DOGSOでのレッド続出の第8節。クドゥスの蛮行から考える集団的対立の収め方。(プレミア第8節)
イングランドプレミアリーグ第8節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee topics
サリバ、フレイザー、アンデルセン。いずれも妥当なDOGSO判定。
トッテナム vs ウェストハム
(Referee: アンディ・マドレー VAR: クリス・カヴァナー)
83分、ウェストハムのクドゥスがスパーズのファン・デフェンを倒した後、両者がエキサイト。マドレー主審は当初は両者に警告を提示し「喧嘩両成敗」の形をとったが、VARが介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)の末、クドゥスにはレッドカードが提示された。
まず、クドゥスがファン・デフェンを後ろから押して倒したのち、笛が鳴った後、倒れているファン・デフェンに向けてボールを蹴っているように見える。これに起こったファン・デフェンがクドゥスの胸のあたりを突き飛ばすと、お返しとばかりにクドゥスが出した手はファン・デフェンの顔を直撃。同じ「突き飛ばし」でも顔に手を出した悪質性は高く、クドゥスはこれだけで乱暴な行為で退場に値した。
さらにそのあと、集団的対立に発展した中で、スパーズのサールに対しても顔に手を出して突き飛ばす行為が見られた。こちらも、この行為単体でレッドカードに値する。2つの行為それぞれに対してイエローカードで2枚で退場…という選択肢もあったが、マドレー主審は一発退場と判断。最低でも3試合の出場停止になる見込みだ。個人的には、VARの介入および最終的なマドレー主審の判断には同意だ。
マドレー主審としては、当初は2者間の対立だったので間に入って仲裁を試みたが収まらず。他の選手も巻き込んでの対立になった時点で距離をとって見極めを試みたものの、最もヒートアップしていたクドゥスと逆側にポジションをとってしまい、サールへの蛮行を見逃したように思える。
結果論ではあるが、スパーズはロメロやリシャーリソンなど血の気盛んな選手が多く、ウェストハム側も劣勢でフラストレーションがあったはず。周りも絡んでの対立になることは想像の範疇であり、初期段階から距離をとって事象の観察に専念したほうが適切だったのではないかと思う。(もちろん笛での制止はするとして)
ボーンマス vs アーセナル
(Referee: ロバート・ジョーンズ VAR: ジャレット・ジレット)
27分、トロサールのバックパスがミスになったところ、走り込んだエバニウソンが追いすがるサリバと交錯して転倒。ファウルであることはだれが見ても明らかで、問題はカードの色。ジョーンズ主審は当初はイエローカードを提示したが、VARが介入しOFRとなり、結局サリバは一発退場となった。
要するに「DOGSOかSPAか」という判断になる。守備側のカバーはおらず、プレーの方向もゴールに向いている。位置はややゴールから遠いものの、そのままゴール前に持ち込める距離だと捉えるのが妥当だろう。
悩ましいのは「ボールをコントロールできる可能性」という点だ。ボールは浮き球であり、一発でコントロールしてゴール方向に進めるか…という点はやや疑問符が付くようにも感じる。ジョーンズ主審もおそらくこの点を考慮してSPA(チャンス阻止)と判断したと考えられる。
ただ、サリバ以外のアーセナル守備陣は大きく後れを取っており、多少コントロールが乱れてもなおゴール前に持ち込んでシュートに持ち込む可能性は高い。総合的に考えて決定的な得点機会としてとらえるべき状況であり、VARの介入と最終ジャッジの変更は妥当だと考える。
77分には、キヴィオルのバックパスが中途半端になったところで、エバニウソンとラジャが接触して転倒。エバニウソンがラジャをかわしかけたところで、追いすがるラジャがエバニウソンの足に接触しており、ファウル&PK判定で問題ない。エバニウソンの倒れ方はややわざとらしかったが、コース取りとしては不自然さはなく、ファウル判定で妥当だろう。
ウォルヴァーハンプトン vs マンチェスター・シティ
(Referee: クリス・カヴァナー Assistant Referee2: リチャード・ウェスト VAR: スチュアート・アットウェル)
後半アディショナルタイム、コーナーキックからストーンズがヘディングで勝ち越し弾を決めるも、VARが介入。カヴァナー主審はOFRを行ったが、結果的には当初判定通りにゴールを認めた。
争点となったのはオフサイドポジションにいたベルナルド・シウヴァ。ジョゼ・サの前に立ち、接触した後、最終的にはボールとは異なる方向に動いている。オフサイド判定の基準になるのはストーンズのヘディングの瞬間になるが、その時点ではジョゼ・サへの影響は与えておらず、視界にもほぼ入っていないように見える。オフサイドポジションにはいるものの、関与したり影響を与えたりしているわけではなく、オフサイドを採らない判定は妥当だろう。
ベルナルド・シウヴァがオフサイドポジションにいることはウェスト副審からは見えていたはずで、関与・影響の有無はカヴァナー主審が見極めを担当していたはず。ただ選手が折り重なる中で明瞭に確認できていなかった可能性があり、おそらく「重要な事象の見逃し」ということでVARがOFRをレコメンドしたのではないか。(「明白な間違い」での介入は難しいと考える)
リヴァプール vs チェルシー
(Referee: ジョン・ブルックス VAR: マイケル・オリヴァー)
26分、サラーのシュートがディフレクトし、エリア内のカーティス・ジョーンズの元へ。ここでボールに向けて出したコルウィルの足がジョーンズをトリップする形となり、ファウルでPKとなった。
ボールが予想外の形でこぼれてきて、咄嗟に足を出したがボールに触れることができず。コルウィルとしては半ば反射的なプレーだったと思うが、エリア内での守備対応としてはやや軽率だったと言わざるを得ない。まさしく「不用意な」に当たるファウルであった。
サウサンプトン vs レスター
(Referee: アンソニー・テイラー VAR: アレックス・チローウィツ)
72分、レスターが決定機を迎え、こぼれ球をヴァーディーが押し込もうとするも及ばず。ここでVARが介入し、OFRの結果、こぼれ球に反応したヴァーディーのユニフォームをフレイザーが引っ張っていることが確認され、レスターにはPK、フレイザーにはレッドカードが提示された。
リプレイ映像で見ると、ユニフォームが明らかに伸びていることが確認でき、結果としてヴァーディーがボールを押し込むよりも先にクリアされたといえる。ファウルを採るのが妥当だろう。状況としては、サウサンプトンGKは直前のセーブにより倒れており、いわば「死に体」であった。ヴァーディーとしてはボールを押し込むだけでゴールとなるシーンであり、それを阻止したファウルは「DOGSO(決定機阻止)」とみなすのが妥当だろう。
負傷した菅原由勢と交代で入ったフレイザーだったが、リードした展開で痛恨のPK献上+退場となり、失点+数的不利の原因となる最悪の展開に。大逆転負けの一因となってしまった。
フラム vs アストンヴィラ
(Referee: ダレン・イングランド VAR: ポール・ティアニー)
25分、クロスに合わせたヒメネスのヘディングがキャッシュの腕に当たり、PK。当初はノーハンド判定だったが、大きく広がった腕にボールが直撃しており、ハンド判定は妥当だろう。ヘディングで競り合う流れの中であればまだしも、キャッシュは競り合わず、ヒメネスに寄せる中で腕を広げており、腕の広がりに妥当性(自然さ)はない。
続いて64分。裏に抜け出しかけたワトキンスに対し、アンデルセンが背中からチャージして倒すと、これがDOGSOという判定になり、レッドカードで一発退場になった。
接触自体はそこまで強いものではなかったが、ボールに対してワトキンスが明らかな優位性を保った状態で、背中側から手をかけてプッシングを働いており、十分ファウルに値するプレーだ。状況としてはゴール前であり守備側のカバーもおらず、ボールもコントロールできている状態なので、「決定機」と捉えるのが妥当。
DOGSOにおいてはファウルの強さは考慮されないので、シチュエーションをふまえると「ファウルであれば(どんなに軽微であっても)DOGSOで一発退場」というシーンだった。
各試合の講評
左利きのLSB、そして左のガルナチョ。可能性が見えたユナイテッドの左右組合せ。
マンチェスター・ユナイテッド vs ブレントフォード
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