グループD展望:負傷者続出でフランスに暗雲も、「2強2弱」の構図は揺るがず。(カタールW杯)
カタールW杯グループDの行方を展望する。
カタールW杯グループD
フランスとデンマークの敵は
対戦国よりも、自らの蓄積疲労か。
フランス
(7大会連続16回目)
オーストラリア
(5大会連続6回目)
デンマーク
(2大会連続6回目)
チュニジア
(2大会連続6回目)
「2強2弱」の構図。番狂わせがあるとすればチュニジアか。
シンプルに考えれば「2強2弱」の構図となる。ディフェンディングチャンピオンのフランスと、EURO2020で印象的な躍進を見せたデンマークが順当に勝ち抜けるというシナリオは最も可能性が高いし、おそらくそうなるであろう。タレント力・チーム力の両面で両者が優位に立っていることは間違いない。
オーストラリアは伝統的なロングボール主体のサッカーとポステコグルー前監督が試みたポゼッションスタイルの狭間で揺れ動いている印象。傑出したタレントも見当たらないので番狂わせは厳しいか。
番狂わせの可能性があるとすればチュニジアのほうだろう。国際的な知名度のある選手はほとんどいないもののアフリカ屈指の組織力を誇り、ゾーンプレスとサイドアタックはそれなりの機能性がある。
フランスは負傷者続出で戦力ダウン。それでもタレントは揃っている。
フランスを悩ませているのは負傷者だ。長期離脱中でメンバー外となったカンテとポグバに加え、キンペンベ、エンクンクが続々と離脱し、さきほどベンゼマの離脱も発表された。現バロンドーラ―であるベンゼマをW杯の場で見ることができないのは、一人のサッカーファンとして残念でならない。
とはいえ個に依存した戦術ではなく、追加招集された選手のクオリティも高いため、選手層と完成度ではデンマークすら凌駕する。戦力ダウンにより連覇の可能性は大きく下がったが、グループステージで躓くとは考えにくい。
不安を挙げるなら中盤センター。2勝で突破を決めて、第3節はチュアメニを休ませたい。
選手個人に目を向けると、前線はベンゼマ不在といえどジルー、エムバペ、グリーズマンの攻撃ユニットが健在。最終ラインは予選では3バックが主体だったが、デシャン監督は4バックの導入を明言している。とはいえ、パヴァールやリュカ、クンデなどセンターバックとサイドバックを両方こなせる選手が多く、試合状況に応じてシステムを変更することも可能だ。戦術的なオプションは非常に多い。
不安があるとすれば中盤センターか。カンテが不在の状況で、守備的なフィルターとして機能しうるのはチュアメニのみ。消耗が激しいポジションなのでターンオーバーは必至で、インサイドハーフタイプのヴェレトゥやカマヴィンガを起用しつつ、2ボランチをうまく維持していけるか。優勝まで見据えると、第2節でデンマークに勝ち切って突破を決め、第3節はターンオーバーで主力を休ませたいところだ。
躍進を予想する声も大きいデンマーク。エリクセン以外にもタレント豊富。
フランスに次ぐ存在と目されるデンマークは、ダークホースとして躍進を予想する有識者も多い。それもそのはずで、EURO2020でベスト4に入り、UEFAネーションズリーグでフランス相手に勝利を収めるなど、説得力のあるパフォーマンスを続けている。
心臓発作から復活を遂げたエリクセンがクローズアップされがちだが、彼以外にも欧州の主要クラブで活躍する選手が多い。プレミア屈指のセントラルMFに成長したホイビュアが中盤を司り、各国リーグで主力をはるアンデルセン、ケア、アンドレアス・クリステンセンが並ぶ3バックは高さと強さがある。ベテランを中心に固めたセンターラインに対し、サイドは無尽蔵のスタミナを誇るメーレやラスムス・クリステンセンが上下動を繰り返して攻守に貢献する。
デンマークのインテンシティの高さは消耗につながる。酷暑のカタールで強度を保てるか。
チームコンセプトを一言で表すなら「献身性」だろう。EURO2020では個々が圧倒的な運動量を見せつけて躍進につながったが、チームの根幹は変わらない。ヒュルマン監督が植え付けた「For the team」の精神はチームパフォーマンスの安定を保障している。
懸念があるとすれば蓄積疲労か。EURO2020の決勝トーナメントで「ヘトヘト」だったように、インテンシティの高いサッカーは消耗が激しく、高温のカタールでは消耗度合いがさらに高まるかもしれない。また、ドルベリが所属クラブで出場機会に恵まれず、ポストプレーヤーのヴィンドは決定力に課題が抱えているセンターフォワードは人材がやや不足している。とはいえ、どちらの課題もグループステージ突破という観点では大きな問題にはならないであろう。
「2強2弱」の構図を覆すなら、戦術的に整備されたチュニジアか。
チュニジアはアフリカ屈指の組織力を誇り、ゾーンプレスなどの戦術的な秩序も持ち合わせている。国際的な知名度のある選手はほとんどおらず、強いて挙げればケルンで活躍するスキリくらいだが、攻守ともにオーガナイズされており、サイドアタックはまずまずの威力を誇る。
オーストラリアは伝統的なロングボール主体のサッカーとポステコグルー前監督が試みたポゼッションスタイルの狭間で揺れ動いている印象。使い分けているというよりは「どっちつかず」な印象であり、アジア予選でも安定感を欠いた。結局は大陸間プレーオフに回り、ペルー相手には粘り強く戦いPK戦ではレッドメインが殊勲のセーブでW杯行きを決めたが、アジア予選で苦戦した事実がチーム状況を物語っている。ムーイやフルスティッチは好タレントではあるが、独力で試合を決める力を持っているわけではない。
「2強2弱」の構図を覆す可能性があるとすればチュニジアだろう。デンマークとの第1節では粘り強く戦い、第2節のオーストラリア戦で勝ち切ることができれば、突破の道が見えてくる。
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