苦悩のレイソルはシステム変更も一手か。岩政鹿島は攻→守の切り替えに課題あり。(J1第6節)
J1リーグ第6節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee Topics
事実による判定変更はOFR不要。
「微妙」ならばOFR不要。
湘南 vs G大阪
(主審:山下良美 VAR:木村博之)
42分、町野がゴールネットを揺らすもオフサイドの判定でいったん取り消しに。その後VARチェックの末にゴールを認めるジャッジが下った。
順を追って整理すると、以下のような判定の流れであったと考えられる。
まず、オフサイドか否かをVARが3Dラインでチェック。オンサイドであることを確認。
そこからAPP(アタッキング・ポゼッション・フェーズ)を遡り、湘南のハンドが疑われる事象をチェック。オリジナルジャッジはノーハンドだったので、それが「明白な間違い」と言えるかどうか…という観点で確認し、介入には値しない(「明白な間違い」とは言えない)とVARが判断。
オフサイド判定をVARのOR(オンリー・レビュー)で取り消し。(ハンドの事象は「介入には値しない」という判断なのでOFRはなし)
やや時間はかかったものの、VARの適用プロセスとしては適切であったといえよう。ハンドが疑われる事象をどう捉えるか…は難しいところだが、ボールの接触部位が映像で見てもかなり際どく、個人的にはノーハンド(介入なし)という判断でよかったと考える。
88分には舘のハンドを採ってPK。腕に当たったか腿に当たったかは際どいところだったが、これもまたVARとすると「明らかに腿に当たった」とは言えない事象であり、介入は難しいだろう。(VARはテレビ中継以外の角度の映像を持っている&ループ再生もできるので、より明確な映像証拠を持っていた可能性はある)
新潟 vs 名古屋
(主審:今村義朗 VAR:岡部拓人)
前半36分、内田へのタックルでマイケルジェームズが一発退場に。当初、今村主審は警告を提示したが、OFR(オン・フィールド・レビュー)の末に退場に判定変更となった。
マイケルの足裏が勢いをもった状態で脛あたりに入っているのは間違いなく、あとはその強度(どのくらいヒットしたか、力が逃げたか)が判断ポイントになる場面だ。今村主審としては「やや力がそれた」という判断だったと思われるが、リプレイ映像で見ると足首から脛にかけての部位に「がっつり」ヒットしていることがわかる。VARレコメンドも、OFRを経ての今村主審の最終判断も妥当なところだろう。(とはいえ、いわゆる「映像を見れば見るほど悪質に見える」系のプレーではあるが)
56分のグランパスの同点ゴールのシーンでは、永井のシュートが早川の右腕に当たってゴールに入った。ゴールになったのでアドバンテージ適用となったと思われるが、もしゴールから外れていた場合はハンドでPKになっていただろう。不自然な位置ではないが胴体から離れて大きく広がっており、正当な腕の位置とはみなせない。
横浜FC vs 福岡
(主審:笠原寛貴 VAR:上村篤史)
前半10分、ルキアンがエリア内で倒れたシーンで笠原主審はPKを宣告。VARによるチェックが入ったが、介入はせずにPKでジャッジ確定となった。
ルキアンに対してやや遅れて接触していることは映像で確認できるので、ファウルとした判定は「明白な間違い」ではなく、VARの介入がなかった点は妥当だ。では、「そもそもファウルだったのか?」という点でいうと、そこまで強い接触には思えず、どちらかと言えばルキアン側が振り下ろした足に接触した印象は強い。個人的にはノーファウルにも思えるが、ボールにプレーできずに接触しているのは事実なので、笠原主審の判断も受け入れられる範疇ではある。
一方、前半アディショナルタイムに三田がルキアンに倒されたシーンは、ルキアン本人も一切抗議しないほど明瞭なファウルでありPK判定は誰もが納得だろう。三田側が誘った印象はあるものの、ルキアンとしても思わず突っ込んでしまう形となっており、悔やまれる軽率なプレーとなった。
68分にこぼれ球に小川が頭から突っ込んで接触したシーンはノーファウルで妥当だろう。足がやや高く上がっているとはいえボールに先に触ったのは湯澤であり、無謀だったのはむしろ頭から突っ込んだ小川のほう。湯澤のプレーが安全の配慮に欠けていたわけでもないので、ヒヤッとするシーンではあったがノーファウルで問題なかろう。
鹿島 vs 広島
(主審:福島孝一郎 VAR:西村雄一)
84分、佐々木がエリア内で倒されてPK。松村が佐々木の残り足を踏んでしまっており、ファウルを採られるのをやむを得ない場面だ。
福島主審としては、接触が明瞭にわかるポジションではなかったようには思えたが、選手の倒れ方あるいは接触音が聞こえたなどを総合的にふまえて判断を下したか。ボールとは逆足の接触だったので、ボールにフォーカスして見ているはずで、接触自体をはっきりと確認するのは意外と難しい場面であった。
各試合の講評
苦悩のレイソル。
4バック移行も視野に入れたい。
柏 vs 浦和
2連敗のあとの3連勝でスコルジャ体制が軌道に乗り始めたレッズは今節もスタメンを継続。対人に強く縦パスも入れられるセンターバックコンビに加えて、バランサータイプの岩尾とボックス・トゥ・ボックスタイプの伊藤敦樹のボランチコンビの補完性が抜群で、中央に安定感が出てきたことでサイドバックや2列目が攻撃参加を躊躇なくできる…という好循環が生まれている。
一方のレイソルは開幕5試合未勝利で試行錯誤が続く。主な敗因は前節と変わらずコンパクトネスの不足。前線からプレッシングをかけるのは悪いことではないが、裏のスペースをケアしたい3バックが押しあがらず、間延びした中盤をレッズに使われる場面が目立った。
中盤にバランサータイプが不在という点もあるが、上島と高橋祐治の移籍によりセンターバックの中央が固まらない点が大きいか。高卒2年目の土屋は前に出ての守備で光るものがあるとはいえ、対人守備はまだ発展途上。大黒柱の古賀はリベロタイプではなく、離脱した主力の穴を埋め切れていない印象は強い。ないものねだりに意味はないので、陣形をコンパクトに保ちやすい4-2-3-1や4-4-2の採用も含めてテコ入れが必要か。
新潟 vs 名古屋
開幕から好調を維持するアルビレックスだが、今節は中盤より後ろのメンバーに変更が生じた。一方のグランパスは最小限の変更のみで開幕からの好調を支える主力を継続起用した。
試合としては前半のマイケルジェームズの退場が大きかったとはいえ、グランパスが快勝。永井、ユンカーという点取り屋がゴールを決め、最後は稲垣が追加点を奪うという理想的な試合運びとなった。
数的優位という事情はあったにせよ、3バックも含めて全体を押し上げてアルビレックスを自陣に釘付けにし、クロスを主体とする攻撃で圧力をかけ続けたことが勝利につながったのは間違いない。今季の名古屋の強さを物語る勝利となった。
鹿島 vs 広島
開幕から悪くない戦いを見せているアントラーズだが、今節は終盤に痛恨の2失点で敗戦。樋口という優秀なプレースキッカーと植田、昌子、鈴木、知念…と枚挙にいとまがない空中戦の猛者たちを擁するセットプレーで先制したまではよかったが、終盤になるにつれてインテンシティがガクッと落ち、むしろ終盤にギアを上げたサンフレッチェに逆転を許した。
もちろん中盤の運動量という点で終盤まで圧巻の上下動を見せた満田や東、川村は称賛に値する。一方で、アントラーズとしては、ボールホルダーへのフォローが少なくサンフレッチェに囲まれるシーンが目立ち、ボールを奪われた場面でも守備陣のポジション修正が遅れることが少なくなかった。2失点目のシーンは安西が孤立してボールを失い、植田のポジション修正が遅れてドゥグラス・ヴィエイラにシュートを許す…という悪い面が凝縮された象徴的なシーンであった。
岩政監督としても、選手交代は前線の同ポジションの入れ替えがほとんどで、負担が大きい中盤やサイドバックはフル出場になることが多い。もちろん、ピトゥカの出場停止などのエクスキューズはあったものの、エゼキエウ投入で攻撃を活性化させたスキッベ監督とは好対照の結果となった。常勝鹿島のアイデンティティを取り戻そうとする岩政監督だが、このような形で勝ち点をこぼしていくと立場は苦しくなっていくのは間違いない。
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