またしても難題に見舞われた飯田淳平主審。高い走力が活きた笠原主審。(J1第10節)
J1リーグ第10節。注目の判定をピックアップ。
Referee Topics
VARチェックで10分弱の中断。
流石にかかりすぎか。
神戸 vs 京都 : 第10節
(主審:飯田淳平 VAR:川俣秀)
前半45+1分、初瀬のロングスローを起点に、大迫がゴールネットを揺らすも、VARが介入。いったんはOR(オンリー・レビュー)でオフサイドとなりゴールが取り消されたが、その後に再びVARチェック。数分間のチェックの後に、OFR(オン・フィールド・レビュー)がレコメンドされ、最終的に飯田主審は京都のハンドを採ってPKを与えた。
現場の審判団はゴールを認めており、VARチェックはゴールから遡ってチェックしていくことになる。
まず論点になるのは、宮代がボールに触ったかどうか(①)である。宮代がヘディングをしたとすると、その時点で大迫はオフサイドポジションにいるため、オフサイドでゴールは取り消しとなる。一方で、宮代がボールに触っていない場合にはオフサイドは成立しない。これは「触ったかどうか(①)」と「オフサイドポジションかどうか(②)」という「ファクト」なので、ORでの判定変更が可能である。
そのうえで、オフサイドでゴールを取り消した場合、宮代がヘディングしたボールが松田の手に当たっていること(③)がジャッジの対象になる。手に当たっているのは間違いないので、あとはその妥当性が判定のポイントだ。意図的に手で扱ったわけではなく、競り合いの中でバランスをとるために手が広がるのはやむを得ないものの、結果として「腕が広がった状態で相手のラストパスを阻んでいる」形になるので、かわいそうではあるがハンドを採らざるを得ないシーンだろう。
判定プロセスとしては、いったんORでゴールが取り消された後、再開を止めて再びVARチェックが入り、その結果、OFRがレコメンドされてPK判定となった。おそらく、上記の①と②が非常にタイトだったのでVARがそのチェックを終えていったんゴール取り消しという結論に至ったものの、ハンドの可能性に気づきディレイをかけ、最終的にハンドの可能性が高いとしてOFRを勧めたと思われる。
結果としてハンドの可能性が漏れることなくチェック対象になったのはよかったものの、ゴールが入ったのが46分前後で、最終的にPK判定が下ったのは54分40秒付近。結果的に10分弱も試合が止まることになっており、非常にタイトな見極めだったとはいえ、時間としてはかかりすぎと言わざるを得ないだろう。
なお、事象としては同じく飯田主審が担当した第2節の川崎vs磐田戦の終了間際のゴール取り消し→PKと同様。神戸のオフサイドが成立するのは、大迫がボールを触った時点なので、それより前に松田のハンドが発生しているため、最終的には先に起こった反則を採ることになる。
磐田 vs 町田 : 第10節
(主審:清水勇人 VAR:先立圭吾)
66分、リカルド・グラッサのヘディングを昌子がブロック。当初はノーファウルだったが、VARレコメンドによるOFRがおこなわれ、昌子のハンドを採ってPKとなった。昌子の腕は胴体からやや離れており、かつシュートに対してボール方向に動いているようにも見える。主審からは見えにくい角度ではあったが、映像を見ればハンド判定は必至だろう。
C大阪 vs 横浜FM : 第10節
(主審:笠原寛貴 VAR:今村義朗)
45分、ゴールキックから裏へのロングボール1本でレオ・セアラが抜け出し、1対1になったところでポープ・ウィリアムと接触して転倒。笠原主審はPK判定を下し、ポープにイエローカードを提示した。
ファウルであることはほとんど議論の余地はなく、論点があるとすればカードの要否くらいであろう。ポープはいちおうボールに対してプレーしようとしており、PK献上のシーンなので三重罰軽減の対象になるため、懲戒罰は一段階下がる。状況としては、レオ・セアラのラストタッチが外に向かったものの、かわしていれば無人のゴールに流し込むことはできたと考えられる。DOGSO(決定機阻止)と捉えたうえで、一段階下がって警告…という判断は一定の妥当性がある。
ゴールキックにはオフサイドがない…という点を賢く突いたレオ・セアラのプレーであり、縦に一気に展開したため付いていくのは難しい場面だったが、笠原主審は持ち前のスプリント力を活かして対応した。
浦和 vs 名古屋 : 第10節
(主審:荒木友輔 VAR:先立圭吾)
68分、エリア内で前田が仕掛けると、シュートフェイントで稲垣をかわそうとしたところで接触して転倒。荒木主審は稲垣のファウルを採ってPKを与え、VARもチェックはしたものの介入はせず。PKでジャッジ確定となった。
リプレイ映像で見ると、DAZN解説の福田正博氏が指摘したように、両足を揃えていること、接触からやや遅れて倒れていることは気になるところだ。接触はあったものの軽微であり、河面がカバーに来ていたこともあって前田自身が「倒れることを選んだ」ように見えるというのが率直な印象だ。接触はあったのでシミュレーションではないものの、個人的にはノーファウルだと思う。
ただし、接触があったことは事実であり、倒れ方の解釈は主観的な判断になる。ファウルを採った荒木主審の判定は「明白な間違い」とまでは言えず、VARとしては介入するのは難しい。おそらくだが、もし荒木主審がノーファウルとジャッジしていても介入はなかったはず。主観的な要素が鍵になる判定なので、VARの出る幕は基本的にない。
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