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新潟は松田、マリノスは水沼。右サイドの活性化が浮上の鍵になりそう。(J1第26節)

J1リーグ第26節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee Topics

ハンドとPKが続発。

VARもフル稼働。

湘南 vs 鹿島

(主審:清水勇人 VAR:中村太)

88分、クロスに対して飛び込んだ植田の顔面に、クリアを試みた岡本の足が接触。当初はノーファウルのジャッジだったが、VARが介入し、清水主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行った結果、岡本のファウルを採ってPK判定となった。

清水主審は当初はコーナーキックを指示しており、「岡本がボールに触れてクリアした」という判断だったはずだ。しかし、リプレイ映像で見ると、ボールに触れたのは植田の頭であり、岡本はボールに触れることができず植田の頭に接触する形となっている。悪意はなかったとはいえ、結果的にボールに触れることができず相手の顔面に足が接触…となると、ファウルを採られるのはやむを得ない。

やや疑問なのは、このプレーで岡本にイエローカードが提示されなかった点だ。悪意はなかったとはいえ、相手の顔面に足が当たっているわけで、ボールに触ることができていない…となれば正当性はない。接触部位が顔という点も考慮すると、ラフプレーで警告が必要だったのではないか。

なお、岩政監督をはじめとする鹿島陣営が猛抗議した、67分の知念のシュートについては、「明らかにゴールラインを越えた」と言えるだけの映像証拠がなかったと考えられる。ゴールラインとボールとの間に隙間が確認できれば証拠になるが、隙間が見えなければボールの一部がライン上に残っていることを否定しきれない。DAZN中継の映像を見る限りは、判断に値する確たる証拠にはなりえないという印象だ。

名古屋 vs 横浜FC

(主審:木村博之 副審1:五十嵐泰之 VAR:柿沼亨)

22分、稲垣がゴールネットを揺らすも、五十嵐副審のフラッグが上がり一旦はオフサイドで取り消しに。ここでVARが介入し、木村主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行った結果、ゴールを認める判定となった。

和泉のキックの瞬間にユンカーはオフサイドポジションにいるが、その前でマテウス・モラエスがクリアしており、ボールにも相手競技者にも関与しているとは言いがたい。「仮にユンカーがいなければモラエスは苦し紛れのクリアをせずに済んだ」と言えばそうだが、現行のオフサイド判定ではそこまで考慮することはない(と私は解釈している)。ユンカーのオフサイドを採らない判定を下したのは妥当だろう。

疑問なのは五十嵐副審のフラッグアップの理由だ。副審の位置からでもユンカーがボールにも相手競技者にも関与していないのは比較的わかりやすかったはず。仮に「関与したかどうかはわからないが、オフサイドポジションにいた」ということでフラッグアップしたのなら、木村主審と協議のうえでOFRなしでゴールを認めてもよかったはずだ。OFRに至ったということは、現場の審判団としての判断はオフサイドだったということになるが、その判断に至った理由はよくわからない…というのが正直なところだ。

なお、DAZN実況の岡田健太郎氏と解説の佐藤勇介氏が盛んに指摘していた「モラエスのクリアが意図的なプレーなのかディフレクションなのか」という点が論点になるのは、稲垣がオフサイドポジションにいた場合だ。今回はモラエスのプレーが意図的だろうがなかろうが、ユンカーがボールまたは相手競技者に関与したかどうかが論点なので、そこは間違えないようにしたい。

神戸 vs 京都

(主審:池内明彦 VAR:飯田淳平)

41分、イヨハ理ヘンリーが頭でクリアしたのち、広がった左腕にボールが当たるもノーファウルの判定。VARも時間をかけてチェックを行ったが、介入はせずに判定確定となった。

ヘンリーの腕が大きく広がっているのは間違いないが、これはヘディング時にバランスをとるために自然な腕の動きと捉えるのが妥当だろう。また、シュートやクロスが自分に飛んでくる場面とは異なり、自らのヘディングの失敗の結果なので予測は難しい。腕が広がる必然性があり、予測も困難ということでハンドを採らない判定は妥当だと考える。

柏 vs 横浜FM

(主審:荒木友輔 VAR:御厨隆文)

82分、吉尾のハンドでPK。大きく広がった左腕にボールが当たっており、あそこまで露骨に広がったうえで、避ける動きがほとんど見られず…となると正当性を主張するのは難しい。荒木主審としては、中央寄りの位置をとっていたことが奏功し、左腕の位置および接触が明瞭に見えたことだろう。

C大阪 vs 川崎F

(主審:川俣秀 VAR:谷本涼)

66分、クロスが山村の左腕に当たり、VARレコメンドによるOFRの末にハンドでPK判定に。腕は胴体を離れて広がっており、クロスブロックのシーンであの位置にある腕にボールが当たるとハンドを採られるのは致し方ない。主審としてはいわゆる「泣き所」であり、選手自身の体に隠れてしまい、腕に当たったかどうかが見えにくい事象であった。

91分には、新井のドリブルでの仕掛けに対して山村がトリッピングを犯しPK。切り返しに後手を踏み、つい出てしまった足に引っかかった形だ。エリアの内・外の見極めは際どかったが、ファウルであることは比較的明白で、ファウルジャッジ自体はそこまで難しくない。

札幌 vs G大阪

(主審:上田益也 VAR:吉田哲郎)

59分、札幌のゴールシーンでは、駒井が倒れたシーンで笛を吹くのをグッと堪えてアドバンテージを適用。馬場が勢いよく走りこんできたものの、一見すると倒れた駒井は孤立しているように見えるので、多くの主審が笛を吹いてしまいがちな場面だ。視野を広く持っていたからこその見事なレフェリングであった。

新潟 vs 浦和

(主審:松尾一 VAR:岡部拓人)

34分、浦和のコーナーキックのシーンで関根のヘディングが長倉の左腕に当たり、VARレコメンドによるOFRの末にPK判定。シュートブロックのシーンで、胴体から離れて腕が広がっていれば、ハンドを採られるのはやむを得ない。

主審としてはいわゆる「泣き所」であり、選手自身の体に隠れてしまい、腕に当たったかどうかが見えにくい。副審(A2)からしても距離が遠く見えにくいうえに、オフサイドラインの監視をしている以上は間接視野での見極めになるので、多少見えたとしても確信を持つのは難しい。「VARがあってよかった」案件だ。

各試合の講評

アンデルソン・ロペス退団なら

代役不在。戦術再構築が必要。

新潟 vs 浦和

不運なPKで先制を許すも、小見の泥臭いゴールで追いついて引き分け決着。リードを許した中で土壇場で追いつく…というパターンは、8月の湘南戦、水曜開催の天皇杯川崎戦に続いて直近1カ月で3度目。本拠地ビッグスワンの大観衆の力…と言えば聞こえはよいが、追い込まれないとエンジンがかからない…という見方もでき、一概に高評価は下しがたい。

群馬から夏の移籍市場で加入した長倉は、豊富な運動量と仕掛けで攻撃を活性化している。今節でも両チームトップの12km超の走行距離となっており、左サイドを起点としながら中央にも積極的に顔を出すことで、周囲との選手との距離感も縮まり、攻撃に流動性をもたらしている。

右サイドに関しては、このところは長谷川が先発起用されているが、個の打開に優れた松田を先発起用するのもアリなのではないか。途中出場でよいアクセントをつけており、独特のリズムを刻むドリブルには相手守備者も対応に苦労している印象だ。ジョーカー的な使い方もハマってはいるものの、前半から攻勢をかけるためには長倉、三戸、松田のアタッカー3枚を並べて前志向でどんどん攻めていく…くらいの思いきりがあってもよいと思う。

柏 vs 横浜FM

連覇を狙うマリノスだが、横浜FCと柏レイソルという下位に沈むクラブに連敗を喫し停滞ムードが漂っている。守備陣では開幕以来、ファインセーブ連発でチームを救って来た一森が離脱中。次節には復帰予定と言われているが、チアゴ・マルチンスと岩田が退団し、畠中が負傷がちということで最終ラインは心許なく、それを支えていた一森の不在は大きく響いている印象だ。

攻撃面では、ヤン・マテウスの不在と2連敗が重なっているのは偶然ではないだろう。彼自身の局面打開力はもちろん、彼の不在によりエウベルが右に回ることになり、カットインからのシュートという良さを発揮するシーンが限定的になっている。宮市も悪くない出来ではあるが、ゴールに直線的に迫れるエウベルと比較すると破壊力でやや劣る印象だ。

活躍が期待されるのは水沼だろう。サブスタートの試合も多くなっているが、正確無比なクロスでのチャンスメイクに加え、精力的なプレッシングで守備の先頭を担うこともできる。幾度もサブ扱いになりながら、結果を残して主力に返り咲いてきたベテランの力は伊達ではない。

とはいえ、最大の得点源でありクロスの受け手でもあるアンデルソン・ロペスが報道通りにサウジ移籍となると、話は別。レオ・セアラも退団済みの現状ではセンターフォワードは代役不在であり、欧州の移籍市場も9月1日でクローズ済となると、現状の攻撃は立ち行かない。実質的に西村をワントップに据えるほかない気はするが、強さがある彼とはいえターゲットマンタイプではない。2週間の中断期間があるとはいえ、建て直しは容易ではない。



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