えて倒れており、接触はない(あっても微か)ことが確認できる。結論としてノーファウル判定は妥当だ。
主審としては縦に速い展開に対してスプリントをかけて追走し、悪くないポジションで見ていたが、テュラムの「演技」に騙されてしまった。角度は悪くなかったので、欲を言えばもう1歩近づいていたうえで、テュラムの足の運びにフォーカスできていれば見極めきれたかもしれない。
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