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田上の踏み付けはイエローで許容の範囲内。マルシーニョ転倒シーンはSPA妥当。(J1第22節)

J1リーグ第22節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

田上の踏み付けは

回避を怠った責任はあるが

悪質さはそこまでない。

名古屋 vs 新潟

(主審:山本雄大 VAR:松尾一)

32分、シュートを打った田上がシュートブロックに入った野上を踏んでしまったシーン。当初はノーファウルのジャッジとなるも、VARレコメンドによるOFR(オン・フィールド・レビュー)が行われ、田上には結局イエローカードが提示された。

リプレイ映像で見ると、シュートが体が流れた田上の3歩目くらいの足が野上の足を踏んでしまったことが確認できる。田上はシュートを目で追っていたが、接触の前には目線が下がっており、野上の足があることを確認しているように見える。映像を見る限りは「回避行動をとらなかった」という感じが強く、解説の福田正博氏が指摘したように「印象がよくない」のは確かだ。

とはいえ、「意図的に踏みつけた」という悪意までは個人的には感じなかった。回避行動が見られなかったという点は反省を求めたいが、「勢い余って」という偶発性もあるので一発レッドはやや厳しく、イエローカード+注意という山本主審の最終的なジャッジには賛成だ。

一方で、山本主審はボールを目で追っていたはずで、接触の仔細を確認することはできていなかったと思われる。VARが介入した正当性は十分にあると思うし、選手の安全にかかわる重大な事象なので「きっちり映像で確認する」というプロセスを踏んで判定を下したことは妥当だったと考える。

つづいて58分には、渡邊にプレスをかけた米本がエリア内で倒されてPK。ボールコントロールが乱れたところを絡まれ、ボールを突こうとした足が米本をトリップしてしまった。山本主審と真鍋副審が連携し、挟み込む形で事象を監視。ファウルが起こった位置を含めて冷静に見極めた。

横浜FC vs 神戸

(主審:清水勇人 VAR:上田益也)

77分、裏に抜け出した小川がマテウス・トゥーレルと接触してPK判定。DAZN配信の映像では角度的に見にくかったが、結局VARが介入しなかったということは接触自体があったことは間違いないだろう。また、マテウス・トゥーレルがボールに触れておらず、後手の対応となって咄嗟に足を出してしまったのも確かだろう。

個人的に気になるのは、接触のあとの小川の左足の付き方だ。前に進もうとするなら踏ん張るはずだが、接触を感じたがゆえなのかつま先を下に向けて足を畳んだようにも見える。ファウル判定が間違いだとは言えないが、プレーを続ける意図を感じないので、個人的にはノーファウルとしてプレーを続けるよう促したい…というのが率直な感想だ。

鳥栖 vs 福岡

(主審:西村雄一 副審1:八木あかね、穴井千雅 VAR:今村義朗)

45+4分、長沼のシュートを小田がブロックしたシーンでPK判定が下るも、VARレコメンドによるOFRの末、PKは取り消しとなった。映像で見ると、シュートは小田の胸のあたりに当たっており、左腕は広がっているもののボールには触れていない。

推察にはなるが、西村主審の角度からは小田の体に左腕が隠れていたはずで見極めは困難。笛が鳴るまでに間があったこともふまえると、おそらくA1の八木副審からのサポートがあったのではないかと考えられる。映像をきっちり見ないと腕に当たったように見えるし、左腕の広がりが強く印象に残るシーンなので、副審の距離感で正確に見極めるのは困難だろう。この判定に関しては審判が責められるレベルではなく、「VARがあってよかった」という印象だ。

一方、88分の鳥栖のゴールシーンは、VARのOR(オンリー・レビュー)によりオフサイドでゴール取り消しに。A2の穴井副審としては、ラインがグッと押し上がったところにボールが出てくるという見極めが決して簡単ではないシーンだったが、J1レベルとしてはVARなしで見極めたかったところ。終盤ということで審判もフィジカル的に厳しい状況ではあったが、ラインの押し上げに遅れをとってしまいラインジャッジがズレてしまった。

京都 vs 柏

(主審:福島孝一郎 副審2:阿部将茂 VAR:山本雄大)

53分、京都の谷内田がゴールネットを揺らすもVARが介入。福島主審がOFRを行い、山崎のオフサイドを採ってゴールを取り消した。

山崎がオフサイドポジションにいたことは間違いない。そして山崎がボールに触れていないことも確かなので、論点になるのは、谷内田のシュートをクリアしようとした片山にどのくらい影響を与えたか…という点になる。

映像で確認すると、山崎の左手が片山の肩にかかっているように見える。片山の前後の動きからするとそこまで実害はないようにも感じるが、この行為は十分に「相手競技者を妨害する」に該当するだろう。

もう1つの論点として、片山がボールにチャレンジできる可能性があったか…というのも考えねばならないが、勢いよくジャンプできていればギリギリ届いたのでは…という印象だ。少なくとも「明らかにプレーできない」レベルではなかったので、オフサイドを採る判定は妥当と考える。

川崎F vs G大阪

(主審:谷本涼 VAR:岡部拓人)

29分、エリア内でシミッチと石毛が接触。谷本主審はPKとジャッジし、VARもその判定をフォローした。シミッチのプレーイングディスタンスではあったが、石毛がボールとの間に割って入り、結果的にシミッチはボールではなく石毛を蹴ってしまった形だ。ただ足を晒しただけであればノーファウル(もしくは石毛側のファウル)もありえたが、石毛がボールに先に触れている以上はシミッチのファウルを採らざるを得ないだろう。

なお、主にX(旧Twitter)上では、他のいくつかのシーンが話題になっている。

まず、22分には裏に抜け出しかけたマルシーニョと福岡が交錯して転倒するもノーファウル。初見ではノーファウルでもよいかなという印象だったが、ゴール方向からのリプレイ映像で見ると、マルシーニョの左腕を福岡が抱え込んで引き倒している。谷本主審からもA1の武部副審からも見えにくい角度での事象だったので見極めは困難だが、映像を見る限りはファウルを採るのが妥当だろう。

なお、同一線上にガンバの守備者のカバーがいるので、もしファウルの場合はDOGSO(決定機阻止)ではなくSPA(チャンス阻止)と判断するのが妥当に思える。DOGSO確実であればVARが介入したはずなので、VARの見解としてもSPAという判断だったと考えられる。

35分には山根に対する藤春のタックルにイエローカード。山根が弾んだボールのコントロールを試みたところに、勢いを殺さずに突っ込んでおり、「無謀」の極みという印象だ。とはいえ、足裏が相手に向いているなどの危険性はなく、イエローカードという判断で問題ないだろう。

83分の脇坂に対する宇佐美のスライディングタックルも、ボールにプレーできる可能性がほとんどない状況での悪質なものではあったが、一発レッドとまではいかないか。イエローカード+厳重注意という対応が妥当なところで、谷本主審の判定は十分にフォローできる。

各試合の講評

久々勝利のベルマーレ。

新加入選手にも期待感が。

湘南 vs 広島

キム・ミンテ、田中聡、ディサロとセンターラインに実力者を補強したベルマーレが16試合ぶりの勝利。ディサロを起点としたカウンターで大橋がワンチャンスを決めきり、セットプレーを中心に圧力をかけたサンフレッチェの攻撃を耐え抜いての勝利となった。

キム・ミンテと田中聡が中央の守備でリーダーシップを発揮し、守備ではライン間やハーフスペースを空ける場面がかなり減った印象だ。マーカーに食いつきすぎてギャップが生まれるシーンは数えるほどで、後手を踏んだのは荒木に再三のシュートチャンスを与えたセットプレーくらい。球際の粘りに加えて守備の連動性が向上したのは大きく、中断期間の補強と戦術強化の賜物だと言えよう。

一方のサンフレッチェはシュートチャンスは少なくなかったが、ゴールが生まれず。得点源となっていた満田、森島の両シャドーの離脱は大きく、エゼキエウはフィニッシュの質という点で大きく見劣りする印象は否めない。起点になれて裏抜けもうまい新加入の加藤を活かすなら、重心を若干下げたうえで、ボール奪取からより直線的にゴールを狙う形を強化するのも一手かもしれない。

双方ともに運動量をベースにするサッカーなので夏場をどう凌ぐかが勝負。ここで志向するサッカーにこだわって泥沼に入らないことが重要だ。



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