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得点者は、物理的に腕に当たっていればすべてハンド。CLで活躍する東欧・北欧主審。(CL第3節①)

チャンピオンズリーグのMatchday3。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

Referee topics

スウェーデンのニーベリ、

ノルウェーのエスコス。

北欧主審が大一番を任される。

ミラン vs クラブ・ブルッヘ

(Referee: Felix ZWAYER VAR: Christian Dingert)

36分、こぼれ球の攻防でラインデルスとオニェディカが接触。当初、フェリックス・ツヴァイヤー主審はラインデルスのファウル判定だったが、VARが介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)の末にオニェディカのファウルとなったうえ、レッドカードで一発退場となった。

リプレイ映像で見ると、ボールに向かったオニェディカだったが、結果的にラインデルスの足首から脛のあたりを足裏で踏み付ける形になっており、大怪我の危険があるプレーになっている。レッドカード判定は致し方ない判断だ。

間近で事象を見ていた主審だったが、最終的にラインデルスがオニェディカの足を巻き込んだ印象が強く残り、その前のオニェディカの「踏み付け」を見逃す形に。「行司差し違え」となり、VARにより判定が180度変わる結果となった。

モナコ vs ツルヴェナ・ズヴェズダ(レッドスター・ベオグラード)

(Referee: Tobias Stieler VAR: Benjamin Brand)

25分、PK。ケーラーが慌ててスライディングにいき、切り返され、止まりきれずに残った足を払う形。最も典型的なPK献上パターンであり、誰がどう見てもファウル。異論の余地はなかった。

56分、モナコのエンボロのゴールはVARのOR(オンリー・レビュー)によりハンドで取り消し。エンボロのヘディングはGKに当たり、跳ね返りがエンボロの腕に当たってゴールへ。得点者自身の場合には、意図的か否かに関係なく「物理的に腕に当たっていればすべてハンド」となるため、主観的な判断ではなく事実のみで判断を下せるため、OFRなしでの判定変更となった。

至近距離のディフレクトであり、交錯によるファウルも気になる状況だったので、トビアス・シュティーラー主審にとって、見極めの難度は高かった。

アーセナル vs シャフタール・ドネツク

(Referee: Benoît Bastien VAR: Benoit Milo)

74分、メリーノの中央へのクロスをシャフタールのボンダルがブロック。当初はノーファウルだったが、VARレコメンドによるOFRの末、ハンドでPKとなった。

ブノワ・バスティアン主審からすると選手自身の体に隠れて見えにくかったと思われるが、リプレイ映像で見ると、クロスが直接右腕に当たっていることがわかる。意図的なものではないと感じるが、腕は胴体から離れており、結果的にボールに向けて振り下ろすような形になっているため、「自然な位置」と捉えるのは難しい。VARの介入、最終的なハンド判定はいずれも妥当だろう。

パリ・サンジェルマン vs PSV

(Referee: Glenn Nyberg VAR: Stuart Attwell)

90+3分、PSGの右からのクロスに対し、アセンシオが飛び込んだところでPSVのボスカリが接触。グレン・ニーベリ主審はファウルを採ってPK判定を下したが、VARが介入し、OFRの末にPKは取り消しとなった。

リプレイ映像で見ると、ボスカリはアセンシオの後方から足を伸ばし、左足でボールに触れてクリアしている。一方で、ほぼ同時に右足がアセンシオの立ち足に接触しており、ボールに触れたのを先とみるか、足の接触を先とみるか…が判断のカギとなるシーンであった。

アセンシオがボールに対して優位な位置にいるとはいえ、この場合はボールに触れた事実を重視してノーファウルとするのが妥当だと感じる。VARの介入、最終的なノーファウル判定は適切だと考える。

ただ接触のタイミングは非常に際どく、ファウルを採った当初判定を「誤審」と言うことはできない。同点で迎えた終了間際というタイミングで、どちらとも言える場面で大きな判定を下した勇気を個人的には評価したいが、結果的にVARが介入し、主審自身も映像を確認したうえで自信を持って判断を下すことができたのは、選手・審判両者にとってよかったのではないか。

また、このシーンでは再開方法はコーナーキックとなった。笛のタイミングはボールがゴールラインを割った後だったが、Jリーグではこの場合は「接触が起こった時点で試合が止まった」と捉えて、再開は守備側へのドロップボールとなる運用になっている。このような場合に「どこでプレーが止まったと捉えるか」は競技規則で明文化されていないため、各国により運用のブレがあるのかもしれない。

(20241103追記)

スペイン1部ラ・リーガ第11節(アトレティコvsベティス)戦では、「接触発生→ボールがゴールラインを割った後に笛が鳴りPK→VAR介入しノーファウル→ドロップボールで再開」という判定プロセスとなった。これはJFAと同じ運用であり、上記のCLでの運用とは異なる。

なお、個人的にはPSGのチャンスシーンであり、これでPSVボールでの再開になるのは納得を得にくいと感じるので、この場合はコーナーキックでの再開するのが最も納得感が得られると感じる。

ユヴェントス vs シュツットガルト

(Referee: Espen Eskås Assistant Referee1: Jan Erik Engan VAR: Dennis Higler)

48分、ロングボールに抜け出したウンダフがワントラップしてシュート。これがゴールに突き刺さり先制点…と思われたが、VARチェックによりハンド判定となりゴール取り消しとなった。

これも上記で取り上げたモナコのエンボロのゴール取り消しと同様、意図的か否かに関係なく「物理的に腕に当たっていればすべてハンド」となるパターンだ。A1のヤン・エリック・エンガン副審からはウンダフの体に隠れて腕が見えにくいシーンであり、確認できたとすればエスペン・エスコス主審だったが、胴体に接しているようにも見えるので見極め難度は高め。「VARがあったから見えた」事象だといえよう。

81分には本日2度目のVAR介入。シュツットガルトのフリーキックの場面で、ファーサイドからの折り返しに飛び込んだルオーがダニーロと接触。当初はノーファウルだったが、OFRの末にファウルでPKとなり、ダニーロは2枚目の警告で退場処分となった。

リプレイ映像で見ると、ルオーがボールに触った後、ダニーロが遅れて出した足がルオーの太もものあたりに接触している。そこまで強い勢いではないが、少なくともファウルであることは疑いの余地がない。足が高く上がった状態で足裏が太ももに入っているので、ラフプレーでイエローカード…という懲戒罰も妥当なところだろう。

VARチェックにはやや時間がかかり、OFRがレコメンドされるまでには約2分を要した。ファウルシーンだけを見れば明白だが、その前にオフサイドジャッジがあり、ウンダフの競り合いの場面もプッシングの可能性がある。VARチェックの対象となる事象は多く、終了間際の重要な判定であったこともあり、慎重にチェックが行われたと推察される。

エスコス主審としては、比較的はっきりと接触があったのでVARなしで見極めたかったところ。角度を確保しきれなかったので、いわゆる「串刺し」気味になって接触の程度・距離感がわかりにくかったのかもしれない。とはいえ、VARチェックを待つ間の振る舞いも落ち着いており、判定を下した後の選手対応もスムーズ。36歳と審判としてはまだ若手の部類に入るが、大舞台で冷静なレフェリングを見せた点は好印象だ。

バルセロナ vs バイエルン

(Referee: Slavko Vinčić VAR: Tomasz Kwiatkowski)

36分、ルーズボールに抜け出したフェルミンが繋いで、最後はレヴァンドフスキが無人のゴールへ。バイエルン側はフェルミンとキム・ミンジェの競り合いの場面でのプッシングを主張したが、スラヴコ・ヴィンチッチ主審のノーファウル判定は変わらず、ゴールが認められた。

ジャンプしたキム・ミンジェに対し、フェルミンが手を出してミンジェの背中に接触しているのは確か。ただ、そこまで露骨なプッシングではなく、もしプッシングがなかったとしてもキム・ミンジェが後ろにボールをそらしていた可能性は十分にあるように見えるので、プレーへの影響という点でも断定的なものは見当たらない。

個人的にはノーファウル判定を支持するし、主審が「接触はあったがノーファウル」と判断したのであれば、それを「明白な間違い」とするだけの証拠はなく、VARによる介入もほぼありえない。



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