守備崩壊の横浜FCは一昨季の二の舞か。苦境の川崎は堅守速攻路線もアリか。(J1第8節)
J1リーグ第8節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee Topics
接触回避の意図は見えるが、
接触強度は非常に強い。
京都 vs G大阪
(主審:清水勇人 VAR:上村篤史)
87分、京都のカウンターの場面でクォン・ギョンウォンと松田天馬が「衝突」。清水主審はクォン・ギョンウォンにレッドカードを提示し、VARも介入せず判定確定となった。
松田天馬が先にボールに触れたこと、クォン・ギョンウォンがかなりの勢いをもって松田天馬と接触したことは間違いなく、あとは接触の箇所と強度が判断基準になる。足裏などが入ったわけではなく体全体での接触にはなっているが、両者がボールに駆け寄る中での接触であり、強度は非常に高い。あばらなどの骨折の可能性もありうる強度なので、「無謀」(=イエローカード)ではなく「過剰」と判断してレッドカード…という判定は受け入れられる範疇だろう。
情状酌量の余地があるとすれば、松田に先にボールに触られたこともあり、足での接触は回避するような素振りが見られる点か。伸ばした左足ががっつり入っていれば大怪我のリスクは非常に高まるが、その点ではクォン・ギョンウォン側に安全への配慮が見られるので、警告で留めるという判断もアリだったようには思う。
事象としてはいわゆる「オレンジ」(レッドカードとイエローカードの中間くらい)であり、どちらのカードが提示されてもVARとしては介入せずに主審の判定をサポートすることになりそうな事案だ。個人的にはイエローカード寄りの意見だが、清水主審の判断も十分に受け入れられる。
新潟 vs 福岡
(主審:谷本涼 VAR:中村太)
15分、エリア内で仕掛けた紺野が堀米に倒されてPK。ドリブルに対して遅れをとった堀米が典型的なトリッピングで紺野を倒しており、PK判定に異論はないだろう。状況としてはSPA(チャンス阻止)だが、エリア内でのボールに対するプレーなので懲戒罰は一段階下がりノーカードで妥当だろう。
横浜FC vs 広島
(主審:山本雄大 VAR:小屋幸栄)
開始早々の3分、ゴール前の混戦から小川航基がネットを揺らすもVARが介入。山本主審はOFR(オン・フィールド・レビュー)を行い、ゴールより前でのカプリーニのハンドを採ってゴールを取り消した。
カプリーニは得点者ではないので「腕に当たった=ハンド」とはならず、意図があったかどうかが判断基準になる。映像で見ると、胸でコントロールしようとしたボールが流れそうになったところで、左腕を明らかに動かしてボールに触れており、意図的に腕で扱ったと判断するのが妥当だろう。ハンドによるゴール取り消しは適切な判定であると考える。
浦和 vs 札幌
(主審:御厨隆文 VAR:木村博之)
各試合の講評
逆転勝利を生んだ松橋監督。
手腕が問われる四方田監督。
新潟 vs 福岡
ホームのアルビレックスは前半に2点を先行されるも、土壇場で伊藤が立て続けに2ゴールを叩きこみ、劇的な逆転勝利。ホームの大観衆が熱狂する激熱展開となった。
試合内容としては、特に前半は圧倒的にアビスパペース。4-4-2でブロックを敷いたうえで、プレッシングの精度(コースの切り方など)と強度(スライドやポジション修正が非常に早い)を高く保ち、アルビレックスのパスワークを見事に封じていた。
しかし後半になりアビスパのプレス強度が落ち始め、徐々にアルビレックスペースに。前半途中からアルビレックスがピッチを広く使って相手を揺さぶる攻撃を多用したことでアビスパ側の消耗が進んだという見方もできるが、決定打になったのは後半途中の3枚替え。この選手交代により攻撃面でのプレー強度が高まったことで、アルビレックスの攻勢が強まり終了間際の勝ち越しにつながった。
ハットトリックの伊藤はもちろん殊勲の出来だったが、とりわけ価値が大きかったのは1点目。早い段階でセットプレーから1点を返せたことで反撃ムードが一気に高まった。そして、そこで機を逃さずに積極的な采配を見せた松橋監督も勝利の立役者と言えよう。
横浜FC vs 広島
横浜FCは前節の5失点に続き今節も3失点。サイドを簡単に突破され、最終的には中央でマークに付ききれずに失点…という形が続いており、なかなか改善の兆しは見えない。
気になるのはサイドでの守備対応だ。サンフレッチェのサイド攻撃は主にウィングバックとシャドーの1枚により展開されるが、横浜FC側は両サイドハーフの帰陣が遅れ、サイドバックが1枚で対応する場面が目立った。ボランチがスライドする…などでもよいが、サイドでの守備が試合を通じて常に後手を踏んでいた印象で、3失点ともにサイドを崩されて失点したのは偶然ではない。
もちろん守備陣の個々の対人守備の強度の甘さは否めず、特に1失点目では飛び込んできた東に対して競り合うことすらできなかったのは痛恨だったし、不運な面があるとはいえオウンゴールが続くンドカの対クロスのポジショニングも改善せねばならない。
ただ、それ以上にシステム上のミスマッチに対して明確な守備戦術が構築されていないように見えたことのほうが問題はより深刻だろう。開幕8戦未勝利となり早々に降格が決まった一昨季の悪夢の再現がチラつく中で、四方田監督の手腕が問われている。
川崎F vs 名古屋
好調のグランパスはフロンターレのパスミスを逃さず、電光石火のカウンターが炸裂して先制。その後、マテウスの直接フリーキックで加点すると、ランゲラックを中心として粘り強く守り、鬼門の等々力で久々の勝利を飾った。
カウンターそしてセットプレーと、いかにも長谷川健太監督のチームらしい効率的な勝利であった。爆発的なスピードを持つ3トップはボールを奪うとすぐに縦方向へのアクションを起こしており、フロンターレの帰陣スピードを大きく凌駕。ショートカウンターのキレ味だけならJ1で断トツだろう。今のグランパスにとって怖いのは故障癖があるユンカーと永井の負傷離脱だけかもしれない。
一方のフロンターレは苦しい懐事情もあって若手を起用したものの、先発に起用した永長が痛恨のパスミスでほろ苦いデビュー戦に。宮代が徐々にフィットしてきた攻撃陣は明るい兆しも見えるが、負傷離脱などが相次ぐ守備陣は日替わりの組み合わせになっており、マークのズレやライン間のギャップが生まれて崩される場面が目立つ。負傷者の回復を待ちつつ、場合によっては守備ブロックを下げて堅守速攻にシフト…という現実的な策も一考に値するかもしれない。
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