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前傾となったイランを躱したイングランド。ベイランバンドの負傷が分水嶺に。(カタールW杯)

カタールW杯グループステージ第1節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee topics

長すぎるアディショナルタイム。

前半はさておき、後半は短縮できたはず。

イングランド vs イラン

(Referee: Raphael Claus VAR: Leodán González)

ブラジル人のクラウス主審は43歳。W杯での担当は初となるが、コッパ・アメリカなどで経験を積んできたベテラン審判員だ。試合を通して印象的だったのは、ファウルが起こった地点に全速力で駆けていく姿だ。ファウルが起こった後に小競り合いに発展することも多い南米での経験を積む中で培った術なのだろう。

早々の3分にはコーナーキックの場面でマグワイアとストーンズが倒されるもノーファウル。ホールディングを採られてもおかしくないプレーではあったが、ボールに届きようもない位置での交錯であったことも影響したか。このプレー単体で見るのであれば納得できるが、後述の後半アディショナルタイムの判定を含めて考えるとやや基準のブレを感じる。

前半終了間際にコーナーキックからサカがゴールネットを揺らす。イランの選手はマグワイアが競り合った際に腕で押さえたとしてファウルをアピールしたが、あれがファウルだとすれば3分のホールディングはPKだ。接触の質に対してイランのアピールは過剰にも思えた。こういう場合にはVARという「チェックツール」があるのは審判の立場を守るうえで大きい。

そして後半アディショナルタイムには、今大会初めてVARが介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)にてセットプレーの場面でストーンズがタレミのユニフォームを引っ張ったのを確認し、PKを宣告した。Abema解説の戸田和幸氏は前半3分のシーンとの基準のブレを指摘していたが、ボールに対してプレーする可能性が前半のシーンよりも高かったという点を考慮したか。合理性がないわけではないが、個人的には前半のシーン含めてファウルを採るべきだったと考える。

気になったのは後半の終盤に倒れこんだハジサフィへの対応だ。タッチライン際に倒れこんだので、ピッチ内で時間をかけて治療をさせる必要はなく、速やかにタッチラインから外に出してプレーを再開すべきだったのでないか。交代枠を使いきっていたイランとしては一時的にでも数的不利に陥るのは避けたいだろうが、試合運営としてはやや間延びした時間が続いたのは「ノイズ」であった。

ベイランバンドの治療があった前半はさておき、後半のアディショナルタイム10分は、マネジメント次第でもっと短縮できたはずだ。大会前に「アディショナルタイムは厳密に計測する」という旨の方針は打ち出されていたとはいえ…である。ベテランらしく落ち着いた振る舞いが目立ち、各プレーのジャッジという点では大きな問題はなかったが、ゲームマネジメントという面では課題が残った。

各試合の講評

前半途中から前に出たイラン。

結果的には返り討ちに。

イングランド vs イラン

イングランドは初戦の布陣として4-2-3-1を選択。3バックの裏をカバーできるスピードを持ったウォーカーはやはり万全ではなく、チャレンジ&カバーをやりやすい4バックを選んだのだろう。センターバックを一枚削った分、前線にはサカが起用され、攻撃陣の枚数は自ずと増えることになり、攻撃は厚みを増した。

対するイランが5バックを選択したことで、イングランドが圧倒的にボールを保持し、イランは自陣深くに構えて待ち構える構図は早々に定まった。序盤はイングランドが攻めあぐねている印象もあったが、ボールを失ってもライスが防波堤となり、前線のアタッカー陣もプレスバックを怠らず。カウンターの芽を抜かりなく摘んだことで、一方的な試合展開になった。

分水嶺になったのは、顔面を強打したベイランバンドの治療による10分強の中断かもしれない。彼が無念の負傷交代を余儀なくされた直後から、意図的なのか本能的なのかはわからないが、イランのプレッシングはやや前掛かりになった。それによりイングランドの後方のパス回しの難度は上がったものの、プレス回避に成功すれば一気にゴール前へと侵入できるように。1点目が生まれるのは時間の問題であった。

先制して余裕が出たイングランドは、得意のセットプレーなどで前半のうちに2点を追加して余裕のある試合運びに。3点リードとなった後もカウンタープレスの強度は落ちず、イランはボールを前に運ぶことができず、自陣から脱出できたのは前半55分のジャバンハフシュのシュートシーンくらいであった。

イングランドとしては前線は早々に交代させ、代えが利かないケインも休ませることに成功。負担が大きいライスとベリンガムにしても、後半の中盤以降は「流し」気味にプレーしており、疲労は最小限だろう。プレーに波があるラシュフォードも途中出場でゴールを決めた上に積極的にドリブルで仕掛けるなど、溌剌とプレー。サウスゲイト監督としてはこの上ない試合内容・スコアとなった。



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