浦和ゴールで7分弱のVARチェックはやむなし。山本雄大主審の「コミュ力」が光る。(J1第17節)
J1リーグ第17節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
審判Topics
本場ブンデスリーガで実績十分。
ドイツ主審2名が
審判交流プログラムで来日。
横浜FM vs 京都
(主審:
マルティン・ペーターセン
副審: 三原純、岩崎創一 VAR: 飯田淳平)
審判交流プログラムで来日したマルティン・ペーターセン(Martin Petersen)主審は、ドイツのブンデスリーガ76試合の経験を持つ40歳。審判交流プログラムへの参加は30代の若手が多い印象だが、それに比べると実績と経験が豊富であり、この試合でも「落ち着き」が際立っていた。
来日初担当となったこの試合では、現役国際副審の中で最も長いキャリアを持つベテランの三原純副審が脇を固め、VARもベテランの飯田惇平氏が担当。盤石の布陣での受け入れとなった。
鹿島 vs 清水
(主審:
フロリアン・バドストゥーブナー
副審: 聳城巧、安藤康平 VAR: 飯田淳平)
同じくブンデスリーガからはフロリアン・バドストゥーブナー(Florian Badstuebner)主審も来日。こちらは34歳と若く、今季から国際主審となったそうなので若手有望株といったところか。イングランドのサム・バーロット主審や、スペインのハビエル・アルベロラ・ロハス主審らと同世代であり、国際経験を積んでもらい、ワールドカップなどでの活躍を期待したい。
審判団の構成としては、現役国際副審で実績十分の聳城副審がA1で脇を固めつつ、A2は31歳の若手である安藤副審が担当。長峯第4審、荒木VAR・長谷川AVARともに国際審判員であり、伸び盛りの中堅と若手のミックスの構成となった。
浦和 vs FC東京
(主審: 山本雄大 VAR: 榎本一慶、松澤慶和)
7分、FC東京の遠藤がエリア内で仕掛けたところで、安井と入れ替わり際に接触してPK。DAZN解説の福田正博氏が指摘したように、遠藤はいったんスピードを落として安居を「待ち」つつ、入れ替わり際で急加速することで接触を誘発した。
遠藤が「誘った」部分はあるものの、確実に接触はあるのでファウル判定は妥当だろう。山本主審は的確なポジションで視野を確保し、冷静かつスムーズにジャッジ。浦和レッズの大観衆に晒される埼玉スタジアムの重圧に負けず、ベテランの貫録を見せつけた。
審判団にとって悩ましかったのは80分の松本のゴール。ここはVARがチェックすべき項目があまりにも多く、しかもいずれも際どい。VARチェックが終わり当初判定通りにゴールを認めるまでに7分弱かかったが、それもやむを得ないと思えるほど際どいジャッジだった。
なお、わりと早い段階でいったん「ゴール」の表示が出たが、そのあとに再びVARチェック中となる…というゴタゴタが見られた。推測だが、最初はオフサイドチェックのみで確認を終えようとしたが、改めて映像を確認し、ボサのボールタッチや松本のハンドの検証が必要と改めて判断し再開したのではないか。
※試合後の松橋監督のコメントでも、山本主審から「ハンドの検証が遅くなった」旨の謝罪があったと述べている。
①ボザがオフサイドポジションか
金子がクロスを入れた時点でのオフサイドポジションぎりぎり。
→中継映像で見る限りはオンサイドっぽい。
②ボザがボールに触れているか
これが最も際どく、映像で見ても判別が難しいレベルだ。ボールの軌道が大きく変わったようには見えないが、「かすって」いる可能性は否めず。
VAR検証においては、コマ送りのスロー映像ではなくループ再生でチェックして微かな回転の変化を見出したことがあったが、今回もおそらくそのレベルのチェックになったはずだ。
→「触れた」という確固たる証拠は見当たらず。
(もし触れていれば松本はオフサイドが成立するが、触れていなければ松本はオンサイド)
③松本の腕に当たったか否か
松本はおおむね胸でボールを押し込んだように見えるが、僅かでも腕に当たっていればゴールは取り消しになる。腕の広がりや不自然な動きはないが、松本は得点者なので「物理的に当たっていれば問答無用でハンド」になる。つまり、ここもVARが細かくチェックしなければならない。
→腕に当たっている確固たる証拠は見当たらず。
結果的には、VARとして主審の判定を覆す確固たる証拠は見つからず、当初判定フォローという結論に至った可能性が高い。終盤かつ浦和1点ビハインドであり、試合結果を大きく左右するジャッジなので、正確性第一で進めたのは妥当だろう。
両チームにとっては勝ち越しを狙って急く気持ちになるのは当然だが、山本主審は両監督やキャプテンと丁寧にコミュニケーションをとり、秩序を保ちつつ、ジャッジ確定後も両監督にしっかり説明を行った。
長い時間をかけて説明をすることは賛否両論あるだろうが、VARチェックの時点で既に試合中断は長くなっており、あの状況では両チームの理解・納得をきちんと得たうえで進めたほうがマネジメントとしては適切だろう。ベテラン山本主審の「コミュ力」が活きたシーンだった。
湘南 vs 横浜FC
(主審: 木村博之 副審: 平間亮、塚田智宏 VAR: 田中玲匡)
19分、村田のクロスをルキアンが合わせてシュート。これがブロックに入ったキム・ミンテの右手に当たっており、VAR介入によるOFR(オン・フィールド・レビュー)の末にハンドでPK判定となった。
手に当たっているのは間違いなく、シュートブロックの場面なので、意図や自然かどうかというよりも、「ブロックの面積(=バリア)が広がっているか」が重要なポイントになる。不自然な動きではないものの、肘を張ることで面積が広がっているのは確か。映像で細かく検証すれば、ハンドを採らざるを得ない。
当初、横浜FC側もほとんどアピールはしておらず、DAZN中継映像を見ても初見では特に気にならず。木村主審の位置からだと角度的に見にくいのは致し方ないことで、A1の副審も第4審も距離がありすぎて難しいだろう。
34分、フリーキックに山崎が合わせてゴールネットを揺らすも、VARが本日2度目の介入でオフサイド。A1の副審としては、多数の選手が重なり合う中で簡単なジャッジではなかったが、オフサイドラインからのはみ出し方はそれなりに大きかったので、見極めたいレベルのオフサイドジャッジではあった。
町田 vs 柏
(主審: 池内明彦 副審: 道山悟至、田中利幸 VAR: 岡部拓人)
45分、こぼれ球に反応したゼルビアのオ・セフンに対し、レイソルの仲間がスライディング。これがボールに届かずファウルとなりPK判定になった。
池内主審は若干悩んだようには思えたが、仲間がボールに触っていないのは明白に見えたはずで、悩む余地があったとすればファウルの位置。エリアの内or外は主審の角度からは判断しづらいので、A1の道山副審の意見を聞いたうえでジャッジを下した可能性もある。
岡山 vs 新潟
(主審: 上田益也 VAR: 吉田哲朗)
エリア内でアルビレックスの舞行龍ジェームズがファジアーノの一美を倒してPK。一美が足元にボールを止めると予測してスライディングを繰り出したが、ボールタッチが大きくなったところで「置いてけぼり」に。そのまま一美の進路を塞ぐ形で突っ込んでしまったので、ファウルを採らざるを得ない。
広島 vs 東京V
(主審: 御厨隆文 VAR: 先立圭吾)
74分、エリア内でクロスを受けた翁長に新井が「衝突」してしまいPK。翁長のボールタッチが大きくなったところで、遅れて咄嗟に出した新井の足が引っ掛かっている。典型的なトリッピングだった。
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