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ファジアーノのゴール取消は妥当。審判団は、結論だけでなく理由やプロセスも説明を。(J1第29節)

J1リーグ第29節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

審判Topics

柳の手は

プッシング以外の用途なし。

判定は妥当だがプロセスに課題。

岡山 vs 名古屋

(主審: 高崎航地 副審: 野村修、津野洋平 VAR: 福島孝一郎)

90+5分、クロスに田上が飛び込んでファジアーノが追いつくも、VARが介入。高崎主審がOFR(オン・フィールド・レビュー)を行った結果、グランパスの藤井に対する柳のファウルを採ってゴール取り消しとなった。

接触の度合いとしてそこまで強いものでないのは確かだが、空中にいる身体は少しの力で容易にバランスが崩れる。また、競り合いの中でやむなく出した手ではなく、相手を押すという用途以外には役に立たたない手の出し方になっている。プッシングの意図は明らかであり、個人的にはファウルを採るのが妥当だと考える。

リプレイ映像で見ると、高崎主審のポジションからはいわゆる「串刺し」になっており、柳の手がどの程度当たったかは判断できなかったと思われる。ボールが移動している間に、数歩分のスライドをして角度を作りたかったところだ。

なお、もし当初判定が「手は出しているが接触は軽微」という判断なら「明白な間違い」とは言えないのでVAR介入は難しかったはずだ。今回は、主審・副審が接触の子細を確認できておらず、「重大な事象の見逃し」を理由としてVAR介入に至ったと考えるのが妥当だろう。

両チームへのマネジメントという点では、終了間際の非常に大きな判定だったので、両キャプテンを呼んで説明をしてもよかったようには思う。もちろん再開が遅れることにはなるが、VARチェックの時点で既に試合は「止まって」おり、微妙な判定だからこそ両チームに受け入れてもらう工夫が必要だったと考える。

結果的には試合終了後にファジアーノの選手が主審に詰め寄り、佐藤龍之介にイエローカードが提示されるなど、後味の悪い結末に。ヨーロッパの一部リーグは今シーズンからOFR後の場内説明を導入しているが、同様の仕組みの導入はJリーグでも検討されて然るべきだ。

本ブログでも繰り返し述べているが、ジャッジの結論だけでなく、根拠やプロセスを示すことは非常に重要だ。場内(中継などの視聴者も含め)が理解しやすくなるという効果はもちろん、審判員への理不尽な批判を防ぐことにもつながる。個人的には「やらない理由はない」と感じている。

福岡 vs C大阪

(主審: 山下良美 副審: 道山悟至、西村幹也 VAR: 中村太)

80分、アビスパの志知のクロスに名古が合わせてゴールネットを揺らすも、30秒ほど経ってゴールキック判定になった。ゴールラインカメラ(ゴールラインを真横から見られる映像)でラインを明らかに割っているように見えるので、ゴール取り消しは妥当だろう。

A2の西村副審はゴールインの後にハーフウェーライン方向に走っており、山下主審もセンターサークルを指している。これはいずれもゴールを認める合図なので、当初判断は「ゴールラインを割っていない」だったはず。DAZN中継ではハイライトが流れていたので確認できなかったが、VARのOR(オンリー・レビュー)によるジャッジ変更だったと思われる。

アビスパ側は山下主審に映像を見るように促していたが、ラインを割ったか否かは「ファクト」なので、OFR(オン・フィールド・レビュー)の必要はない。A2の西村副審はリプレイ映像を見る限りはボールにしっかり追いついているが、副審にとってゴール越しのジャッジになる逆サイドのラインジャッジは常に難しい。

90+8分、コーナーキックからウェリントンがゴール。ここはDFラインが上がるのに対し、FWが残ってこぼれ球を狙う…という入れ替わりの場面。副審としては非常に難しい見極めだったが、西村副審は的確なポジショニングで、オンサイドであったことをきっちり見極めた。

雷雨による中断もあり審判団としてはタフな試合となったが、最後の局面まで集中力を保ってジャッジをし続けたレフェリー陣には敬意を表したい。

横浜FM vs 川崎F

(主審: 大橋侑祐 VAR: 御厨隆文)

56分、フロンターレがボール奪取からロングカウンター。エリソンのシュートは一度防がれるも、こぼれ球のところで鈴木冬一がファウルを犯してPK。当初はイエローカードだったが、VARレコメンドによるOFRの末に、レッドカードに判定が変更された。

まず、ファウルであることはほとんど議論の余地がない。ボールに対してのチャレンジには思えたが、鈴木はボールに届かず、山本の足を巻き込んで倒している。

カードの色を考えるうえでは、ファウルの内容がポイントになる。本来はDOGSO(決定機阻止)で退場だが、ペナルティエリア内なので、ボールに対するプレーなら懲戒罰が軽減されるからだ。

ボールに対して伸ばした足が絡んだ…であれば、ペナルティエリア内なので懲戒罰は一段階下がってイエローカード。大橋主審の当初判定はおそらくこれで、私自身も初見ではその認識だった。

ただ、リプレイ映像で見ると、肩に手がかかっていることが確認できる。足が絡んだのは結果的なものであり、転倒の主因になったのはホールディング…となると、ボールに対するプレーとは捉えないので、懲戒罰はそのままでレッドカードだ。

大橋主審としては、ボール奪取に素早く反応し、大きなストライドを活かしたフルスプリントで追走。この上ないポジションでファウルであることを見極めたが、ボールにフォーカスしたことで上半身の接触への意識が薄れたかもしれない。争点に追いついただけでも、それなりに凄いことなのだが、「あと一歩」だった。

FC東京 vs 東京V

(主審: 山本雄大 副審: 堀越雅弘、植田文平 VAR: 上原直人)

90分、コーナーフラッグ付近でのボールキープの中で、長友との接触で倒れたヴェルディの福田に対し、長倉がボールを当ててコーナーキックを得ようとする行為が発生。ヴェルディ側が食って掛かり、A1の堀越副審が割って入ったものの、両軍入り混じっての小競り合いとなった。

まず、長友の福田に対する接触がファウル気味には思える。肘がやや出ているようにも見えるし、ショルダーチャージでもないので、ここでファウルを採る選択肢もあったように思う。

次に、長倉の行為はまさしく「反スポーツ的行為」だ。ピッチ内ではあるものの、ダメージを負って傷んでいる相手選手にボールを当ててマイボールにしようとするのはスポーツマンシップに則った行為ではない。相手が時間稼ぎのために傷んでいるならまだしも、ヴェルディ側はビハインドであり演技をする必要性もない。明らかにイエローカードに該当する行為であり、二度と見たくない行為だ。

その後、両軍が入り乱れる中ではいくつかの衝突、接触が起こったので、VARは退場に値する行為がないか慎重にチェックしたと思われる。森田を背後からド突いた高の行為はイエロー相当にも思えたが、真っ赤ではないのでVAR介入ナシで妥当だろう。



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