自動画像

城福監督が山下良美主審に猛抗議。「どう見ても明らか」ではないジャッジの難しさ。(J1第37節)

J1リーグ第37節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

審判Topics

配慮不足のジエゴは退場妥当。

木本のプレーは

DOGSOではなくSPA?

東京V vs 川崎F

(主審: 山下良美 副審2: 阿部将茂 VAR: 清水勇人)

13分、裏に抜け出した山田新がエリア内で粘り、鋭い仕掛けで綱島のファウルを誘発。いわゆる「トリッピング」の典型的なパターンであり、ファウルでPK判定となった。シュートを打つには角度が厳しく、かつ守備側のカバーもあったので、状況としてはDOGSO(決定機阻止)ではなくSPA(チャンス阻止)と捉えるのが妥当で、エリア内でのファウルなので懲戒罰は一段階下がってノーカード。

山下主審としてはスポットを指すジェスチャーがややわかりにくかったのが気になるが、副審とオフサイドの有無の更新をしながらのジャッジだったのかもしれない。観衆を含めて明確にジャッジを示すのもレフェリーにとっては必要なスキルの一つだ。

61分、山田が抜け出してエリア内に侵入したところで千田のスライディングで転倒するもノーファウル。後れをとった千田からすると、やや後方からリスク覚悟でのスライディングタックルであり、ファウルでもおかしくない場面ではあった。

リプレイ映像で見ると、千田の足が絡んで転倒しているのは間違いないが、その前orほぼ同時のタイミングで、千田の太ももあたりが(ほんのわずかではあるが)ボールに触れているように見える。山下主審が下したノーファウル判定は不当なものではないし、

65分、マルシーニョのゴールは、①フロンターレのボール奪取のところでファウルがあったか ②山田のシュートをブロックした谷口のハンドがあったか がジャッジのポイントになった。

①については足にもボールにも触れているように見えるので、個人的にはノーファウルだと考える。②については、シュートブロックの場面でやや高めに上がった腕に当たっているのでハンドだと思うが、そのままマルシーニョのシュートに繋がったのでアドバンテージ適用でゴールを認めるのが適切なジャッジだろう。リプレイ映像で見ると、山下主審が笛を口元に持って行った様子が見られる。反射的に笛を吹かず、冷静にボールの行方を確認してアドバンテージを適用したと思われるので、ここは隠れたナイスジャッジだったと思う。

90+1分には、松村がドリブルで仕掛けてエリア内に侵入し、ゴールラインを割ったところで、山下主審はゴールキックと判定。A2の阿部副審がコーナーキックを指したこともあり城福監督が猛抗議し、イエローカードをもらう事態となった。

結論として、映像を見る限り、最後は松村のクロスが高井に当たっており、コーナーキック判定が正しかったように見える。山下主審としては中央寄りの位置からみると、高井に当たったあと最後に松村に当たったように見えた可能性がある。松村に触れたかどうか…という点は、阿部副審の角度からはほぼ見えないので、その点で山下主審の判断が尊重されたのかもしれない。

映像を見れば比較的容易に判断できるとは思うが、特にエリア内の判定は選手が入り乱れるため視野を確保しにくく、ノーマルスピードかつピッチ上のフラットな視点で見極めるのは難しい。もちろんその難しいタスクをこなさねばならないのが審判員であり、今回のケースはいわゆる「ミス」に該当するのかもしれないが、「どう見ても明らか」というレベルではないことは、審判批評をするうえでは理解しておきたいところだ。

なお、城福監督の抗議はこのプレーだけでなく試合全体のジャッジに関するフラストレーションだと考えられる。現時点ではフルマッチの詳細分析をできていないので、後日、別記事にて一つひとつのジャッジを確認していきたい。

磐田 vs FC東京

(主審: 岡部拓人 VAR: 吉田哲朗)

76分、裏に抜け出した藤川を木本が倒してファウル。木本は既にイエローカードを1枚もらっていたが、岡部主審は(2枚目の警告ではなく)一発退場と判断し、レッドカードを提示した。

岡部主審の判断としてはDOGSO(決定機阻止)だと考えられる。ペナルティエリアの内or外も難しいところだが、岡部主審は外と判断。外であれば懲戒罰は軽減されないので、そのままレッドカード提示となった。(エリア内であればイエローカード)

個人的には、他のDF(44番)のカバーが間に合っているように見えるので、DOGSO(決定機阻止)ではなくSPA(チャンス阻止)とみなすのが妥当に思えた。ただ、藤川のほうが若干ではあるが前に出ているのは間違いないので、抜け出しており決定機という解釈が「明白な間違い」とは言えず、VARの介入は難しい。

最低でもイエローカードが提示されるであろう場面なので、もともと1枚イエローカードをもらっていた木本はどのみち退場ではあるが、審判員としては「どっちみち退場だからいいや」とはならず、決断が必要となる。

続いて84分、藤川のシュートを中村穂高がブロック。ここでシュートが胴体から離れて高く上がった腕に当たってハンド判定となった。当初はエリアの外であるという判断だったが、VARが介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)によりPKに判定変更となった。

ハンドであることは間違いなく、際どかったのはファウルの場所。スロー映像で見るとエリアの中(ちょうどライン上くらい)だが、中村がスライディングをしていたこともあり、初見(ノーマルスピード)だと私もエリア外のハンドに見えた。主審、副審ともにエリアの内or外を見極めるのは厳しい角度であり、難しい判定となった。

ハンドが起こった場所は映像を見れば主観の余地なく判断できるので、それだけであればOFRは必要ない。確認プロセスを見るに、ボールがこぼれる前のペイショットと遠藤の接触(遠藤が倒れたシーン)も確認し、ファウルか否かも映像で確認したのではないかと考えられる。

なお、当初提示されたイエローカードはSPA(チャンス阻止)であり、ペナルティエリア内でのファウルだと確認されたことで、一段階下がってノーカードとなる。このあたりはDAZN解説の太田吉彰氏も競技規則をしっかり理解できていないようだったので、正しい理解と解説をしていただきたいところだ。

柏 vs 神戸

(主審: 御厨隆文 副審2: 中野卓 VAR: 榎本一慶)

レイソルのジエゴがヘディングで競り合う際のファウルで2枚の警告をもらい退場に。強い悪意は感じないものの、相手のほうに腕を広げ肘を張りながら競り合う行為が目立ち、相手への配慮が足りていない。首や顔などデリケートな位置にヒットしていることもあり、2枚の警告での退場処分は妥当な懲戒罰だろう。

特に88分のプレーに関しては、助走をつけてのジャンプであることもあり、勢いがついた状態での接触になっており、武藤が出血したように危険性の高いプレーだ。当初はノーファウルで、最終的にはOFRでのジャッジとなったが、御厨主審としてはVARなしで見極めたかったところ。前半32分に同様の行為でイエローカードを提示しており、ジエゴが絡んだ競り合いは注視すべきポイントだったはず。ペナルティエリア内でのファウルだったのでVARに救われたが、当初判定で見極めきれなかったのは痛恨だった。

その後、90+11分にはコーナーキックのこぼれ球を繋いで最後は武藤が押し込むも、いったんはオフサイド判定。ヘディングで落とした大迫の位置がオフサイドという判定になったが、VARチェックにより大迫の位置はオンサイドだと確認され、ゴールが認められた。セットプレーでいったんクリアされた後にラインが上がり、結局はファーサイドの選手が一人残っていた形。見極めは難しく、決断してフラッグを上げた中野副審の勇気は凄いと思うが、VARがなければ勝敗そしてリーグ優勝・残留を左右してしまうミスジャッジとなっていた。「VARがあってよかった」という形だ。

なお、VARとしてはオフサイドのチェック自体がかなり際どいうえに、コーナーキック時のファウル確認も必要で、さらに武藤に繋がる前で攻撃側および守備側のハンドの可能性もあった。チェック対象になる要素は非常に多く、試合終了間際の大きな判定であったこともふまえると、慎重かつ入念なチェックになったのは致し方ない。

広島 vs 札幌

(主審: 福島孝一郎 VAR: 上田益也)

52分、コンサドーレのバックパスを狙った加藤が、飛び出してきた菅野と接触。足を伸ばして先にボールを触った加藤に、菅野が止まりきれずに接触した形で、菅野本人も認めるPKであった。かわしていれば無人のゴールへ流し込むだけ…ということで、状況としてはDOGSOだが、エリア内なので一段階軽減でイエローカード。議論の余地はほとんどない。



本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。

Jリーグマニアを始めよう!
未登録でも記事投稿できます

アカウントがなくても、思いついた内容を すぐに記事として投稿できます。

いま話題になっている記事や、参考になりやすい内容をまとめてチェックしてみる