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【アットウェル審判団評】ベリバルへの2枚目のイエローはナシでよい。(カラバオカップ準決勝①)

カラバオカップ準決勝の1stレグ。アットウェル主審率いる審判団のジャッジを振り返る。

トッテナム vs リヴァプール

Referee:

スチュアート・アットウェル

Assistant referees:

リー・ベッツ

コンスタンチン・ハツィダキス

4th Official:

ティム・ロビンソン

Video Assistant:

ポール・ティアニー

ティモシー・ウッド

むしろ怪しいのは1枚目のイエローカードの妥当性なのでは?

1対0でスパーズが勝利した試合で議論が巻き起こっているのは「決勝点をあげたベリバルは2枚のイエローカードで退場になるべきだったのではないか」という点だ。

ベリバルの1枚目の警告は68分。ルイス・ディアスのドリブルに対して遅れてスライディング…という形だったが、実はルイス・ディアスが足を浮かして避けながら倒れており、接触はほとんどない。こっちのイエローカードも本当に警告に値したのか…がやや怪しいが、今回の議論のメインではないのでいったん捨て置くことにする。

そして「2枚目疑惑」があったのは84分。リヴァプールのカウンターの場面で、ツィミカスに遅れてスライディングが入ったシーンだ。このシーンではリヴァプール側のカウンター攻撃が続いたことから、アットウェル主審はアドバンテージを適用したが、プレーが切れたあともカードは出ず。スロット監督とファン・ダイクが試合後に不満を示したことが話題になっている。

ベリバルのタックルの捉え方は5パターン。素人が一見すると単純だが、審判にとっては結構難しい。

審判目線で捉えると、今回のジャッジは簡単ではない。なぜなら、「カードを出すかどうか」の判断がやや複雑だからだ。

まず、ベリバルのタックルの捉え方のパターンをすべて書き出すと、以下の通りだ。(厳密には、ラフプレーまたはDOGSOでのレッドカードの可能性も考える必要があるが、今回の場合は接触強度をふまえると「イエローかどうか」に絞ってよいだろう)

不用意なタックルであり、「ラフプレー」でイエローカードに値しない。(そこまでラフではない)

無謀なタックルであり、イエローカードに値する。

カウンターを止めようとしたタクティカルファウルだが、イエローカードに値しない。(そこまで大きなチャンスではない)

カウンターを止めようとしたタクティカルファウルで、いわゆるSPA(チャンス阻止)でイエローカードに値する。

ノーファウルである。

警告事由の観点は2つ。「ラフプレーかどうか」と「SPAかどうか」が判断ポイントに。

今回は「イエローカードではないか?」という議論なので、いったん5を除いて考えると、「接触の質(=ラフかどうか)」と「状況(=チャンスになるか)」の2つの観点がある。

まず、接触の質。弱くはないものの、止まりきれずぶつかった…的に見える。「無謀」というよりは「不用意」レベルに留まるように感じるので、私個人の考えとしては2は消えて、ラフプレーとしてのイエローではないと考える。

次に状況。リヴァプールのカウンターにつながったシーンであり、敵陣ではあるものの「チャンス」と捉えてよい状況だと感じる。ベリバルも「カウンターになる、まずい!」という想いが乗ったプレーだったはずだ。したがって、私の見解は上記4(SPAでの警告)となる。

SPAによる警告なら、アドバンテージ適用でノーカードになる!

が、話はここでは終わらない。この場合で効いてくるのが「アドバンテージを適用したこと」だ。競技規則にも記載があるが、

タクティカルファウルによる懲戒罰は、アドバンテージを適用した場合には「一段階下がる」

ことになる。つまり、イエロー相当のプレーはノーカードになるのだ。

よって、最終的な私の見解は「アドバンテージを適用してノーカード」であり、アットウェル主審と同じだ。一人のリヴァプールファンとして憤りたい気持ちもあるものの、冷静にプレーを整理して考えると、ノーカード判定は十分にサポートできるし、なんなら私が主審でもノーカードだったと思う。

ラフプレーもしくはアドバンテージ不適用でのイエローカード提示はありえた。

なお、イエローを出すという判定に至ることも可能性としては十分にあった。具体的には以下の2パターンの別判定が考えられ、いずれも許容の範疇なので、イエローが出されても文句は言えない状況ではあったといえよう。

アドバンテージを適用せず、SPAでイエローカードを提示(←これをやったらおそらくリヴァプールファンから今以上の猛批判を浴びたに違いない)

ラフプレーとしてイエローカードを提示(私の見方は「そこまでラフではない」だが、「遅れて入っているし勢いもある」という捉え方も十分にありうる)

カードが必要かはさておき、ベリバルとしては1枚カードをもらった状況でやるべきプレー選択ではなく、リスクのある判断ミスだったのは間違いない。

試験導入された「in stadium var announcements」(場内VARアナウンス)は、実は"効率的”。

なお、77分のソランキのゴールはVARのOR(オンリー・レビュー)により、オフサイドで取り消しに。ここでは「in stadium var announcements」(和訳するなら「場内VARアナウンス」とでも言うべきか)が行われ、アットウェル主審がマイクを通じて場内に判定変更の理由をアナウンスした。

2023年の女子ワールドカップでも試験導入されたこの試みは、今回のカラバオカップ準決勝でも試験的に導入されたが、観客・両チーム・視聴者など審判員以外の関係者に一斉に(広く)判定理由を伝えることができ、非常に役立つ方法であると思う。

一見すると手間が増えたようには思えるが、選手やチームスタッフに一人ずつ説明するよりもはるかに効率的。また、観客や視聴者にも伝わるという点も含め、審判員への理不尽な批判を防ぐ意味でも好ましい制度だろう。今後の本格導入を期待したい。

なお、EFL公式サイトによれば、アナウンスが行われるのは以下の場合とのことだ。

the referee has made a visit to the VAR pitchside monitor(主審がピッチサイドのVARモニターで確認した場合)

factual decisions are made such as accidental handball by a goalscorer or offside judgements(得点者の偶発的なハンドやオフサイド判定のような「ファクト」に基づく判定が行われた場合)

簡単に言えば、OFR(オン・フィールド・レビュー)が行われた場合、そしてOR(オンリー・レビュー)で判定が変更になった場合の2つが対象となる。

また、内容は「Only the final decision will be announced(最終判定のみがアナウンスされる)」とのことだが、判定によっては結論よりも過程・理由を説明した方が納得感を得られることもあるので、このあたりは今後さらなる議論に期待したい。



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