フランスの次代を担うルテクシエ主審。大一番で見せたポジショニングの成長。(CL第5節①)
チャンピオンズリーグのMatchday5。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
Referee topics
デンベレの退場は妥当。
2枚とも「要らない」カード。
リヴァプール vs レアル・マドリード
(Referee: François Letexier VAR: Jérôme Brisard)
59分、69分と2度にわたってPK判定。59分は、ルーカス・バスケスの切り返しに逆をとられたロバートソンが残り足を引っかける…という典型的なトリッピングの形。ルーカス・バスケス側が「誘った」印象はあり、接触の強さ以上に「跳んだ」ようにも見えるが、接触がある以上はファウルを採らざるを得ないだろう。
69分のシーンは、こちらもトリッピング。サラーの切り返しに逆をとられたメンディが咄嗟に出した足にサラーが引っ掛かって転倒…という形だ。こちらは接触の状況としては見極めはそこまで難しくないが、リヴァプールのカウンターの局面であり、主審としては争点に距離を詰めつつ見極めやすい角度を確保することが重要になる。
フランソワ・ルテクシエ主審(フランス)は長身を活かした大きなストライドで一気に距離を詰めつつ、副審サイドに寄りながら角度を確保。理想的なアプローチで争点に近く、かつ接触の有無や程度が見極めやすい位置で見極めた。ポジショニングが素晴らしかったので、判定にも説得力が生まれ、レアル側の抗議も最小限だった。
なお、このシーンでメンディにはイエローカードが提示されたが、個人的にはノーカードでもよかったかなと感じる。エリア内でのボールに対するプレーなので懲戒罰は一段階下がるため、ルテクシエ主審の判定としてはDOGSO(決定機阻止)だと思われる。が、レアルは守備側のカバーリングがぎりぎり間に合うかな…という位置・距離にいるので、DOGSOの要件のうち「守備側競技者の位置と数」にやや疑問符が付くように思う。よって、SPA(チャンス阻止)と捉えてノーカード…でもよかったようには感じる。ただ、DOGSOと捉えた判断も間違いとは言えない。
Matchday5屈指のビッグカードを任されたルテクシエ主審は、同じくフランス人で現段階でトップレフェリーの一人と言えるクレマン・トゥルパン主審の次世代として、EURO2024決勝を史上最年少で担当するなど、UEFA審判委員会の大きな期待がかかっている存在だといえる。過去の試合ではポジショニングが曖昧で見逃し発生…ということもあったが、この試合でのパフォーマンスはトップレフェリーに相応しい素晴らしいものであった。
バイエルン vs パリ・サンジェルマン
(Referee: István Kovács VAR: Pol van Boekel)
PSGのデンベレが2枚のイエローカードを受けて退場に。1枚目は異議による警告で、2枚目はアフタータックル。1枚目は必要のないものだし、2枚目もわざわざアフターで当たる必要はなかった。デンベレとしては2枚とも「要らない」カードであり、非常にもったいない。
イシュトヴァーン・コヴァーチ主審(ルーマニア)の判定基準の妥当性としては、2枚目の警告はアルフォンソ・デイヴィスがややオーバーに飛んだ印象はあるものの、遅れてタックルが入っていることは間違いない。基準としては許容できる範囲であろう。異議による警告については、デンベレ退場時にハキミにも即座にカードを提示したように「すぐイエロー」という印象はあるが、審判とのコミュニケーションがキャプテンに限ることが明示された昨今の競技規則運用の流れをふまえると、キャプテン以外の抗議に厳しいスタンスは自然なことだ。
スポルティング vs アーセナル
(Referee: Szymon Marciniak VAR: Tomasz Kwiatkowski)
63分、エリア内に侵入したウーデゴールがディオマンデに倒されてPK。ボールに向かってのスライディングだったが、ウーデゴールが先に右足でボールに触り、そこに遅れてタックルが入る形になった。
シモン・マルチニアク主審(ポーランド)としてはやや中央寄りのポジションにはなったが、小刻みにステップを踏んで視野を確保。選手が重なる中でも事象を正確に見極めてジャッジを下した。
マンチェスター・シティ vs フェイエノールト
(Referee: Radu Petrescu Assistant referees: Radu Ghinguleac、Mircea Mihail Grigoriu VAR: Bastian Dankert)
41分、コーナーキックのこぼれ球に反応したハーランドとクインテン・ティンバーが接触。先にボールに触ったハーランドに対し、クリアを試みたティンバーが遅れて足を振り、結果的にハーランドの残り足を蹴る形になったように見える。
42歳のベテランであるラドゥ・ペトレスク主審(ルーマニア)は、毅然とした振る舞いで判定を下し、詰め寄る選手を制しつつVARチェックを待ち、チェックコンプリートの後には力強くペナルティスポットを指差してジャッジ確定を知らしめた。PKジャッジ→確定の流れとしては隙のない理想的な振る舞いであった。(本業が弁護士…というのが納得)
また、終了間際のフェイエノールトのハンツコの同点ゴールのシーンでも、パンションの裏への抜け出しをオンサイドと見極めたA1のラドゥ・ギングレアク副審のラインジャッジも見事。試合終盤でフィジカル的にも厳しい中、かつ複数の選手が裏抜けを狙っている難しい状況において、素晴らしいジャッジだった。ナイスジャッジに支えられたナイスゲームだった。(シティ側にとっては悪夢だが)
インテル vs ライプツィヒ
(Referee: João Pinheiro VAR: Tiago Martins)
11分、自陣でコントロールが乱れてボールを奪われたパヴァールが、裏に抜け出そうとしたオペンダの腕を掴んで阻止。DOGSO(決定機阻止)ではなくSPA(チャンス阻止)という判断になり、パヴァールにはイエローカードが提示された。
ジョアン・ピニェイロ主審(ポルトガル)がジェスチャーで示したように、DOGSOの要件に照らして微妙なのがプレーの方向だ。オペンダのドリブルでの持ち出しが中にいっていればDOGSOもありえたが、やや外向きのラストタッチになったことで、決定機を迎える前に守備側がカバーしうる可能性が生まれたように見える。
パヴァールがほとんど最後方にいる中でのファウルであり一見するとDOGSOに思えるが、プレーの方向をふまえてSPAと判断したピニェイロ主審の判断は受け入れられるものであり、個人的にも賛同だ。ライプツィヒ側としてはDOGSOによるレッドカードを主張することが想定される中で、判定の根拠をジェスチャーで示したこともわかりやすく好判断だったと思う。
バルセロナ vs ブレスト
(Referee: Irfan Peljto VAR: Christian Dingert)
8分~9分にかけて、ゴール前でボールを受けたレヴァンドフスキに対し、ブレストGKのビゾットが「衝突」し、PKとなった。ビゾットとしては、そのままヘディングでのシュートが来ると想定して飛び込んだが、レヴァンドフスキがトラップを選んだため、シュートブロックにもならないまま衝突する形になった。誰がどう見てもファウルであり、イルファン・ペリト主審(ボスニアヘルツェゴビナ)としては「Easy Decision」だった。
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