セサル・ラモス主審は世界的な実力者。トップレベルのレフェリングを見よ。(J1第30節)
J1リーグ第30節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。
審判Topics
ルキアンの愚行は見極め困難。
「VARがあってよかった」案件。
FC東京 vs 名古屋
(主審:
セサル・アルトゥーロ・ラモス
VAR: 木村博之)
メキシコ人のラモス主審が初担当。40歳と審判としてはまだまだこれから…という年齢でありながら、既に2大会連続でワールドカップの審判員に選ばれている。カタール大会では準決勝(フランスvsモロッコ)を担当するなど、世界でも一定の評価を得ている審判員だ。イングランドのマイケル・オリヴァーなどと同世代で、今後世界のトップに上り詰める可能性がある人物だ。
29分、こぼれ球を拾って裏に抜け出した仲川がエリア内で内田に倒されてPK。状況としては決定機であり、DOGSO(決定機阻止)に該当すると思われるが、ボールに対するプレーであるという解釈で、懲戒罰はイエローカードとなった。
厳密には内田のプレーはプッシングであり、ボールにチャレンジできる余地はないようにも思えるが、このあたりは「ボールに対するプレーは、できるだけ好意的にとらえよう」というトレンドになっている。
新潟 vs 湘南
(主審: 上村篤史 副審1: 坂本晋悟 VAR: 清水勇人)
前半8分の先制点のシーンでは、VAR介入なしで際どいゴールインを見極めた。副審1の慧眼が光った。
77分、コーナーキックからの競り合いで、ルキアンと宮本が交錯。もつれ合って倒れたあと、ルキアンが宮本に足を振っていることが映像により確認され、OFRの末にルキアンは退場処分となった。
ボールとは別の争点での事象であり、上村主審が確認するのは難しかっただろう。副審・第4審としても選手が折り重なっており、見極めは難しい。VARがあってよかった…というシーンだ。ビハインドでシュートもバーを叩いて…という展開の中で、フラストレーションを溜め込んだのはわかるが、ルキアンの暴力行為は決して許されることではない。
川崎F vs 鳥栖
(主審: 長峯滉希
第4審: 高崎航地 VAR: 中村太)
89分、久保のシュートをブロックした三浦のプレーがハンド判定となりPKに。シュートブロックで体を投げ出した状態であり、若干ではあるが上がっていた腕に当たったとなると、少なくともハンド判定が不当とは言えない。
主審の角度としては右腕が上がっていたことは確認していたと思うが、当たった部位を正確に見極めるのは難しかった可能性が高い。実際、主審は当該プレーの後すぐに笛を口元に持って行った様子は見られない。
ホイッスルまでに数秒の間が空いたこともふまえると、手前側の副審1もしくは第4審からの助言があったと考えるのが妥当だろう。副審からは三浦自身の胴体に隠れて見えにくいと考えられるので、おそらくは第4審からの助言と思われる。
横浜FM vs 京都
(主審: 西村雄一 VAR: 榎本一慶)
7分、こぼれ球の争奪戦で宮本に対して西村がアフターでチャージ。当初は警告が提示されたが、OFR(オン・フィールド・レビュー)により退場に判定変更となった。
プレスバックで戻った西村だったが、切り返しに対して逆をとられ、慌てて追いすがる中で足を出した形。悪意はなかったと思うが、宮本がパスを出した後に遅れてはいる形となり、そのうえ足裏が脛から足首のあたりに接触していた。骨折などの大怪我のリスクもあり、レッドカードに値するプレーだ。
西村主審としてはアフターチャージの可能性を考慮して目を残していたものの、間接視野となったこともあり接触部位の詳細は見極めきれず。悪質なアフターチャージという認識でイエローカードを提示したのだろう。ファウルの質を明確に示す強い笛、荒ぶる西村選手をなだめるマネジメントは流石だったが、接触の見極めは惜しかった。
また、32分にはエウベルのドリブルを露骨なファウルで止めたマルコ・トゥーリオに警告。このプレーに詰め寄ったアンデルソン・ロペスが鈴木との接触がこの試合2度目のOFR対象となった。
初見では偶発的な接触にも思えたが、映像で確認するとアンデルソン・ロペスが肩を突き出しており、故意に接触を引き起こしているように見える。鈴木は当事者ではないが、カウンターを潰されたことへのフラストレーションを暴力的に発露したとみなすのが妥当であった。ただ、殴る/蹴るなどの行為よりは一段階下がる悪質さであると思うので、OFRをしたうえでイエローカードとした西村主審の判定は妥当なところだろう。
西村主審としては、マルコ・トゥーリオへのカード提示とほぼ同時に起こった出来事であり、主審自身が視認するのは難しいだろう。可能性があるとすれば副審や第4審だが、タッチライン側からだと、偶発的なのか故意なのかはわかりにくい。(OFRで確認したのもゴールライン側からの映像だった)審判団としては難しい判定であり、VARがあってよかった…という事象だ。
札幌 vs 東京V
(主審: 上田益也 VAR: 榎本一慶)
80分、自陣からのカウンターで木村が裏に抜け出し持ち込んでゴールネットを揺らすも、VARが介入。木村を追走していた染野が菅に手をかけて引き倒しており、これがファウルとなってゴール取り消しとなった。
VAR介入の有無という違いこそあれど、第29節の浦和のゴール取り消しとまったく同じパターンであり、VARが存在する現代サッカーにおいてはあまりにも愚かな行いである。反射的に手が出るのかもしれないが、VARでチェックすれば必ず「バレる」ものであり、なんのメリットもない。前節とほぼ同じ過ちが繰り返されたことは残念でならない。
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